庭先に白、ピンク、薄紫、紫と多彩な色とともに香りを運んでくれるライラック。昔から数多くの文学に登場していて、トルストイの『復活』の白いライラックは有名です。日本には明治時代中頃にヨーロッパから入り、観賞用に植えられたのが最初と言われています。
小さな花が集まった花房の美しさを生かしながら生けていきましょう。枝先についた花の量感を意識しながら、重すぎるときは花房を減らしていきます。まっすぐな太い枝はためがききませんが、細めの枝はためがききます。
今回は花房を見せるため、花の近くの葉は整理して枝の線を見せます。新緑の春らしさを演出するため、花器の口元近くに緑の葉をいれましょう。水揚げはよくないので水切り後、枝の切り口から3、4㎝の皮を鋏でそぎ、割りを入れてアルコールにつけます。一度水が揚がると比較的長持ちします。紫色のライラックと真紅のバラ、色の妙をお楽しみ下さい。
花材:
- ライラック5本
- バラ3本
- 添え木1本
花器:
グレーの投げ入れ
生け方
- 花房のライラック、長めを添え木にかまして立て、器に入れます。その時ライラックは器から見て、右側にしっかり立てます。
- 短めの花房のライラックを①のライラックに添わせます。
- さらに短いライラックの花房を中央に挿して、色をかためます。
- 花のない葉のみのライラックの枝を左側に、75度の角度まで下げて挿します。
- 奥行きを出すため、後ろ側にも短めの葉のみのライラックの枝を、後方40度に挿し
ます。 - バラを1本、中央に短めに75度に挿し、バラの正面をはっきりと見せます。
- ⑥より少し長めのバラを、左側の枝葉の上に挿します。
- ⑦のバラのやや後ろに、少し中央に向けてもう1本のバラを挿します。
- 花器の口元を隠すように、小さな花房のライラックを1本挿して完成です。
[花ごよみ]