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日本の家族とアメリカにいる自分

Aさんは40代後半の女性です。子どもが今年から大学生になって寮生活をしているので、自分の時間が取れるようになったと仰います。そんな中、日本に住む姉より連絡があり、父に認知症の疑いがあると聞かされました。母親とは電話で月に一度は話しをしており、その時「父親が歳をとるごとに頑固になって怒りやすい」と愚痴っていたのですが、認知症の初期症状の可能性があると言われたとのこと。
Aさん曰く、母は心配しないで大丈夫だと言うけれど、姉から聞くトラブル(物が無くなったと言って父が母を激しく責める。ご近所と些細なことで喧嘩する。)を考えると、自分が帰国したほうがいいのかもと思う。それを姉に相談すると、「今帰国してもあなたには何も出来ない」と言われる。自分の更年期の感情の起伏もあるんだろうけど、気持ちも思考もまとまらなくてどうすれば良いのかわからない、との事でした。
親の介護を考えたとき、海外在住だと、日本在住の家族・親戚とどうやって連携をとっていくのかが大きな課題の一つになります。連携とは公平に親の介護を負担することか? 公平とは具体的にはどういう意味なのか? 例えばAさんは、短期で帰国することが出来ても、日本に移住してお姉さんと同じ立場で介護をするという計画は現実的ではありません。
話しを伺ううちに、Aさんの悩みは親の介護そのものだけではなく、お姉さんに対する罪悪感であり、お姉さんの言葉に対する憤りも感じられました。アメリカ在住ということで、出来ることに限りがある。それに対して負い目を感じてしまう。また、良かれと思って提案・行動しても、他の家族から感謝されるどころか責められる。負い目があるが故にもどかしく、気持ちの持っていきどころが見つからない。自分だけの都合、希望で物事を決められるものではなく、父の状況、母の希望、姉の都合を考慮しなければならない。そんな中、自分に何が出来るのか? 自分はどうしたいのか?
Aさんには、自分が出来ることと出来ないことをリストにし、父、母、姉への気持ちと希望を書き出す。そして、それらの理由を改めて自分に問いかけることなど、自己認識を明確にしていただく必要がありました。まずは、自分のリソースを知って、判断基準となる自分の考え方や感情を知ることが大切です。その後で、家族(両親、姉、アメリカの家族)の立場に立って、考えてみること。このような作業をすることで、知らないうちにアメリカナイズされている自分に気付くこともあり、家族とのコミュニケーションがとりやすくなるでしょう。
介護は長期戦になりえますから、状況が変わればその都度自分の気持ちも揺れることが考えられます。その度に自分が納得して行動が取れるようにしたいものです。
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