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MRJ初飛行記念商工会セミナー

取材・文:赤澤草 写真:保科達郎

resize0388-min 日本初の国産ジェット旅客機MRJ(地域間輸送用旅客機)が昨年11月、初飛行に成功したことを記念し、111日、ベルビューカレッジでシアトル日本 商工会主催のMRJ初飛行記念商工会セミナーが、米国三菱航空機シアトルエンジニアリングセンター長・本田健一郎さんを講師に迎えて開かれた。
日本では初めての国産ジェット旅客機ということと、昨年暮れに発表された1年もの納期延期のニュースから、当初予定されていた人数を大幅に超える参 加希望者があり、人々のMRJへの関心の高さがうかがわれた。
セミナーで本田さんは、MRJの特徴や開発状況と今後の予定について言及。「最先端テクノロジーを駆使したMRJは、空力性能を最大限に使用すること を可能とし、排出ガスを抑えながらも燃費は20%以上削減、騒音は40%カットと、従来のリージョナルジェット機に比べ、環境に優しく、燃費性能・静 音性能に優れた、国産と呼ぶにふさわしい作りになっている」と、ものづくりにおいて優れた技術を持つ日本の強みを強調した。
resize0389-min 一方で、MRJと同じ100席以下のカテゴリーでは今のところブラジルのエンブラエル社が高いシェア率を誇っており、MRJとの競合が懸念されるが、 「機能性においてエンブラエル社には限界がある」とMRJの優位性に自信を表明した。今後、三菱航空機は機能性のみならず、機体のサポート体制、コ スト競争力、信頼性といったさまざまな面でシェアを広げていく考えだ。
現在、MRJは開発拠点をアメリカにも置いているが、その裏には、今後の飛行試験のスペック作成・データ分析に長けた優秀な航空エンジニアが多いこ とと、航空可能区域が広いアメリカで飛行試験を行うことで最低飛行試験時間2500時間の達成短縮を図るという狙いがある。
今回の、88席からなるMRJ90のような100席以下のカテゴリーのリージョナルジェット機の需要は、今後20年で3倍になる見通しで、5000機以上の需要 が見込まれ、各国の航空会社が注目している。その中でも高い機能性を誇るMRJは、現時点ですでに日米6社の航空会社から407機の受注を受けており、 2018年半ばまでに初号機を全日本空輸(ANA)に納入の予定。今後は、新たなシリーズとして100席からなるMRJ100X商品化を視野に入れている。
詳細:www.flythemrj.com/j/