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帰国後の手続き(2)〜今から考える日本への永住帰国

今から考える日本への永住帰国

現在はアメリカに住んでいるけれど、いつかは日本に戻りたい! そんなあなたに役立つ知識を、日本帰国支援のエキスパートが提供。

本帰国の際に必要となることのひとつに、公的年金(以下年金)の変更届提出や請求手続きがあります。米国の年金(Social Security)は元より、日本の年金(国民年金、厚生年金等)を受給している場合や、以前に日本で年金に加入し保険料を納付していた場合は、日本の年金の手続きも必要となります。

日本の年金は、具体的な内容も対応窓口も加入者によって異なります。自身の加入状況から以下をご参照ください。

日本の年金:すでに受給中の人

米国居住中から日本の年金請求手続きを行い、受給している方は、帰国後に日本の住所および銀行口座(年金振込先)へ変更します。あえて米国のままにしておく場合は変更手続きをする必要はありません。この変更手続きには2、3カ月かかるため、変更届提出直後に米国の銀行口座を解約してしまうと、次回分の年金の入金ができなくなりますので要注意です。

また、少し細かい話なのですが、米国居住中に日本の源泉徴収の免除を受けていた場合、住所を変更すると税務上の日本の居住者となるため源泉徴収が発生します。毎月の年金受給額が5万円(65歳以上は9万5,000円)を超える方は、その約20%が減額されての入金となります。

日本の年金:まだ受給していない60歳未満の人

日本では国籍に関わらず20〜60歳の間は国民年金への加入が義務となります。帰国後の住所変更手続きで住民登録を行うと、その時点から国民年金へ加入し、60歳になるまで毎月の国民年金保険料(2021年は毎月1万6,610円)を納めなければなりません。60歳以上の方は住所変更だけで保険料の納付義務はありませんが、将来の年金額を増やしたい人は任意加入の届出を行い、納付月が480カ月になるまで継続して納められます。

米国居住中も、日本国籍であれば国民年金に任意加入できますが、帰国後は第1号被保険者(加入は義務)として登録が変更になります。任意から義務に変わっても、毎月の保険料額に変更はありません。

帰任する駐在員は?

日本企業の駐在員は、米国居住中であっても日本の本社在籍のまま厚生年金被保険者として加入するのが一般的です。帰国後も特に手続きは必要ないでしょう。仮にあったとしても、会社の福利厚生担当者が手続きをしてくれるケースがほとんどです。

帰国後に初めて年金を請求する

受給開始年齢である65歳(一部の人を除く)で、帰国後に日本の年金を受給したい場合、通常の方法で手続きができます。65歳前に登録住所へ請求手続きについて通知が届きます。

請求手続きは最寄りの年金事務所で行います。加入期間が短く、加入要件(120カ月加入)を満たしていない場合でも、日米年金加入期間の通算により請求することができます。日本国籍者は米国居住期間の証明だけで良いのですが、米国籍取得者は米国年金に関する書類の提出が必要です。ソーシャル・セキュリティー・カードはきちんと保管しておきましょう。加入履歴(ステートメント)は帰国後もオンラインで取り寄せられます。

各種年金手続きのための窓口

大多数の人が加入する国民年金、厚生年金は各市町村役場や最寄りの年金事務所で手続きできますが、第2号被保険者(会社員、公務員、学校関係者)は所属先によって対応窓口が変わります。

国民年金の場合、帰国者は住民登録の際、市町村役場の住民課部門で国民年金や国民健康保険等の手続きもするよう促されますのでわかりやすいと思います。

国民年金 市町村役場または年金事務所
厚生年金 年金事務所
国家公務員 国家公務員共済組合連合会(注1)
地方公務員 地方公務員共済組合(注2)
公立学校従事者 公立学校共済組合
私立学校従事者 日本私立学校振興・共済事業団
企業年金

各厚生年金基金または企業年金連合会(注3)

注1:所属先の省庁ごとに連絡先が変わる場合があります。
注2:各都道府県共済組合、市町村職員共済組合、警察職員共済組合など。
注3:企業年金は公的年金ではなく企業の福利厚生ですが、ここでは参考
に記載。

(株)ライフメイツ/ライフメイツ社会保険労務士事務所代表。米国を始めとする海外在住者の年金申請、相談サービスを多数手掛ける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士として日本への永住帰国時および帰国後の生活のサポートや、海外在住者向けに日本の老親の終活に関する支援を行う。 (株)ライフメイツ ☎213-327-8650(北米) ☎03-6411-8984(日本) www.life-mates.jp