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2年間の条件付きグリーンカードと条件削除申請〜知っておきたい身近な移民法

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

2年間の条件付きグリーンカードと条件削除申請

アメリカ市民あるいはグリーンカード保持者との結婚を通してグリーンカードを申請する際、結婚後2年以内の発行の場合には、2年間のみ有効なグリーンカードが取得できます。これを条件付きグリーンカード(Conditional Green Card)と言い、その保持者は条件付きグリーンカード保持者(Conditional Permanent Resident)と呼ばれます。

条件付きグリーンカードの条件を削除するには、その有効期限が切れる前の90日間内に、条件削除(Joint Petition) の申請をします。この申請は通常、グリーンカードのスポンサーである配偶者と共同で行わなければなりません。

ただし、離婚や死別、虐待などの理由により共同で申請ができない場合には、共同申請からの免除(Waiver)の申し立てをすれば、外国人配偶者が単独で申請することが可能です。グリーンカード取得時に結婚後すでに2年以上が経過している場合には、初めから10年間有効のグリーンカードが発行されるため、条件削除の申請は必要ありません。

●条件付きグリーンカードの目的

条件付きグリーンカードは偽装結婚を防止することを目的に発行され、2年間の有効期限付きという以外は、通常のグリーンカード保持者と同等の権利が与えられます。従って、就労に関する制限もなく、米国と海外の間を自由に往来することも許されています。さらに、条件付きグリーンカード保持者として過ごした2年間は、市民権取得条件のひとつである、米国内での最低居住期間にもカウントすることができます。

●条件削除の審査期間

条件削除の審査期間は、その時々で進展したり後退したりします。また、地域によっても異なります。現在、審査期間は、2年前後と非常に長くなっているため、審査期間中にグリーンカードの有効期限が失効してしまいます。

しかし、移民局が申請受理後に発行する申請受理書には、グリーンカードの有効期限後も、条件削除申請の期間中は最長24カ月間、グリーンカードの有効期限を延長すると記載されています。それにより、有効期限が切れてしまったグリーンカードと申請受理書を携帯することで、引き続きグリーンカード保持者であることの証明となり、アメリカでの就労や海外への渡航も可能です。

なお、審査期間が短い時には、申請受理書に記載される延長期間が12カ月、18カ月などとなっていることがありますので、申請受理書を受け取ったら延長期間を確認しましょう。ちなみに、1年半から2年ほど前に発行された申請受理書には、18カ月と記載されていましたが、その後は申請期間が全体的に長くなっているため、18カ月間延長と記載する申請受理書が発行された申請者に対し、移民局では24カ月と記載する申請受理書を再発行しています。

●グリーンカードの審査

グリーンカードの審査は以前ですと、結婚の信用性に疑いがある場合や無作為に抽出されたまれなケースを除き、基本的には書類審査が中心でした。

しかし、トランプ政権(2017-2021)で、移民局はほぼ全ての申請においてインタビューを行う方針に変更しました。特に、アメリカ国外にある米国大使館での移民ビザのインタビューを経て、2年間の条件付きグリーンカードを取得した外国人は、移民局でインタビューを行っていないため、条件削除では必ずインタビューが予定されていました。

その後2022年4月7日になって、移民局は「全ての条件削除申請者に対しインタビューを義務付けることは、移民局のリソースを有効的に使えていなかった」とし、今後は偽装申請の特定や国家安全の確保と申請期間の改善のバランスを考えながら、より効率的に申請を進める意向であることを発表しました。

具体的には、結婚が偽装でない証拠が十分にあり、申請書類に虚偽がなく、インタビューで解決しなければならないような複雑な事実や問題点も見当たらない方で、また、永住資格に反するような犯罪歴がないという場合は、審査官の裁量でインタビューが免除されることになりました。この新方針は、発表があった4月7日からすでに施行されています。

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118