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アメリカ在住日本人の価値感のすりあわせ

Aさんは30代の女性で最近は日系企業に転職されました。Aさんは大学でアメリカに来てそのまま就職したので、日本での仕事の経験はありません。しかし、日系企業で仕事をするようになって、高校時代の日本的おつきあいのノリのようなものを思い出したと仰います。そして、それにあわせることをストレスに感じるそうです。
そこでAさんにどんな状況でストレスを感じるのかと尋ねると、以下のような例をあげてくださいました。
•誰かが出張やプライベートでの旅行などに行くと必ずお土産が配られ、それが暗黙の了解として「全員がしなければならないこと」のようになっている。
•日本人の男性社員からは、若ければ「女の子」少し年齢が上がれば「オバサン」として扱われ、女性の中でもお局様的な存在の人がいて上下関係がある。
•皆で足並みを揃えることが大切なので、終業時間が来ても「自分の仕事は終っているから」と言う理由でさっさと退社するのはなんとなく気が引ける環境である。以前定時きっかりに退社をした時、嫌味を言われたこともある。
•仕事においてでさえ、自分の意見を発言するのに躊躇する。「出る釘は打たれる」という言葉が浮かぶ環境で、「なぁなぁな感じ」「空気を読んで」という雰囲気がある。
•女性と男性の役割が分れている。女性はサポート的な役割が主で、仕事の割り振りや評価も平等でないと感じる。
確かにこれは「日本的」な行動・価値観だといえます。そして、在米歴が長くアメリカ人との付き合いが多い日本人には、これらを面倒な事・ストレスと感じる人も少なくないかもしれません。
アメリカでは、お土産の習慣は日本と比べるとあまり一般的ではないといえます。性別や年齢で人を区別する事が、「差別やハラスメント」とみなされる事があるのがアメリカです。また、アメリカ人は個人主義であり、周りを気にして行動するということに重きを置かない。自分の主張はしっかりすべきだ、という価値観が強い事は、民俗学的にも知られています。
異文化研究の面からいうと「これらは日本とアメリカの文化的な傾向の違いであって、良い悪いの問題ではない」ともいえるのです。「ではAさんはどうすればよいのか?」という問いかけに、Aさんは次の3つの選択肢があると考えました。1)日系企業の文化として受け入れる。2)Aさんがその文化に馴染めないのであれば、合う場所を探す(転職する)。3)日系企業だといってもアメリカの職場なのだから、アメリカ的価値感を導入するよう自分で働きかける。
Aさんは自分の価値感がアメリカ寄りになっていて、日本的な文化を「悪いもの」として認識していたことがショックだと仰いました。Aさんが今後アメリカで日本人として生活していくなかで、上記の3つの選択肢には色々な場面で遭遇すると思われます。今後どのような選択・判断をされていくのか、Aさんに期待しています。

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