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春の陽気に誘われて シアトル近郊でガーデンめぐり①

ワシントン・パーク植物園内の南に位置し、60周年を迎えた2020年に、外務大臣表彰を受賞した米国内でも名高い庭園。京都の桂離宮を手本にした池泉ちせん 回遊式庭園で、3.5エーカーの敷地に、日本庭園には欠かせない水、石、植栽、景物の要素が、見事なバランスで配置されている。

4月後半~5月に見頃を迎える藤棚

© Aurora Santiago

背の高い木々が迎える入り口付近 ▶︎

造園の中心人物となり、設計と監督の両方を担ったのは、造園家の飯田十基じゅうき さん。自然をそのまま切り取ってきたかのような造りを意味する「雑木の庭」の創始者として名を残す飯田さんの設計は「自然さ」へのこだわりが特徴。園内に見られる庭石は、地元ノースウェストと日本の両方から選び抜かれたものが使われている。飯田さんは日本国内で、1000園以上の庭を手掛けたそうだが、そのほとんどが住宅の庭であったため、現存するものは数少なく、当庭園は希少な存在。

園内には集会室や茶室などが備わり、四季折々のイベントが開催される。近い将来、北側の丘に庭園が一望できる展望台の建設も予定されている。1958年の設計段階から計画されていたものの、予算不足のために実現が見送られてきたという。まだ着工までに至ってはいないが、完成が楽しみだ。園内の景色は、日本にいるような錯覚に陥るほど素晴らしく、心が落ち着く。情緒豊かな日本の庭園風景に浸りたい方はぜひ訪れてほしい。

▼池の周りを優雅に散策。どこから眺めても趣ある風景が広がる

▼今年1月に新しく植樹された11本の桜の木

石灯篭に注目

園内には、雪見灯篭や面影灯篭など、様々な種類の石灯籠が14基佇む。そのうちの2基はシアトルの姉妹都市である兵庫県神戸市から贈られたもの。園内の灯篭について詳しく書かれた冊子が受付にて販売されている。灯篭のルーツについて学んでみるのも面白いだろう。

泰平たいへい灯篭。神戸市から贈られた灯篭の1つ▶︎

柿堺かきざかい かおる先生による尺八演奏

シアトル日本庭園では、様々なイベントが開催される。取材をした3月29日は、幸運にも世界的に有名な尺八奏者、柿堺 香先生の生演奏を聴けるということで楽しみにしていた。舞台は池のほとりに位置する月見台。閑雅な日本庭園を背景に、紋付袴を身にまとい尺八を奏でるという趣深い光景だった。その日は、当イベントを目当てに来園した人も多いようで、気が付けば人だかりができていた。英語での説明を挟みながら、午後3時から約1時間、長さが異なる2種類の尺八で全7曲を披露。自然と融合するような柔らかい音色ながらも、曲によって振動させたり、力強くさせたりと、柿堺先生の見事な表現力で、尺八の奥深さが伝わった。
◀︎演奏中にできた人だかり。皆、熱心に聴き入る

「尺八の曲は800年以上も前から、楽譜がないまま伝言ゲームのように継承されてきた」と話す柿堺先生は、シアトルを含め、世界中の教え子にリモートで教えているそう。アメリカには15年前から年に数回の頻度で訪れており、シアトルでも10回ほど公演したが、シアトル日本庭園での演奏は今回が初めてとのことだった。

▼日本でも耳にする機会が少ない尺八の生演奏


「旅する猫たち」の原画展

5月2日(木)から6月30日(日)まで、シアトルを拠点に活動する日本人アーティスト、一桝いちます茉莉まりさんの代表作「旅する猫たち」の原画展が開催され、水彩画の原画のほか、作品に関連するスケッチや下書きが展示される。ノートやスケッチブックを持参して、オリジナル・スタンプラリーにも参加しよう。無料開放日の5月2日(木)午後5時から行われるオープニング・セレモニーは、一桝さん本人に会える機会。ぜひ足を運んでみよう!

日程:5月2日(木)~6月30日(日)10am~7pm
※5月2日(木)・6月6日(木)開園12pm
※5月11日(土)・6月8日(土)10am~2pm
は12歳以下無料

 

 

Seattle Japanese Garden
1075 Lake Washington Blvd. E., Seattle,
WA 98112
開園時間:10am~5pm 定休:月
入園料:一般$10、6~17歳・65歳以上$6、5歳以下無料 ※第1木曜日は入園無料
※最終入園は閉園45分前まで
☎206-684-4725
www.seattlejapanesegarden.org