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ピカケスクールに聞く:自ら進んで日本語を勉強できる子に育つには?

シアトル近郊の専門家たちが、悩み多きバイリンガル子育てについて回答。子どもと楽しむ、子育てのヒント。

 

今回のテーマ

Q. 自ら進んで日本語を勉強できる子に育つには、どんな環境作りや支援が必要でしょうか?

A. 幼い頃から、日本語に限らず何でも自分から行えるよう働きかけていきましょう。また、日本に関する好きなものを一緒に見つけて、興味を広げてあげてください。

 

日本語に興味を持ち、喜んで日本語の本を読んだり、宿題を進んで行ったりするような子どもに育って欲しい。そんな理想を叶えるには、どうすれば良いでしょうか。日本語に限らず何にしても、子ども自身に「やりたい」という気持ちが沸き起こるような動機があって初めて、行動につながります。自立心もやる気も一朝一夕で培われるものではなく、大人がコントロールできるものでもありません。幼い頃からの環境作りや支援が大切になります。

特に赤ちゃん時代から幼稚園に通い始める移行期は、子育ての目標を意識するようにしましょう。親として全てを手伝うクセが付いて、子どもが自分でいろいろできる段階にもかかわらず、何でもやってあげていませんか。また、毎日の生活の中では、どうしても効率や速さを優先して、2、3歳児の行動を待つことが難しいという場合もあるでしょう。

実は、子どもが自分でできることを親が全てやってしまうと、子どもが学びやスキルを磨く時間がなくなってしまいます。せっかくの成長の機会を奪い、子どもの芽を摘んでしまうことになりかねません。さらに、「自分は力のない小さな存在」という自覚を植え付けてしまうと、子どもたちは受け身となり、自発的な責任ある行動が取れなくなります。幼い頃から、自分でできることは積極的にやってもらう。できないことはゆっくりとやり方を見せてあげる。こうした働きかけが子どもの自立を促します。

子どもたちは、大人と一緒に、もしくはひとりでやってみることが大好き。やる気を引き出せるように、サイズの合った道具を家庭でも用意すると良いでしょう。ここでの目標は、「トライすること」と「自信を付けていくこと」であり、「完璧にできること」ではありません。幼稚園に入る年齢では、おもちゃの片付け、こぼした時の後始末などは責任を持って行うことができます。この責任感が、今後の学ぶ姿勢の土台となります。

ピカケスクールでの大事なゴールのひとつに「子どもの可能性を最大に開花させるために限りのない機会を与える」ことがあります。モンテッソーリ式のクラス環境では、できる限り大人の手伝いなしに子どもたちが自分で積極的にやることを選択していけるように整えられています。自分で選んだ分は責任も持つ。そうした「自立した行動」は、子どもたちの今後の学校生活、人生に生かされる、素晴らしい贈り物になると信じています。

また、日本語に興味を持ってもらえるように親自身も、日本の好きなところ、行ったことがある場所などを子どもにシェアしてあげてください。アニメや漫画など、子どもが興味のあること、日本の好きなところについて、興味を持って聴いてあげましょう。そして、興味を広げられるように、大きな目標と小さな目標を決めるのも手です。

大きな目標とは「来年、日本に行く」「4年生になったら日本の漫画を読む」「日本の大学に進む」など、長期的なゴール。日本語を学び続けるモチベーションになります。小さな目標としては「この宿題ができたらアイスクリームを食べる」「毎日5分の音読を1週間続けたら日本のアニメを30分観る」など、許せる範囲で小さなご褒美を設定します。短期的なゴールは目の前の課題をこなしていくうえで役立つでしょう。どんな小さなことでも、できたらたくさん褒めてあげてください。小さな1歩1歩を一緒に喜び、サポートしていけたらいいですね。

教えてくれたのは

ピカケスクール
斉藤カルコーヴァン智美

慶應義塾大学文学部とシャミナード大学院幼児教育学科を卒業。ベルビューにある日本語と英語のバイリンガル幼稚園、ピカケスクール園長。日本では株式会社オリエンタルランドが経営するチャイルドセンターの立ち上げに携わり、プログラム・マネジャーを務めた。渡米後はモンテッソーリの教員としてハワイとシアトルで約10年間勤務。2017年夏にベルビューでピカケスクールを創立。

 

⬛️ Pikake School
1250 112th Ave. NE., Bellevue, WA 98004
☎425-453-1881
www.pikakeschool.com