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シアトル・シンフォニー久石 譲シアトル公演〜行ってきました

シアトル・シンフォニー
久石 譲シアトル公演

取材・文:フォーリー由香 写真:シアトル・シンフォニー

作曲家、そして指揮者としても活躍する久石 譲さんの約2年ぶりとなるシアトル公演が、1月12日から14日までの3日間にわたりベナロヤ・ホールで開催されました。

2022年に行われた4日間のシアトル公演に続き、今回も再びチケットが即完売という不動の人気ぶり。1月12日の公演初日、幸運にもメディア向けに用意された席で鑑賞できたので、その模様をお届けしよう。

©Brandon Patoc

▲超満員の客席。ステージ奥に和太鼓が光る

極寒の夜にもかかわらず、会場には開演1時間半前から続々と人が集まる。セットリストは当日まで伏せられていたため、どの曲が演奏されるか楽しみにパンフレットのページをめくった。この日は、「交響組曲第2番」、「アイ・ウォント・トゥー・トーク・トゥー・ユー」、「交響組曲 もののけ姫」という曲順。

久石さんは音楽担当者として、宮崎 駿監督作品に長年携わる。シンプルな音を反復するミニマル・ミュージックをベースとしているが、前半「交響組曲第2番」の「ワット・ザ・ワールド・イズ・ナウ」、「バリエーション14」、「ナーサリー・ライム」から、その楽曲構造の特徴がよく伝わってきた。演奏が終わると、久石さんは客席に向かって何度もお辞儀をし、最後の深い一礼で大きな拍手が沸き起こった。

©Brandon Patoc

▲和やかな雰囲気が伝わるリハーサル風景

休憩中にピアノがステージ中央へと運ばれ、後半は2020年に書かれた曲「アイ・ウォント・トゥー・トーク・トゥー・ユー」でスタート。バイオリンのソロから始まり、各弦楽器の奏でる調べが次々に重なって、ゆっくりと音が広がる。切なく、もどかしくなるような曲調だ。

ラストは「交響組曲 もののけ姫」。まず、和太鼓の勇壮な音に心奪われる。そして、記憶に刻まれた旋律が色あせぬまま、懐かしい映画のシーンと共によみがえる。「もののけ姫の章」では、ソプラノ歌手のセレナ・エドゥルジーさんが登場。よく通る鮮明で美しい歌声は、曲に華やかさを与えた。「アシタカとサンの章」では、久石さん自らピアノを演奏。バイオリンとのデュオで、息の合ったふたりの高い表現力に感動した。ほかにも、戦闘シーンらしい力強い音、コダマの音が鳴り響くたび、鳥肌が立つ感覚を覚えた。

©Brandon Patoc

▲情熱的にタクトを振る久石さん

会場のポスターにチケット完売の文言

アンコールでは、久石さんがジブリ最新作「君たちはどう生きるか」より「眞人の決意」をピアノで披露。その後もスタンディング・オベーションは続き、会場はすっかり興奮の渦に。久石さんは、またステージのピアノへと戻ると、映画「ハウルの動く城」から「人生のメリーゴーランド」を演奏。アンコール2曲の大サービスに、観客も大満足だ。久石さんとエドゥルジーさんが再び現れ、オーケストラのメンバーと共に一礼をして終演となった。

シアトル青年交響楽団(SYSO)
サイド・バイ・サイド・コンサート

「交響組曲 もののけ姫」を含め、世界的に有名なアーティストの6曲を演奏する。チケットは無料だが、事前予約を推奨。

日程:2月21日(水)7:30pm~
場所:ベナロヤ・ホール S・マーク・テーパー財団講堂
Benaroya Hall S. Mark Taper Foundation Auditorium
200 University St., Seattle, WA 98101
料金:無料
問い合わせ:☎️206-215-4700
チケット・詳細:www.seattlesymphony.org/en/concerttickets/calendar/2023-2024/23comm2

2023年からシアトル在住。アウトドアもインドアもいけるが、風呂なしキャンプだけは苦手。バケットリストは、象に乗ること、ノーマン・ロックウェル美術館に行くこと、モアイ像を見ることなど更新中。