Kingsman: The Golden Circle
(邦題「キングスマン:ゴールデン・サークル」)
14年にヒットした英国のスパイ・アクション・コメディー映画「キングスマン:ザ・シークレット・サービス」の第2弾だ。
主人公のエグジー(タロン・エガートン)をスパイ組織「キングスマン」にリクルートしたハリー・ハート(コリン・ファース)亡き後、エグジーはハリーの称号であるガラハッドを名乗り、スウェーデンのプリセンスと暮らしていた。そんなころ、全英のキングスマンの拠点がミサイルで爆破され、エグジーと教官のマリーン(マーク・ストロング)のふたりだけが生き残る。彼らは米国のスパイ組織「ステイツマン」と手を組み、邪悪な陰謀を企むゴールデン・サークルを追いかける。
悪玉のボスにジュリアン・ムーア、「ステイツマン」にチャニング・テイタム、ハル・ベリー、ジェフ・ブリッジスなど実力派の俳優で固め、前作をしのぐ作品を狙った本作。英語を得意としない友人と観に行ったが、ストーリーを追うのは簡単だったという。それほど分かりやすい内容と展開だったわけで、それ自体は欠点ではないが、美点とも言えない。豪華な配役陣のわりには、長いなぁという思いがよぎり、薄っぺらなストーリーをスターパワーとアクションの連続でつないだ手抜き感が否めなかった。
前作では、ボンド映画のパロディーに初挑戦したファースの意外なアクションとスマートな英国紳士スパイぶりを、適度なおふざけ感と共に見せて、ファンを獲得した感がある。新人の エガートンもよく動いて、好感度抜群。だが、第2作は前作ほど簡単ではない。作り上げた虚構の中に何を盛り込むか。そこにカーボーイハットにジーンズとういう超アメリカンな「ステイツマン」を対峙させたのは妙案だった。コテコテの南部なまりの英語で話すステイツマンと、コテコテのブリティッシュ・アクセントで話すキングスマンが会合するシーンのミスマッチがおかしく、凄腕スパイなのにどこかマヌケ、という本作の持ち味がよく出ていた。ただ、期待していたテイタムのアクションは見られず、ベリーもブリッジスも存在感に欠けた描かれ方で不満が残った。
それでも、プロローグで見せた狭いタクシー内での格闘シー ンや、ステイツマンの凄腕スパイ、ウィスキー(ペドロ・パスカ ル)が、縄や鞭を使って見せるウエスタン・スタイルのアクション・シーンにはキレとスピード感があり、見応え十分だった。
監督は前作同様のマシュー・ボーン。前作では残酷なアクショ ンが気になったが、本作では残酷さよりも優れたコーディネートで見せる格闘シーンが精彩を放っていた。
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