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マグネシウムで不眠解消!〜栄養学で若返り!スローエイジング

栄養学で若返り!スローエイジング

ゆっくりときれいに年を重ねることを目指す「スローエイジング」という考え方。更年期が気になる大人の女性に向けて栄養学の発展したアメリカ在住だからこそ実践したい、元気で若い体づくりを提案します。

マグネシウムで不眠解消!

40代以降の女性から、「なかなか寝付けない」、「夜中に何度も起きてしまう」というような睡眠を妨げる症状についての相談が増えています。今回は、スムーズな入眠に役立つマグネシウムにスポットを当て、その機能と共に、マグネシウムが摂取できる食材やサプリについて紹介します。

睡眠に大きく関わる栄養素

特にプレ更年期は、女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンの卵巣からの分泌が減ります。最近、睡眠の質改善作用が注目され、GABA (Gamma-aminobutyric acid)という呼び名で浸透するγ-アミノ酪酸がありますが、この脳内伝達物質もプロゲステロンの減少により抑制されてしまいます。代わりにストレスや不安、イライラなどが増大する伝達物質を脳に送ることになり、その結果、精神不安定な状態に陥り不眠などの症状も出てきます。また、40代以降から片頭痛に悩む方が多いのも、女性ホルモンのバランスの乱れが原因として考えられます。こういった症状の軽減に大きく関係している栄養素のひとつがマグネシウムです。しかし、典型的なアメリカの食事や現代の加工食品は総じてマグネシウムの多い食材に欠けています。ついついファストフードなどに頼り、栄養が偏りがちという方は、欠乏しないように日頃から注意が必要です。

マグネシウムの働き

マグネシウムは体内で4番目に多いミネラルの一種です。DNAやタンパク質合成から、筋肉収縮、神経伝達、血糖や血圧の調整まで、300種類以上もの体内活動を補酵素として助けています。また、エネルギー産生にも大きく関わります。

脳や筋肉がリラックスできるのも、マグネシウムのおかげです。入眠を促すGABA受容体に合体して、体内時計の調節を行うホルモン、メラトニンが分泌するよう働きかけます。

これだけたくさんの機能に貢献しているマグネシウムですが、細胞や骨の中に貯蔵されるため、血液検査などでは十分な量が足りているかがわかりにくいという側面もあります。年齢を重ねるにつれて、栄養素の体内への吸収率も下がります。胃腸疾患や糖尿病、アルコール依存のある方は特に、体内の炎症や活性酸素の増加によりマグネシウムが消耗しがちです。

マグネシウム欠乏のサインとしては、食欲低下、筋肉の痙攣(けいれん)、疲労感、虚弱体質、精神不安定、頭痛、不眠、便秘などの症状が挙げられます。当てはまる場合は、食材やサプリから積極的に摂取するよう心がけましょう。

マグネシウムが多く含まれる食材

大人の女性ではマグネシウムの1日の必要摂取量は320ミリグラムとなっています。以下に紹介する食材はマグネシウムが豊富なので、ぜひ取り入れてみてください。ただ、食べ物からマグネシウムを摂取する場合、体内への吸収率が比較的低いのがネックと言えます。そのため、食事に気を付けると共に、サプリからも補うことをおすすめします。

青菜:ケール、ほうれん草、マスタードグリーンなどの緑色の葉野菜は、マグネシウムと同じく40代からますます必要とされるミネラルの一種、カルシウムもたっぷりなので、乳製品が苦手な方に最適。

全粒穀物:玄米やそば、全粒粉パンなどは、マグネシウムほか、肌に大切なビタミンB群、食物繊維の宝庫。

種:チアシードやフラックスシード(亜麻仁)など。ヒマワリの種は大さじ2杯で1日に必要なマグネシウムの40%を摂取可能。オメガ3脂肪酸が含まれるため、ホルモンバランスも整う。

マグネシウムをサプリで補う

胃腸疾患のある方など、食事での摂取が難しい場合はサプリの利用を検討してみましょう。マグネシウムのサプリの種類はさまざまで、症状によって使い分ける必要があります。一般的に売られているサプリの種類と効果について以下に紹介しますので、個人の症状に合わせて選んでください。タブレットよりもパウダー状のものを水に溶かして摂取するほうが吸収率は高くなります。また、免疫細胞を活性化させると人気の亜鉛サプリを高用量摂取している方は要注意。マグネシウムの吸収を妨げますので、一緒に摂取することは避けましょう。

グリシン酸マグネシウム(Magnesium Glycinate):マグネシウムサプリの中でも体内への吸収率が高く、不眠症の方などにぴったり。クエン酸タイプのように便が緩くなることもほとんどなく、高用量でも胃腸への負担は軽い。

クエン酸マグネシウム(Magnesium Citrate):便秘などの腸疾患に効果的。胃腸を過度に刺激する可能性があり、長期の利用には向かない。

酸化マグネシウム(Magnesium Oxide):胸やけや消化不良などの症状を緩和。体内への吸収率が低いため、食べ物からの摂取と平行して利用したい。

塩化マグネシウム(Magnesium Chloride):胃酸を中和し、筋肉を和らげ、骨を強化。骨粗しょう症が気になる方にも◎。

リンゴ酸マグネシウム(Magnesium Malate):人間の生命力の源、ミトコンドリアのエネルギー産生に必須。慢性疲労回復、スポーツ・パフォーマンス向上にも効果あり。


参考資料

  1. https://ods.od.nih.gov/factsheets/Magnesium-HealthProfessional/#:~:text=Magnesium%20is%20a%20cofactor%20in,%2C%20oxidative%20phosphorylation%2C%20and%20glycolysis.
  1. Magnesium: https://www.eatright.org/food/vitamins-and-supplements/types-of-vitamins-and-nutrients/magnesium
  1. Magnesium-rich foods: https://www.healthline.com/nutrition/10-foods-high-in-magnesium#TOC_TITLE_HDR_7
  1. Magnesium types: https://engage.aasld.org/blogs/vance-ross1/2021/01/08/the-best-magnesium-supplements
佐賀県出身。19歳の時に留学のため渡米。2015年に自然医療で知られるワシントン州のバスティア大学で栄養学を学んだ後、アイオワ州立大学での管理栄養士研修を経て米国管理栄養士の資格を取得。現在、フォーティー・ラブ・ニュートリションを個人で設立し、栄養カウンセリング、ワークショップ、ホルモン検査を通して30代以降の女性の美容、栄養管理、スローエイジング、ホルモンバランスの調整、デトックスをサポートする。 フォーティー・ラブ・ニュートリション ☎️206-234-4246、info@fortylovenutrition.com www.fortylovenutrition.com