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シアトルでバイリンガル子育て

▶バイリンガル子育て~シアトル・パブリック・スクールズ~

日本語での教育サポート~ベルJコンサルティング&アドバイザリー
シアトルで受けられる日本語の教育

 

取材・文:ハントシンガー典子、小林真依子

 

シアトルの公立学校、「この街で生きていく」ための教育を

プリスクールから高校までのK-12制度を採用し、計103校を抱えるワシントン州で最大の学校区となるシアトル・パブリック・スクールズ。教育ギャップをなくすこと(EOG:Eliminating Opportunity Gap)、一人ひとりに適切な指導を提供すること(MTSS:Multi-Tiered System of Support)を2本柱にきめ細かい教育を行っている。

シアトル市教育委員会(SPS)が掲げる合言葉に「シアトル・レディ(Seattle Ready)」がある。生徒それぞれに最適なスキルを身に付けようとする、将来を見据えた教育方針だ。企業の進出拡大が進むシアトルは、国内外から優秀な人材が集まり、雇用競争も高くなっている。それゆえ、シアトルで生まれ育っても、賃金によってはこの街で生活していけないという現実も。SPSは子どもたちが厳しい環境に立ち向かい、今後もこの街で生きていける力をつけられるようにとさまざまな対策を実施している。

バイリンガル児童へのサポート体制

移民、もしくは英語を第1言語としない親がいることで、英語力が授業のバリアとなることがある。SPSではそんなバイリンガル児童のサポート体制も整える。まず授業に必要な英語力をつけるイングリッシュ・ランゲージ・ラーナーズ(ELL)は98校で実施。英語と他言語の2言語による授業が受講可能なイマージョン・スクールもあり、日英のバイリンガル教育が受けられる小学校は、ジョン・スタンフォード・インターナショナル・スクールとマクドナルド・インターナショナル・スクールの2校だ(詳細は右記)。

英語に不安のある親向けに、母国語で教育に関する情報を得られるリソース・フェアも不定期に開催。親同士のネットワーキングの場にもなっている。

個を大切にした特別支援教育

SPSの特別支援教育は、障がいの有無で分けられることはない。支援教育に該当する生徒も通常学級に席を置き、通うことができる。担当教諭は授業中、特別に作成された個別指導計画書に沿って必要なサポートを行う。要支援児童はサポートを受けながら他生徒と一緒の教室にいることで、同時に社会生活を学んでいく。これもSPSが取り組む、シアトル・レディの一環だ。

SPSはダウン症や自閉症など学校外の病名診断に頼らず、各機関と連携し、独自のアセスメント・システムを採用している。そのため、支援教育の対象とはならない障がい児がいる一方、授業に集中できない、クラスになじめないと不登校中の子どもが支援教育のサポートを受けることもある。SPSは、一人ひとりを取りこぼさない。

個を尊重するアメリカ。目指すゴールによって、選択肢もさまざまな中で「どんな教育を受けたいか、将来どうなりたいか」と、日ごろから親子で話す時間を持つことが大事だと語るのは、SPSでスペシャル・エデュケーション・プログラム・スペシャリストを務める市川真希さん。人種、性別、家庭の経済力や社会的地位、語学力、障がいの有無に関係なく、それぞれのゴールを達成できるよう、SPSは未来に羽ばたく子どもたちの背中を後押しする。

2018年度オプション・スクール入学申し込み

理系に力を入れるSTEMプログラムやアート、バイリンガル教育、モンテッソーリ教育など、公立ながら独自のカリキュラムを取り入れるオプション・スクール各校。シアトル市内在住であれば誰でも申し込める選択制となっており、期間中にSPSウェブサイトから希望校申込書を入手し、オフィスまたは郵送、メールで提出する。近年は応募者多数で抽選になるほど人気が高い。

日英バイリンガル・イマージョン・スクール情報

イマージョン・スクールを希望する場合、日本語を第1言語とする親を持つネイティブは「ヘリテージ」児童として日本語の能力テストが必要となる。

John Stanford International Elementary School

スクール・ツアー

日程:1月31日(水)9am~10am /5:30pm~6:30pm
場所:校内図書室

McDonald International Elementary School

スクール・ツアー

日程:1月29日(月)10am~11:30am
場所:校内図書室

プリスクールへの入園申し込み

一部の小学校にSPSが管轄するプリスクールが併設されている。シアトル市内在住の児童が対象。右記のほか、コミュニティーによってカバーされているプリスクールもある。申し込み受付時期や方法などの詳細は問い合わせを。

Seattle Preschool Program

低い保育料を提供するシアトル市と提携したプログラ ムで3・4歳が対象。家庭の所得により保育料が変わる。

Head Start Seattle Public Schools

米保健福祉省による低所得家庭向けプログラム。対象は8月31日までに3歳または4歳になる児童。申し込みには所得を証明する書類が必要。

  • 問い合わせ:☎206-252-0960

Developmental Preschool

特別教育支援の必要な児童向けに、セラピー教育を行う。対象は3~5歳。子どもの成長に不安がある場合、まずはスクリーニングに相談を。

市川真希■シアトル市教育委員会でスペシャル・エデュケーション・プログラム・スペシャリ ストとして働く、唯一の日本人スタッフ。「人生にひとり、大好きな先生にどの子どもも出会えるように」と、障がいを持つ子の親として、また支援教育現場での経験を生かして、教育プログラム改革と後任教諭の育成に取り組む。

 

続いては、日本語での教育サポート