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サステナブル・デンマークに憧れて〜ゆる〜くSDGsな消費者生活

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

大学では西洋史学を専攻していた。3年間、デンマーク史の授業を取り、デンマーク語を学んだ……というのは形だけで、研究室で毎週お茶を飲んでいるばかりだった。そのため、せっかくのデンマーク語も、「私は男です」という全く役に立たないフレーズしか覚えておらず、切実に後悔している。なぜなら今、デンマークがアツいからだ。

▲ヘンリック・ヴィブスコフのマフラーを使い倒していた2010年冬。うっかり縮ませてしまったが、解いて新たに別の何かを作ろうと考えている。これもSDGs!?

そもそも最初にデンマークが気になり始めたのは15年前、お気に入りのセレクト・ショップでヘンリック・ヴィブスコフというデザイナーズ・ブランドに出合った時。その頃はあまり見かけなかった独特の色使いやユニークなデザイン性に、すぐさま魅了された。ここ10年ほどで、ガニーやバウム・ウンド・ヘルガーテンなどのデンマーク・ブランドが日本やアメリカに次々と進出し、人気を博している。ファッション・フォトグラファーのシトウレイさんのYouTubeチャンネルでも「コペンハーゲン発」というワードをしばしば耳にし、つい「おぉ!」と反応してしまう。

▲ガニーは、植物や鉱物から抽出した天然染料によるカラフルなラインが特徴的。生産過程で水の消費量とCO²の排出量を削減し、有害な化学成分を排除したサステナブルなデニムの生産も行う

これらのブランドの共通点は、サステナビリティに対しての意識の高さだ。ガニーと言えば、遊び心のあるデザインと、リサイクル素材の活用など環境への配慮で知られる。興味深いのは「私たちはサステナブル・ブランドではない」と大きくうたっていること。常に新しさを追求するファッションの概念そのものがサステナビリティとは相反することを認めたうえで、ブランドには社会的・環境的影響を最小限に抑える責任があり、それは道義的義務だとしている。つまり、サステナブルというのは目新しい宣伝文句ではなく当然のこと、というわけか。なるほど。

2017年からオーガニックのリサイクル素材を使用し始めたバウム・ウンド・ヘルガーテンも、2024年までに全素材を持続可能な供給源から調達することと、ポリエステルやナイロンの100%リサイクルを目標としているそう。服に限った話ではない。インテリア・プロダクト・ブランドのHAYも、環境への配慮に力を入れているし、本コラムで紹介したサステナブルなおもちゃメーカー、ダントーイもデンマーク!

◀︎ 2018年、義妹の結婚式にと購入したバウム・ウンド・ヘルガーテンのドレスは、ビスコースとシルクの混紡。自宅での洗濯が可能で、ドライクリーニングに比べ、よりエコなのも良い

学生時代、教授が研究者としてコペンハーゲンにいた頃の話を聞いた。1980年代当時、すでに自転車通勤が当たり前で、自転車専用レーンも整備されていたそう。環境先進国なんだなぁと感じたように記憶している。そんなデンマークでは、昨年大晦日にマルグレーテ女王が退位を発表し、新国王としてフレデリック10世が1月14日に即位。新しい時代の幕開け、と沸いているらしい。行ってみたい! けれど、デンマーク語が……。

■Henrik Vibskov
https://henrikvibskovboutique.com
1972年、デンマークに生まれたデザイナー、ヘンリック・ヴィブスコフさんが、2001年より自身の名を冠したブランドをスタート。2003年には、パリ・ファッションウィークでコレクションを発表する。アーティストとのコラボ、インスタレーション制作なども手がける。近年は環境配慮型の生産・デザインに大幅転換。

■Baum und Pferdgarten
www.baumundpferdgarten.com/us
1999年、コペンハーゲンで誕生。ブランド名は、設立時のクリエイティブ・ディレクター、ヘレ・ヘステハブさんとリッケ・バウムガーテンさんの名字を組み合わせたもので、「木と馬の庭」(Tree and Horsegarden)の意味。同ブランドのオンライン・ショップでは、負荷の少ない素材や生産の透明性などの基準を満たした、より「責任ある」商品に地球儀のアイコンが付く。

■GANNI
www.ganni.com/us
2000年、美術商であったフランス・トルーウルスン氏によってコペンハーゲンで設立された同ブランドを、2009年にニコライ、ディッテ・レフストラップ夫妻が新CEOとクリエイティブ・ディレクターとしてリブランディングし、現在のような形に。鮮やかな色とプリントの組み合わせを得意とし、生産過程におけるサステナブルなアプローチを重視。社会や環境に配慮した公益性の高い企業に与えられるBコーポレーション認証を取得している。

■HAY
https://us.hay.com
2002年、新タイプのデザイン・カンパニーとしてデンマークで開業。「良いデザインはあらゆる人の権利である」という理念の下、高品質でサステナブルかつ現代社会のニーズに合わせたインテリア・プロダクトを手頃な価格で提供することを目指す。筆者は収納に、同社のリサイクル・プラスチック・カラー・クレートを愛用する。

 

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。