団塊の世代の日本人が今直面する、親の介護。高齢の父母の暮らしを手助けするために、日米を往復する夫婦の暮らしとは?
高齢となった親の暮らしに手助けが要るようになると、地域の自治体を通じて最初にやって来るのはケアマネジャー、略してケアマネさんです。
私が初めてケアマネさんに会ったのは、10年以上前のこと。心筋梗塞を起こして手術した母が退院。一方、父にはアルツハイマーの症状が出始めていました。当時、弟妹は東京に住んでいましたから、地元福岡での今後の両親の暮らしには何らかの手助けがどうしても必要だったのです。
ケアマネさんは、面談により介護の必要度を探ります。これに医師の診断書も加わり、手助けの必要性が認定されるのです。認定には現在、「自立」と「要支援」「要介護」があり、要支援は2段階、要介護は5段階に分かれています。手助けが必要とされる程度の軽い「要支援1」から最も重い「要介護5」まで7段階に渡る認定がされると、それに応じて介護保険による支援の範囲が決まります。
介護保険による支援は、大きく分けると2種類あります。1つは、買い物や掃除、入浴介助などをするヘルパーさんの派遣や、デイサービスへの通所手配など。もう1つは、玄関の上り口や浴場、階段などに取り付ける手すり工事などへの助成と、ベッド、手押し車などレンタル料の助成です。いずれも、認められれば実費の1割程度の自己負担で済みます。
手術後の母は要支援1、父は要介護1と認定されました。ケアマネさんとの面談では皆、試験感覚でつい張り切ってしまうようです。日頃はいろいろと混乱を見せていた父の口から、スラスラと月日も住所も出てきたのには驚かされました。正直、家族としては、面談で両親の普段のありのままの姿を見て評価してもらいたいところです。
認定度により頻度は違いますが、翌期の介護計画を立てるため、ケアマネさんは定期的に自宅訪問をします。これには父母以外の家族が同席するようリクエストがあり、時間をやりくりして、妹か私が立ち会いしました。が、これが母には屈辱だったようです。当時80代半ばだった母は、現役主婦を自任していて、まだ元気でした。時には「なぜ、話をするのに私ではいけないの。ボケてはないのに」と憤慨。ケアマネさんに抗議するという母に、「娘が都合が悪くなりましたのでと言って、ひとりで会えば?」と、電話口でなだめたこともあります。こうして、いろいろありましたが、週1回のヘルパーさんによる手伝いと週2回の父のデイサービス通所が始まりました。