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デトックスで乗り切るホリデー・シーズン〜栄養学で若返り!スローエイジング

栄養学で若返り!スローエイジング

ゆっくりときれいに年を重ねることを目指す「スローエイジング」という考え方。更年期が気になる大人の女性に向けて栄養学の発展したアメリカ在住だからこそ実践したい、元気で若い体づくりを提案します。

デトックスで乗り切るホリデー・シーズン

サンクスギビングやクリスマス、忘年会など、イベント目白押しの楽しい季節の始まりですね。親しい人との交流は、免疫細胞を活性化させ、健康の維持にとても重要。けれど飲み過ぎ・食べ過ぎはエイジングを加速させ、肌荒れや体重増加、メタボリック症候群などの原因にもなります。今回はホリデー・シーズンを快適に過ごすための簡単デトックス方法を、栄養面から紹介します。

デトックスには肝臓が大活躍

デトックスと聞くと、ジュースクレンズやサプリを想像する方もいるかもしれませんね。実は、私たちの体には自然に有害物質を体外へ出すシステムが備わっています。そのカギを握るのが肝臓です。体内で作られた活性酸素やホルモン、また外部からのウイルス、アルコールといった有害物質は、血液を通り肝臓で処理されます。そして汗や息、尿、便からの排出へとつながるわけです。

肝臓によるデトックスには、大きく2つのステップがあり、それぞれ必要な栄養素が異なります。1つ目のステップでは、水溶性のビタミンB・C群、脂溶性のビタミンEなどの摂取が必須。これらの栄養素により、シトクロムP450という酵素が有害物質を水溶性に変えて排出できるようにします。しかしこの過程でできる中間代謝物質はとても危険で、炎症やDNA損傷を起こしてしまいます。そこで2つ目のステップとして、肝臓はすぐにこの排出に取り掛かります。このプロセスにはグリシニン、タウリンなどのアミノ酸やビタミンB12、マグネシウムなどを必要としますが、何らかの理由でアミノ酸が欠乏していると、2つ目のステップに進めません。
1つ目のステップで生成された中間代謝物質が中和されないまま体内を再循環し、炎症やDNA損傷が増えると、慢性病の原因になる恐れもあります。

デトックス製品の落とし穴

「デトックス」と書かれている市販品を手に取ったことがある、試してみたことがあるという方は多いでしょう。残念ながら、それらのほとんどは前述の通り、肝臓のデトックス機能に必須となる栄養素、特にアミノ酸が欠乏している状態では、逆にデトックスを妨害することになります。

さらに、炭水化物などでカロリーの取れない市販品では、肝臓やほかの細胞が機能を果たすために必要なエネルギーを作ることができず、栄養失調の危険性も。肝臓の健康やデトックス機能を促進するためにも、サプリやデトックス製品のみに頼るのではなく、肝臓の機能自体を高める食材の摂取が何より大切です。

デトックスに効果的な食事

以下は、毎日の生活で無理なく取り入れられる食事法です。

  • 抗炎症効果のある食材をバランス良く

食物繊維を豊富に含む炭水化物、良質なたんぱく質、色鮮やかな野菜を毎日の食事に取り入れ、肝臓のデトックスを促進しましょう。ただし、カロリー量は適切に。

  • ビタミンB群を摂取する

鶏肉、牛肉、卵、魚介類からのビタミンB群は肝臓のデトックスに必要不可欠。肝臓以外の細胞に必要なエネルギー生成にも欠かせません。ビタミンB12は動物性の食材にのみ入っているため、ビーガンやベジタリアンの方は強化シリアルや栄養酵母、またはサプリで補うのも良いでしょう。

  • キャベツ科の食材に注目

ブロッコリーやキャベツ、チンゲンサイ、ケールなどには、インドール-3-カルビノールという物質が含まれ、肝臓でのデトックス2つ目のステップで大きな役割を果たします。エストロゲン代謝にもつながり、女性特有のがん予防にも効果的です。

※甲状腺ホルモンに影響を与えるため、甲状腺疾患の方は摂取量と食べ方を医師や管理栄養士に相談を。

  • コーヒーを飲む

抗酸化物質のポリフェノールが豊富なコーヒーは、デトックスだけではなく肝臓疾患予防にも効果大。ただし、砂糖やクリームの入れ過ぎは禁物。疾患のない方は、1日400ミリグラムまでのカフェイン(3、4カップ相当)までであれば問題ありません。サプリやエナジー・ドリンクからのカフェイン摂取は避けましょう。

  • 自然食材を選ぶ

肝臓への負担軽減のために、有機栽培の野菜や果物、抗生物質や成長ホルモン不使用の肉類を食べるようにしましょう。「オーガニック」、 「100% グラスフェッド」、「アンチバイオティック・フリー」などのラベルが目印。

久しぶりに家族や友人とのホリデー・パーティーを計画する方もいるのではないでしょうか。健康で安全に過ごすためにも、肝臓に良い食材を積極的に取り入れ、無理のないデトックスを心がけてくださいね。


  • Liver detoxification pathways:

L Kathleen Mahan, and Janice L Raymond. Krause’s Food & the Nutrition Care Process. 14th ed., Elsevier, 2017.

  • Cruciferous vegetables and I3C:

https://www.cancer.gov/about-cancer/causes-prevention/risk/diet/cruciferous-vegetables-fact-sheet

佐賀県出身。19歳の時に留学のため渡米。2015年に自然医療で知られるワシントン州のバスティア大学で栄養学を学んだ後、アイオワ州立大学での管理栄養士研修を経て米国管理栄養士の資格を取得。現在、フォーティー・ラブ・ニュートリションを個人で設立し、栄養カウンセリング、ワークショップ、ホルモン検査を通して30代以降の女性の美容、栄養管理、スローエイジング、ホルモンバランスの調整、デトックスをサポートする。 フォーティー・ラブ・ニュートリション ☎️206-234-4246、info@fortylovenutrition.com www.fortylovenutrition.com