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シアトルでバイリンガル子育て

バイリンガル子育て~シアトル・パブリック・スクールズ~
▶日本語での教育サポート~ベルJコンサルティング&アドバイザリー
シアトルで受けられる日本語の教育

日本とは全く違うアメリカの教育システム、日本語のサポートで安心を

学区や学校によって教育システムが異なり、その年によってもガラリと方針が変わるアメリカでは、たとえ配偶者がアメリカ人だったとしても、その知識や経験が当てになるとも限らず、情報のアップデートに苦労する。日本のように親切に逐一知らせてくれるわけでもない。大事な情報は自分で取りに行く必要があるのだ。

ベルJコンサルティング&アドバイザリーの末吉陽子さんと小島はるかさんは、そうした情報提供を9年前に地元学区で始め、現在ではビジネスとして広域に対応したセミナーやコンサルティングを通して日本語によるサポートを続けている。

日本語学習をアメリカの高校・大学で生かす

「子どもが日本語もできるバイリンガルなら、高校時代に活用できるオプションがいくつかあります」と、ふたりが説明してくれたのは、以下のテストについてだ。

「まず、大学レベルの学力が求められるAP(Advanced Placement)テストは全米規模で毎年5月に行われ、5段階評価で3以上を取って大学に入学すると、大学によっては単位や飛び級が認められます。このテストの選択科目に日本語も入っているんです」。一般的に高校でAPクラスを履修する生徒が受けるテストだが、クラスを取らなくてもスクールカウンセラーなどに相談して受けられる。「単位や飛び級につながれば学費が抑えられるメリットがあります」

最近始まったWorld Language Competency Based Creditという制度のためのコンピテンシー・テストにも注目し ているそう。「これは高校卒業要件(外国語2年履修)を満たすための特例措置で用いられているテストで、主に高校生が受験し、日本語は(コンピューターを用いた)STAMPテスト方式で 行われます。結果次第で最大4単位を取得でき、授業履修を免除されます。ただしGPA(成績の平均点)には反映されないため、戦略として日本語クラスを履修するのも一案。テストの設問などは英語のため、渡米直後の受験では難しいでしょう」

APテストにしてもコンピテンシー・テストにしてもそれらのテストによって高校や大学の単位が認められるというのはアメリカならではの制度。これらを上手に利用してトライリンガルになったり、興味のある選択科目を履修したりする機会を増やすなどすれば可能性が広がり、日本語教育を続けてきたことが直接、間接的に大学受験に有利に働くこともありそうだ。

バイリンガル教育の意味とは

バイリンガル教育とひと口に言っても、そのレベルや内容はさまざま。「結局、子どもが日本人の血が流れていることに誇りを持って生きていくための準備ではないでしょうか」。アメリカで日本語学習を続ける意味を考え、目標を決め、理由付けするのがポイントと、ふたりは指摘する。「ここで育つ子どもたちは多かれ少なかれ、自分のアイデンティティーに疑問を抱く時がやって来ます。日本語を少し話せることだけでも素晴らしい財産ですが、子どもがアイデンティティーを確認したくなった時、また日本に行きたくなった時に、日本語ができると見える景色、感じる体験が違ってくる。それが日本語を学習してきた最大の見返りかもしれません」

たとえば、幼いうちは日本にいる祖父母との交流に日本語が不可欠であるといったわかりやすい理由付けも必要かもしれない。年齢によっては、テレビからゲーム、本、おもちゃまで日本語環境にして、遊びに日本語を取り入れるのも効果的だ。「ポケモンなど、子どもが好きなものを作っておくのも手。カードゲームでカタカナを覚えられました」と、末吉さん自身の経験も明かしてくれた。

アメリカでバイリンガル環境にいる子どもたちは、それだけで大変。「バイリンガルというと言語のことだけに目が行きがち。実際は2つの文化のはざまで子どもたちは成長しており、そのこと自体が想像以上に子どもを苦しめることもある。しかし、この経験こそが将来、国際社会で活躍していくうえで最大の財産となるのだから、どちらの文化も尊重することの大切さを学び取らせ、自己肯定感を育めるようサポートすることこそが、バイリンガル子育ての最も大切な部分だと思います」

Bell J Consulting & Advisory, LLC ■末吉陽子さん、小島はるかさんが、自身が困惑した経験をもとに、小中高の現地学校情報から米国大学受験事情までを日本語で提供するセミナーと個別相談を行っている。2009年開始時はベルビュー学区対象であったが、現在はシアトルほか広域に対応した土曜セミナーも開催。

続いては、シアトルと近郊エリアの日本語教育機関