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バンブーキッズに聞く:バイリンガル教育に励む子どもの興味を促し、やる気を出させるためには?

シアトル近郊の専門家たちが、悩み多きバイリンガル子育てについて回答。子どもと楽しむ、子育てのヒント。

 

今回のテーマ

Q. バイリンガル教育に励む子どもの興味を促し、やる気を出させるための声かけ方法、ほめ方、逆にやってはいけないことについて教えてください。

A. 子どものやる気を出させるには、バイリンガル環境を一緒に楽しみ、子どもの興味を促すこと、尊重することが大切です。小言を言わずにそっと見守り、できたときには認め、共感してあげましょう。

 

子どもは周りにある全てから吸収し、生きるスキルを学びます。生まれた時から2つの国の環境で多くの経験ができる子どもたちはとても恵まれています。親が両国の素晴らしいところを子どもと一緒に楽しむことが、子どもたちの興味を持続させるのではないでしょうか。

バイリンガル環境にいる子どもは生活する中で日本の文化を身に付けていきます。挨拶や習慣など、親の模倣も子どもにとっては大事な学び。小さいうちは伝統行事も効果的です。「お正月に餅を食べた」「お父さんが鬼になって豆まきをやった」などの思い出があれば、日本の楽しい風習をずっと覚えていることでしょう。読んでもらった昔話や絵本にある日本の風景も心に残ります。

また、子どもはすぐに「これは何?」「なんで?」と不思議に思い、知りたくなるようです。「ぼくのおばあちゃんは、おかあさんのおかあさんなの」と教えてくれた男の子がいました。日本に行った時のことをよく話してくれます。地球儀を見ながら「ここはおばあちゃんが住んでいる日本」「ここは○○くんが住んでいるアメリカ」と説明すると、とても興味を持ちました。そして、地球儀上にある全部の大陸名もすぐに覚えてしまいました。子どもをよく観察していると「今、この子が何に興味を持っているのか」に気付くことができます。興味の対象について、話す、調べる、作る、感じるなど、子どもと一緒に楽しんであげることで、子どもの学習意欲が高まり、別の興味へと広がっていきます。

「子どもを尊重する」意識を大人が持つことも大切。それによって子どもの態度は大きく違ってきます。子どもが自分でやろうとしている時にやってあげる、考えているときに答えてあげるのは、早く次に移りたいという大人側の都合であって、子どもを尊重しているとは言えません。当園では「先生が手伝ってもいいですか?」「ひとりでやってみるから、いい」という会話がよくあります。必要なときには「先生、やっぱり手伝って」と頼んでくれます。子どもは「やりたい気持ち」を持って取り組んだことを達成させると「できた!」と心から喜びます。その繰り返しが自身を成長させていくのです。「それじゃぁダメ」「なんでできないの?」と、横から手を出してばかりいると、やる気を失い、依存心の強い子が育ちます。自分でやってみたい子どもの気持ちに気付いて待ってあげましょう。「できたね」と認め、「うれしかったね」と共感してあげることが、「子どもを尊重する」ことです。

当園を含めモンテッソーリ・スクールでは、子どもを「ほめる」のではなく「気付いて認め、共感する」ようにします。これは「子どもを尊重する」のと同じ。たとえば、子どもが「上手でしょ?」と絵を見せに来たとします。ここで「上手」と評価し、「描けた」ことをほめるのではなく、描く過程で「左手が、紙をしっかり押さえてるね。動かないようにしてるんだね」と気付いてあげたり、「時間をかけて丁寧に塗っていたよね」「きれいな色を選んだね。私もこの色好きだな」と共感してあげたりするのです。何でもやればほめられるのは、おだてられていることと同じで、子どもは決して心からうれしいとは思いません。子ども自身が満足のいくものを作れたと感じられることが、本当の自信につながっていくのです。

教えてくれたのは

バンブーキッズ
小沼智子


日本で幼稚園教諭免許を取得し、日本を始め数カ国で幼児教育の仕事に携わる。2000年にシアトルに移住後、イートン・スクールで働きながら2005年にモンテッソーリ教員免許を取得。2011年に始めた日本語でのモンテッソーリ・スクールであるバンブーキッズは、5年前から場所を自宅に移し、運営を続ける。シアトル日本語補習学校幼稚園部で17年の教師経験。

Bamboo Kids
☎425-326-8951
http://bambookidshoreline.com