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名港海運株式会社 戸田武志さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

取材・文:磯野愛

戸田武志さんデモインのオフィス前にてここには3万平方フィートの広さを持つ倉庫が併設されておりクライアントから預かる商品が大切に保管されている

戸田武志■広島県出身。2005年名港海運株式会社入社。メイコー・アメリカ(Meiko America, Inc. )、ロサンゼルス支店を経て2016年8月よりシアトル駐在となる。南山大学アメリカン・フットボール部時代はクオーターバックを務めた花形プレーヤー。

父や親戚が物流業界に勤めていたため、自然にこの業界を志しました。名港海運の「名港」とは「名古屋港」のことで、その名の通り、名古屋に本社を置く物流会社です。入社後はおよそ1年半、名古屋港で中国の船会社の代理店として「ハズバンディング業務」、つまり船の入港から出港までを管理する業務を担っていました。船は女性にたとえられることが多いことから、船(=妻)のエスコートをする夫の役目というわけです。その後は名古屋港に到着する貨物の物流手配・書類作成をする輸入業務、北陸地区の新規開拓営業担当を経て、念願かなってメイコー・アメリカのロサンゼルス支店に転勤。そこで海外業務を一から学ばせてもらい、2016年よりシアトル支店長となりました。

メイコー・アメリカはロサンゼルスに本社を置き米国内8カ所に支店がある総合物流会社。輸出入のための書類準備から、貨物を一時的に保管しておくための倉庫の管理、最終目的地までの海上・航空・陸送等の手配までを一貫して行っています。大切な商品が壊れたり傷付いたりすることなく、スケジュール通りに目的地まで届くと本当にホッとします。

時には思いもよらないトラブルも起こります。協力会社によるものから、想定外の天候の悪化まで、ひと筋縄では行かないこともしばしば。また、コンテナに入り切らない大きなサイズの貨物や、1つ何千万円もするような高価な貨物を運ぶこともあり、臨機応変な対応が求められます。昨春、シアトル支店の管轄であるバンクーバー港から、およそ3カ月にわたってコンテナ100本以上を運ぶという一大プロジェクトがありました。「今日はコンテナがどこにあるのか」と、位置を確認しながら、事故やトラブルなく目的地に納入できるよう見守り続ける毎日でした。そんな中で心がけていたのは、「焦らず粛々と」。ロサンゼルス支店時代の上司がよく口にしていた言葉です。道中でトラブルが起こったとしても、焦ったところで何の解決にもなりません。さらに支店長という立場の私が焦りを見せてしまうと、周囲に不安を与えてしまいます。業務中は常にこの姿勢を意識するようにしています。

家族でシアトルシーホークス観戦へ

自宅はベルビューにあり、妻と9歳の娘、7歳の息子、そして愛犬コジローの5人(?)暮らしです。週末勤務や残業もあるので、子どもたちの送り迎えから家のこと全般まで、家庭を一手に支えてくれる妻には本当に感謝しています。家族での話題は目下、アメリカン・フットボール。息子はフラッグ・フットボールのチームに入って実際にプレーをしていますし、娘も私が社会人チームでプレーする姿を見てくれていたのでルールはバッチリ頭に入っています。休みが取れるとアメリカ国内で家族旅行に出かけるのですが、各地でアメリカン・フットボールのプロリーグであるNFL所属チームのホーム・スタジアムを見学しては、そこで公式ボールを買うというのが戸田家の習わしです。現在、32チーム中22チームのボールが集まりましたので、コンプリートまであと10個! これを成し遂げるまで日本へは帰れません。

メイコー・アメリカは昨年で創立45周年を迎えました。私が今、日々の仕事を順調に遂行できるのも、先輩駐在員の方々を始め、現地スタッフの長年の努力のおかげです。名港海運のアメリカ進出は、ここシアトルからスタートしました。そのような歴史ある場所に赴任できたことは、自分の人生において大きな喜びであると同時にプレッシャーも感じています。これからも支店スタッフと共に、お客さまのさまざまなニーズに応えられるよう頑張っていきます。

アメリカンフットボールに明け暮れた青春時代頭はCoolに心はHotにいつも冷静な判断が求められるクオーターバックというポジションからたくさんのことを学んだ
2020年6月まで北米報知社でセールス・マネジャーを務める。北海道札幌市出身。2017年に夫の赴任に伴ってシアトルに渡るまでは、日本で広告代理店に勤務し、メディア担当、アカウント・エグゼクティブとして従事。ワシントン大学でMBA取得後、現在はシアトル発のスタートアップ、Native English Instituteのマーケティング担当として日本市場参入準備に携わる。趣味はテニスで、大会(とその後の打ち上げ)の再開を心待ちにしている。