伊勢のおばちゃん あなたのお役割は?
「伊勢のおばちゃん」ことみやざきみわさんが、マヤのツォルキンと神道を融合した統計学である「十三導」を元に、人間関係、子育てから経営まで、様々なお悩みを解決します。
和醸良酒
ものづくりにも人の輪と和が投影される。お互いを思いやる仲良し家族に、ワンチームの酒造りの伝統が脈々と受け継がれています。
シアトルの皆さま、こんにちは。今回も酒蔵シリーズ続行です! しかも親子で登場してもらいますよ。
滋賀県は堅田という景観も美しい湖のほとりで、1805年に創業した浪乃音酒造。比叡山延暦寺の僧侶により「浪乃音」の名を授かったのが、その年だったとのこと。なんだか、とってもかっこいい! この歴史ある酒蔵の素晴らしさは、「輪と和」。実は、私が浪乃音酒造の一家と知り合ったのは、蔵元と知る前のことでした。とにかく、ここの家族の仲の良さは目を見張るほど。酒造りには「和醸良酒」という言葉がありますが、私は勝手にこう思います。酒は人を映すように透明無垢の存在。だからこそ、関わる人々の輪も心の和も、きっと酒に映るのではないかと……。
そんな浪乃音酒造、仲良し一族の素晴らしいストーリーに戻りましょう。10代目蔵元の中井3兄弟は、早くに9代目蔵元の父親を亡くしています。そこで立役者として現れるのが、能登杜氏の名手。まるで亡き父親に導かれるように縁ができていきました。「3兄弟で酒蔵をやるぞ!」と決めた当時、長男は19歳、次男は高校生、三男は中学生だったそう。現在は長男が釜屋、次男が杜氏、三男が麹屋とお役割を明確にして、浪乃音酒造の理念でもある小仕込みで、「上品で舌で溶ける甘み」を進化させています。
そして、11代目蔵元の充也さん。よくある「酒蔵なんて継ぎたくない!」どころか、自分が継承するコトは当然との心持ちでいます。幼少の頃より、酒造りの季節になると蔵に人がやって来て、家族の輪と同じように酒造りの人たちと食卓を囲み、和を作り、その中で育まれてきました。そのため、酒造におけるチームの居心地の良さを知り、今があるそうです。面白いエピソードも聞きました。小学生の頃の充也さんが「僕は納豆を食べてはいけない」と先生に主張します。そう、菌は蔵にとっては大敵。そんな幼いうちから言い切れる姿を想像すると微笑ましい。
今年、充也さんは妻の千紗さんと子どもを連れての東北での酒造修行から堅田に戻ってきました。父親である10代目蔵元3兄弟の長男、孝さんを含めた一家は他に類を見ないほどに家族の絆が強く、心が震えます。この中井家、実は酒を造る孝さん、充也さん、千紗さんの日本チームのほか、スペインにもチームがあり、お互い思いやり支え合っています。スペインには孝さんの妻の美恵さん、長女の保乃可さん、次男の朗人くん、三男の卓大くんが暮らします。朗人くんと卓大くんはサッカーに勤しみます。美恵さんと日本語学校勤務の保乃可さんはそのサポートを。末っ子の愛称「ピピ」こと卓大くんは、レアル・マドリード下部組織のフベニールAに所属。それぞれ目標、目的がしっかりしていながらも、個々の役割を認めて常に思いやっている。美しい家族あっての、浪乃音酒造のおいしい酒。ひと言で表すのは難しいのですが、全てがつながっているとお伝えしたい。
さあ、期待していてください! 孝さんとその長男の充也さんが今年初めて親子で酒造りを行います。春に出来上がる新酒を楽しみにしたいところ。私の提唱する人間学「13導」では、孝さんが家族をつなぐ懸け橋の3番「仲人」。充也さんは、大きな目標があればあるほど成長する5番「スター」です。これからの酒造りに期待大! 間違いない。