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穴開き靴下の愛嬌にサステナビリティを見た話〜ゆる〜くSDGsな消費者生活

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

イギリスなど、ヨーロッパで古くから行われている衣類の修繕方法のひとつ、「ダーニング」をご存じだろうか。靴下やセーターの穴開き、擦り切れを補修し、刺しゅうのような手法でカラフルに美しくアップサイクルしてしまうというもの。私がその存在を知ったのは、ずいぶん前に母が日本から送ってくれた雑誌『暮しの手帖』の「靴下のお直し」特集。ページのトップにどーんと載った写真がとっても素敵で、すぐさま魅了された。

『暮しの手帖』(上)と野口 光さんによるダーニングの本。ダーニングには立体を維持するため木製のキノコ型の道具、ダーニングマッシュルーム(かなり高価)を用いる。が、私は義実家からもらってきたこけしで代用

本コラムでも触れたことがあるが、私は靴下が好きだ。そして靴下はやはり日本製が良いと思っている。しかも気に入ったものはひたすら履き倒すため、なかなか買えない日本の靴下は、かかともつま先もよく擦り切れる。そんなお気に入りたちを、ダーニングでかわいく繕えたらどんなに良いだろう! 少し前、愛読していた漫画『珈琲いかがでしょう』が中村倫也さん主演でドラマ化された際、助演の夏帆さんのダーニングを施したセーターが目に留まった。着ている人もかわいければ着られているセーターもかわいかった。

これは自分もやってみるしかないよね、と手始めに、日本サイズに見合わない大き過ぎる足のため、いつも穴だらけになる夫の靴下を補修してみた。ネイビーに白のネップが入った日本製の靴下に、パステルカラーで縫い付けた初ダーニング。プロトタイプとしてはうまくいったと思う。しかし、いかんせん手間がかかるうえに、自分にはセンスが全くない気がして、その1足で断念した。

再挑戦のダーニング靴下は、手近にあった刺しゅう糸を使用(ダーニング専用の糸もあるそう)。補修部位が大きく、とんでもなくカラフルになったが、それはそれで愛らしい。ついでに夫の靴下たちもお直し

そのダーニング熱が今、再燃している。子どもの穴開きレギンスを上手に補修する友人に触発されたのもある。なんでこんなにうまくできるんだろう? と思っていたところに、インスタのリールでダーニング動画が上がってきた。以前は思い付かなかったが、ダーニング作品やそのプロセスをアップする人は世界中に山ほどいて、大変参考になる。最近では日本の刺子の技術も注目されているようで、外国の人の、刺子でデニムのお直しなんてのも見かける。本当に便利な世の中になったもんです。

久々のダーニングは、かかともつま先もボロボロになった愛用の靴下で。あまりにボロボロだったので、あと3足くらい新しく毛糸の靴下が編めてしまうほどの時間がかかってしまった。でも良い練習にはなった。これは楽しい。この勢いで、しばらく頓挫していた金継ぎも再開しようか。そうだ、今しかない!

hikaru noguchi darning
https://darning.net

日本でのダーニングの第一人者でテキスタイルデザイナーの野口 光さんのダーニング専門サイト。ダーニングの基本知識、さまざまな道具について紹介している。野口さんのオリジナル·グッズを販売するオンライン·ショップ(https://hikarunoguchi.shop)もある。どれもかわいくて、つい欲しくなってしまうから要注意。

Quince & Co.
https://quinceandco.com

主に編み物用品を扱うオンライン·ショップ。手編みデザイナーのパム·アレンさんがメイン州の織元と提携して始めたビジネスで、サステナブルなスローファッションにフォーカスしており、ダーニングマッシュルームや刺子用具などもそろう。ここも手芸好きにはたまらないものばかりだ。

Brooklyn Haberdashery
www.brooklynhaberdashery.com

日本やイタリアを中心に世界中からハイクオリティーの手芸用品を集めるオンライン·ショップ。DIYセクションの「メンディング+ダーニング」のコーナーが特に充実し、豊富なダーニング糸、刺子糸はもちろんのこと、上述の野口 光さんのオリジナル·マッシュルームや、日本語のダーニング·キット本も購入できる。なんと、簡易金継ぎキットまで。

Fast Fashion Therapy
「Find-it-at-home Darning Mushrooms!」
www.fastfashiontherapy.co.uk/2020/04/08/find-it-at-home-darning-mushrooms

古着の修繕、アップサイクル、リメイクを推奨しているイギリスのワークショップ団体、ファスト·ファッション·セラピーによる、「家にある物でダーニングマッシュルームの代用ができないか?」というアイデアをまとめた記事。ジャムの瓶やタンブラー、すりこぎなど、それぞれの形状に向いた修繕アイテムなども提案。こんな物までと目からウロコ!

 

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。