Home シアトル情報 シアトルブログ にじいろの街

にじいろの街

日本の大学を1年休学し、留学生としてシアトルにやって来た。それまでシアトルと言えば、パイク・プレース・マーケットにスペース・ニードル、スターバックスを知るのみだった。

引っ越して来たばかりの頃、まだ世界で1店舗しかなかった「スターバックス・リザーブ・ロースタリー&テイスティング・ルーム」に友人と出かけた。店舗のあるキャピトル・ヒルに初めて訪れた瞬間を、今でも鮮明に覚えている。

シアトルのダウンタウンから徒歩15分。街のメイン通りであるBroadway近辺には、平和やLGBTコミュニティーを象徴する「レインボー・フラッグ」を掲げた店が軒を連ねる。ストリートを歩けば、同性同士で手をつないで歩くカップルとすれ違う。虹色にペイントされた横断歩道を渡りながら、「キャピトル・ヒルはリベラルな街で有名なんだよ」という友人の言葉を思い出す。カフェ、レストラン、バーなどの飲食店、雑貨店、アパレル・ショップといった多種多様なビジネスが、それぞれ個性を保ちながら共存している。人種・性別にとらわれない、オープンなこの街の特徴を表しているようだった。

スターバックス・リザーブ店内には、ユニセックスのトイレがある。これはジェンダーフリー・トイレとも呼ばれ、性別で区切りを持たないトイレだ。とは言え、特別な感じはなく、むしろ店舗のデザインに溶け込んでいる。LGBTなど性的少数者に関する認識がまだ薄い日本から来た私は驚いた。サンフランシスコなどでも、ユニセックス・トイレの普及が進んでいるそうだ。

革新的なこのトイレが、シアトルの新しいランドマークとしてにぎわうスターバックス・リザーブにあることに大きな意義を感じて仕方がない。世界では同性婚を認める動きを見せる国も出てきているが、日本ではまだハードルが高い。性的少数者の多くが生きづらさを感じているという報告もある。職場、学校、家族、どこにいても誰であっても、不自由を感じることなく暮らしている。日本でもそんな未来が近くやって来ることを願わずにはいられない。