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毎月のことですから〜ゆる〜くSDGsな消費者生活

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

岡塚敦子さんという日本生まれのスタンドアップ·コメディアンが気になっていて、インスタでフォローしている(10月5日・6日にシアトル公演があったそう)。お笑いに詳しくはないのだが、ファッションがカラフルでかわいい。人を元気にするエネルギーにあふれた人だなと思う。

先日、投稿されていた動画も興味を引かれた。買ったばかりの生理用ナプキンを持って車の助手席に乗り込みながら、袋が必要か聞かれることに辟易していると言う。「なんで恥ずかしがらなきゃいけないの? みんな私が何を買ったか見たら良いのよ。ほら、私は今月も血が出てますよー!」なんて、叫びながら車外にパッケージを見せびらかしている。ほんとその通りだよね、と見入ってしまった。トイレットペーパーはそのまま抱えて持って帰るのになぁ。

近年、生理用品の変化は目覚ましく、より機能的かつおしゃれになった。ミレニアル・Z世代のインフルエンサーたちも、SNSでポップやシックにPRしていたりする。SDGsとかサステナブルとか、世の中の風潮ともリンクしているようだ。確かに生理用品の品質は女性の権利向上と関わっている。実際、女性の立場が弱い地域では、生理の貧困も大きな問題。また、女性が一生で消費する生理用ナプキンの量はおよそ9,600枚と言われ、その環境負荷を考えることは重要だ。

さて、私はと言えば、敏感肌のため、アメリカに来てからなかなか合う生理用ナプキンにめぐり合えずにいた。ここ10年は布ナプキンを愛用してきたが、これはこれで繰り返し使えてサステナブル。リバティ柄などがそろい、デザインで気持ちもアガる。理由はわからないが、なんとなく生理痛も緩和される(気がする)。とはいえ、やはりお出かけ中などは使い捨てタイプが便利。

ちょっとお高いが、生理用のナプキンやタンポン、パンティーライナー、ショーツのほか、今話題の月経ディスクなども取り扱うコーラ。ザ・ピースオブマインド・パッド(左)は16枚入り、ザ·ガットユーカバード·ライナー(右)は40枚入りで共に約8ドルで購入

気軽に使える物はないかと探していたところで最近見つけたのが、コーラというサンフランシスコ発ブランドのオーガニック·コットン·パッド。以前に他社のオーガニック製品を試した際は、表面が簡単にはがれてしまって使用感がイマイチだったが、これは今のところ快適に使えている。シンプルで「いかにも」という感じがしないパッケージも良い。箱のままバスルームに置けるし、個包装のデザインもスタイリッシュ。

フェムテック・ブランドのHogaraと、森 星さんがクリエイティブ・ディレクターを務めるCITY SHEDがコラボした吸水ショーツは、ドリップ後のコーヒーや小松菜、柿で染色しているそう……と、進化している吸水ショーツも目が離せない。アメリカ発なら、全製品にエコテックス®スタンダード100認証素材を採用しているシンクスなどがある

祖母の時代にはこっそり脱脂綿を当てていたというのだから、生理用品の進化、そして社会の変化はありがたい。初潮から閉経まで1年で約84日もある日々を、より豊かに過ごしていきたいものである。

■Cora
https://cora.life

生理用品を買えずに生理中は学校を休むというケニアの少女の話に衝撃を受け、香料や化学染料などウェルネス製品の添加物にも疑問を持っていたモリー·ヘイワードさんが、2015年に生理用品サブスクリプション・ショップとして創業。従来品より有害物質を平均約85%削減し、提携機関を通じてインド、ケニアに製品を寄付することで、両国で1.5万人とも言われる生理の貧困に悩む少女たちに清潔なナプキンと健康教育を提供している。

■Hogara
https://hogara.jp

1841年から続く繊維を主軸とする総合商社、豊島株式会社で、2021年に女性社員のプロデュースによって発足。ブランド名は「朗(ほが)らかに光り輝き広く晴れ渡る」という意味の日本古来の言葉に由来し、漏れない4層構造のオーガニックコットン吸水ショーツなど、女性のリアルな声を反映した商品化を実現している。繊維のプロである豊島だからこそ作れる、こだわりの詰まったアイテムを数多く発信する。

■Thinx
www.thinx.com

2013年に誕生した、ニューヨークを拠点とするフェムテック·ブランド。吸収ショーツを、ティーン世代向けのシンクス·ティーンズ、尿漏れをサポートするシンクス·フォー·オール·リークスを含めた3ラインで展開する。再利用できる素材を用い、持続可能なライフスタイルを提案。多様な人々が生理·衛生用品にアクセスしやすくなるよう、ブラック·ママズ·マター·アライアンスなど14以上のコミュニティー団体と提携し、寄付などを行う。

■IDEAS FOR GOOD「Femtech(フェムテック)とは・意味」
https://ideasforgood.jp/glossary/femtech

生理用品を始め、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する商品が目立ってきたが、これらは総称して「フェムテック」と呼ばれるらしい。この日本語サイトでは、昨今の女性の「性」にまつわる現代的変化がなぜ起こり、世界的に注目されているのかをわかりやすく説明している。今回取り上げたブランド、コーラについても、フェムテックの海外スタートアップ企業例として紹介。

 

加藤 瞳
東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。