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アメリカの大学、受験対策はどうすればいい?

日本とは全く異なるアメリカの大学事情を専門家がわかりやすく解説!現地校生にもアメリカ留学希望者にも役立つ情報がたくさん。

アメリカの大学、
受験対策はどうすればいい?

入試会場がない!?

大学入試で日本とアメリカとの大きな違いは、会場に行って入学試験を受けるか受けないか、ではないでしょうか。日本の場合は受験勉強をし、入試日に向かって体調も整えるなど準備しますが、アメリカの大学受験には入試そのものがありません。難関校とされるランキング上位の大学を受ける場合、日頃の準備が重要になってきます。

まず、多様性が求められます。難関校を受けるくらいなので、どの生徒も成績優秀。では、どのように差を付けるのか? 何に対して情熱を持ち、実際に行動に移して結果を出したかをアピールします。やる気と行動力のある生徒が入れば、学内全体に良い影響を与えるため、大学側としても欲しい人材なのです。

大学受験での提出物

アメリカの大学の場合、願書は数カ月前から準備でき、出願期間も1カ月くらいあるので、余裕を持って計画できます。合否はさまざまな観点から判断されますが、大学1年生から新入生として入学希望の場合、入学審査で重視されるものは以下の通りです。

高校成績証明書:アメリカの高校は4年制なので日本での中学3年生から高校2年生までの成績証明書を出願時に提出します。高校では普通クラスでなく、AP(Advanced Placement)やIB(International Baccalaureate)、ランニングスタート(高校在学中に大学の単位を取りながら高校単位を取るプログラム)といった難易度の高いクラスを取ると有利です。アメリカでは成績をGPA(Grade Point Average)で評価するのですが、Weighted GPA(0から5まで)とUnweighted GPA(0から4まで)の2種類があります。前述した難易度の高いクラスを取るとWeighted GPAで評価され、普通クラスの生徒がUnweighted GPAで満点とされる4.0を取るよりも、「楽な道を選ばず自らチャレンジしている」と高く評価されます。結果も出せれば言うことなしです。高校3年生の成績証明書は、合格通知後に提出しますので、成績を落としてはいけません。成績次第では合格が撤回される可能性もあります。

パーソナル・ステートメント:自己アピールができる作文。何に興味があり、どんな経験をし、何を勉強したいか、などを課題に合わせて書きます。大学によって課題はさまざまで、その年によっても変わりますので、引き出しを多く用意しておく必要があります。ボランティアや部活、バイトなどの課外活動はおすすめです。日本ではバイト禁止校もあるようですが、アメリカでは勉強とバイトの両立に成功している生徒は、そのタイム・マネジメント能力、社会経験を高く評価されます。社会貢献活動としてのボランティアのほかに、部活でなく地域のスポーツ・チームやサークルへの参加も良いでしょう。大会優勝などの経験があれば、格好の題材となります。参加した活動で役員となり、リーダーシップを発揮できる機会があったら、なお良し。願書に書けますし、その経験を踏まえてパーソナル・ステートメントに組み込むこともできます。つまり、引き出しがたくさんあると、どんな課題にも対応でき、内容の濃い、印象に残るパーソナル・ステートメントが作れるということです。

先生からの推薦状:先生たちがどのように評価しているかを見るもの。私立大学では通常2通ですが、公立大学では推薦状を必要としない場合も。

テストスコア:SATやACTのスコア、留学生の場合はTOEFLやIELTSなどの英語力のスコアの提出が必要になります。

4年制大学への編入

アメリカの2年制大学で準学士号を取得してから4年制大学へ編入する場合、編入願書を提出しますので、内容は新入生願書と異なります。大きな違いはテストスコアです。準学士号の取得者は大学レベルの英語を履修済みと見なされ、SATやACTのスコアはもちろん、TOEFLやIELTSなどの英語力のスコアも不要となる場合があります。大学によりますが、大学レベルの英語の成績はB(3.0)以上が求められることもあるので注意してください。また、成績証明書は、2年制大学の成績証明書を提出すれば、高校の成績証明書は不要となる場合がほとんどです。

アメリカの大学受験では、中学からの毎日の積み重ねがものを言います。勉強以外にも、早いうちから興味があることを見つけ、積極的に活動しましょう。

2011年よりアソシエイト・ディレクターとしてエドモンズ・カレッジにて勤務。1999年に夫、1歳半の息子とアメリカ移住。子育てに専念した後、息子の中学入学を機に以前から興味のあった教育分野へ。現在は入学から進路、イミグレーションのアドバイザーを務める傍ら、日本文化クラブのアドバイザーとして日本文化を学内や地域に広めようと学生たちと共に活動中。