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アメリカでの就労について〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

アメリカでの就労について

外国人がアメリカで働くには、スポンサー企業が外国人労働者のために就労ビザを申請することが一般的な方法です。アメリカでは、まず就職先を探して、就労ビザの申請・取得の手続きを進めます。

それぞれの就労ビザ申請カテゴリには個別の条件があり、外国人労働者やスポンサー企業はその条件を満たさなければなりません。「どのビザが取得しやすいか」という質問を受けますが、個々の状況を分析せずに判断することはできません。申請者の学歴や実務経験、スキル、オファーされている仕事の職務内容、スポンサーとなる会社の形態や事業内容、および運営状況など、さまざまな要素を分析し、申請者に最も適したビザを選出する必要があります。

アメリカでは、就労ビザはスポンサーとなる企業に付随しているため、スポンサーした企業で申請した労働条件に沿ってのみ就労が許可されます。従って、一度ビザを取得しても、雇用先が変わったり同じ雇用先でも申請した労働条件が大幅に変わる場合は、再申請が必要となります。また、アメリカには、フリーランス、つまり特定の会社に所属せずに、好きな時に好きな所で働くという自由契約で取得可能な就労ビザはありません。

アメリカで就労ビザを取得する場合、特定の雇用主との雇用関係が必要になります。たとえば、H-1Bビザ保持者の場合、複数の雇用主のもとで働くことは可能ですが、それぞれの雇用主が請願書を個別に提出し、移民局の認可を得る必要があります。

ビザ保持者の副業やアルバイトはどうでしょうか。

上述の通り、アメリカにはフリーランスのビザはないので、ビザ保持者による副業やアルバイトはできません。たとえば、会計士事務所が就労ビザのスポンサーとなり、会計士としてH-1Bを取得した外国人労働者が、週末にサーバーや家庭教師として働くというような副業やアルバイト的なことは法律上、許可されていません。

就労ビザの申請ステップ

ステップ1:スポンサー企業が米国移民局に請願書を提出
H-1BやE-3、H-2Bのように、移民局に請願書を提出する前に、労働省から認定が必要
なケースもあります。
ステップ2:請願が認可されたら、米国大使館・領事館にてビザ・査証を申請
配偶者や21歳未満の未婚の子どもは、ビザ申請者の扶養家族として、ビザ申請者と一緒
にあるいは後から米国大使館・領事館にてビザ・査証を申請できるので、ステップ1は必
要ありません。

すでにほかのステータスでアメリカに滞在している人は、アメリカ国内でステータス変更という方法で申請が可能です。その場合、アメリカに滞在している限りステップ2は必要ありません。

そのほかの就労ビザの申請

EビザやTNビザのように、ビザの種類によっては米国移民局での請願は必要なく、米国大使館・領事館にて(カナダ国籍のTNビザ申請者は、特定の税関・国境取締局オフィスにて)、申請を行えるケースもあります。

また、F-1ビザ保持者がOPTを行う場合は、移民局にて就労許可証を申請しなければなりませんが、スポンサーによる請願は必要ありません。就労・研修がF-1ビザ保持者の専攻分野でなければならないという規定や、大学の留学生アドバイザー(DSO)の許可が必要という要件はありますが、スポンサーによる就労ビザの請願は必要ありません。

Eビザ・Lビザ保持者の配偶者も、スポンサーによる請願は必要なく、アメリカでの就労が認められています。会社に所属することも可能ですし、契約社員として働くことも、自身でビジネスを起業することも可能です。ただし、就労はビザのステータスに付随しているため、Eビザのステータスが合法的であることが条件の一つです。

上述の通り、外国人がアメリカで働くには就労ビザや就労許可証が必要です。実際に働くとなると、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーを取得したり、確定申告の義務が発生したりするケースもあるので、注意しましょう。

五十畑 諭
神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 カンザス州およびワシントン州弁護士協会会員、米国移民法弁護士協会会員。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118