心奪われるシルク・ドゥ・ソレイユ
「クーザ」がシアトルで公演中!
レドモンドのメリモア・パークにて公演中のシルク・ドゥ・ソレイユ「クーザ」を観てきました。西洋と東洋の世界観が見事に融合したエキゾチックな舞台は、観客を独自の世界観に引き込み虜にします。公演は3月16日まで。
取材・文:加藤良子

2007年4月、カナダのモントリオールで初演されて以来、4 大陸 18 カ国 56 都市以上で公演され、延べ750万人以上を動員してきた人気演目「クーザ」。
物語は、世間知らずな少年イノセントがクーザという世界の案内人トリックスターに出会い、魅惑的な冒険の世界へ誘われるところから始まる。少年は旅の中でさまざまな出会いを経験し、モノクロに感じていた世界が彩り豊かで美しく感じるまでに成長する。
舞台は260度客席に囲まれる円形で、中央にはバタクランと呼ばれる塔がそびえる。ヒンドゥー教の寺院やパキスタン名物のデコトラ(派手にデコレーションされたトラック)、インドの宝飾品などからインスパイアされた装飾が施され、オリエンタルなムードがいっぱい。舞台を彩るのは、トランペットやトロンボーン、ベースやドラムといった楽器による迫力ある生演奏。歌手たちの力強い歌声が、観客をさらに深い感動へと誘う。
この公演は早着替えのシーンが多く、衣装の合計はなんと175着以上にも上るのだとか。パフォーマーの技術を際立たせる、大胆で個性的な衣装の数々にぜひ注目をしてほしい。
全編にわたってさまざまなシーンに登場するトリックスターの、細身のスーツ風の衣装が印象的だった。重力を感じさせないしなやかな身のこなしが際立ち、妖艶さすら漂わせるその様は、まるで空間そのものを操る幻術師のよう。
「クーザ」では、一輪車のデュオやフラフープを用いた演技など9つの演目を楽しむことができる。コントーションと呼ばれる柔軟芸では、ゴールドのボディースーツを身にまとった3人のパフォーマーが組紐の結び目のように小さく丸まって登場し、一瞬、人間だと気がつかなかったほど。エキゾチックでアップテンポな音楽に合わせ極限まで体をしならせる曲芸は、生きる彫刻のように芸術的な美しさを放っていた。
この舞台最大の見どころは「死の車輪」と呼ばれるダイナミックなアクロバットだ。およそ750キロにも及ぶ巨大な装置を自在に操る超人的な演技。鬼のようなツノに、プロレスラー風の装いで現れた2人のパフォーマーが車輪の上で縄跳びや宙返りを披露し、観客席からは歓声や悲鳴が止まなかった。あまりの高さにクラクラし、見ているだけでも心臓破り!
手に汗握るスリリングな場面から静かで神秘的な瞬間まで、心を大きく揺さぶられ続ける「クーザ」。公演が終わった後もその美しい世界観の余韻で胸がいっぱいになった。
小さな子どもから大人まで、世代を問わず夢中にさせてくれる魅惑の舞台をぜひ訪れてほしい。
場所:Marymoor Park 6046 W. Lake Sammamish Pkwy. NE., Redmond, WA 98052
料金:一般 $55~、2~12歳 $45~、駐車料金 $25
問い合わせ:☎︎ 877-924-7783
チケット・詳細:www.cirquedusoleil.com/kooza