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こぐま幼稚園に聞く:親参加型のコープ式の園環境は、バイリンガル教育にも良い影響がある?

シアトル近郊の専門家たちが、悩み多きバイリンガル子育てについて回答。子どもと楽しむ、子育てのヒント。

 

今回のテーマ

Q. 親参加型のコープ式の園環境は、バイリンガル教育にも良い影響がありますか?

A. 自信を育むには、乳幼児期に「心の土台」となる自己肯定感を高めることが大事。コープ式なら子どもたちは安心した環境の中、意欲的に園生活を過ごせるので、バイリンガル教育の効果も出やすくなります。

 

コープ式の当園では、保護者の方が交代でクラスのお手伝いに入ります。先生と保護者とのつながりを深め、子どもたちが安心して過ごせる環境を一緒に整えています。愛情に満たされた環境で生活することは、子どもの心の土台となります。子どもが豊かな経験を重ねるためには、心の安定が不可欠。乳幼児期は特に喜怒哀楽の感情を出せることが大事で、自分の思い通りにいかないと泣いたりかんしゃくを起こしたりします。こうした怒りの発現は、自己主張できるまでに育ったという成長の証でもあります。「泣かないで我慢しなさい」では、気持ちを表現できない子どもになってしまいます。「悲しいね」「悔しかったね」と、気持ちをそのままを認めて欲しいのです。共感により、自分の存在そのものが受け入れられている、自分が大切にされているという自己肯定感を育みます。自分を愛し、大切にできることは、他者を思いやる気持ち、優しさへとつながっていきます。将来、さまざまな葛藤やつまずきに遭遇しても、心の土台ができていると、自分の気持ちに折り合いをつけ、困難を乗り越えられます。

園では先生主導ではなく、自らの活動を自分で選び、試す「選択活動」の時間をとても大切にしています。子どもにとって学びとは「考える」ものであり、単なる「記憶」ではありません。子どもは楽しいことなら何度も繰り返し、時間も忘れて没頭します。遊びの中で試行錯誤し、考える力を養っているのです。「子どもの心が動く」環境(教材/空間)を整えること、子どもの「なぜ」の気持ちに寄り添い、一緒に探求することが先生の役目と常に感じています。

また、結果ではなく、その過程を大事にしています。「上手にできたね」「すごい」などの褒め言葉は、つい使いがちですが、子どもにとっては曖昧。なぜ褒められているのか伝わらない場合もあります。結果や成果を評価する言葉の使い過ぎによって、「良い結果を出さなきゃ」と、知らない間に子どもにプレッシャーを与えることにもなりかねません。「お皿を並べてくれてありがとう。助かったわ」「緑と星の形が夜空みたいな絵。飾ろうかしら」と、具体的な姿に言葉をかけるのがポイント。「褒める」よりも、「認める」ことを意識すると良いでしょう。結果や成果にとらわれず、過程が大事なんだと意識させることで、何事にも前向きに取り組む子どもに育ちます。

バイリンガル教育では、2言語の使い分けを明確にすることが大切。両親がお互いの言語を徹底して使うことが理想です。しかし、家族のコミュニケーションが英語である場合、徹底が環境上難しい場合もあるでしょう。その場合は英語でも良いのです。ただ、その際に気を付けたいのが、会話の中での日本語と英語の「ごちゃ混ぜ」。言葉が未熟である乳幼児期は、英語と日本語の区別がまだできませんので、英語も日本語も1言語と認識してしまい、混乱を招きます。園では保護者の方に「家庭に戻ってからも園のことは日本語でお話ししてください」と伝えています。そうすることで、子どもは「園=日本語」と、環境による明確な言語の使い分けが保てるわけです。コープ式のため、保護者の方はクラスの様子を観察できますので、友だちの名前、日々の活動内容、歌や手遊びはもちろん、子どもたち同士の会話、興味、話題など、細かな園の様子が描写できます。園の話題を日本語で具体的に話し、覚えた歌や手遊びを一緒にすることで、家庭でも親子で楽しく日本語に触れ合う環境が整います。

教えてくれたのは

こぐま幼稚園
ノガレス真奈美

こぐま幼稚園2012年度設立から担任教諭として勤務。日本の短期大学で保育士免許/幼稚園第二種免許を取得後、保育士として11年間働いた。2006年に渡米し、ハイライン・コミュニティー・カレッジにて幼児教育を学ぶ。非営利のこぐま幼稚園運営で提携するベイツ大学幼児教育学部で現在も月に1度の講義を受け、幼児教育の重要性や知識を学ぶ日々。2月は体験入学特別月間。オープンハウスを2月29日(土)10amに開催。

⬛️Wapato Cooperative Preschool
5236 E. B St., Tacoma, WA 98404
☎253-882-9234
www.kogumapreschool.org