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40代からの慢性疲労〜栄養学で若返り!スローエイジング

栄養学で若返り!スローエイジング

ゆっくりときれいに年を重ねることを目指す「スローエイジング」という考え方。更年期が気になる大人の女性に向けて栄養学の発展したアメリカ在住だからこそ実践したい、元気で若い体づくりを提案します。

40代からの慢性疲労

秋に移り変わり体調を崩しやすい時期、疲労感を覚える方も多いことでしょう。特にエネルギー生成が衰え始める40代以降は、慢性疲労に悩む方も多いようです。今回は主に栄養面からどう対策すれば良いかを解説します。

私たちを元気にするミトコンドリア

慢性疲労の原因は、貧血、感染や自己免疫病による体内の炎症のほか、カロリーや栄養、運動の不足である可能性も。私たちの体内では、赤血球を除く全ての細胞内でミトコンドリアが活躍しています。ミトコンドリアは、「エネルギー生成工場」とも言われる存在。ミトコンドリアにより私たちの生命は成り立ち、生き延びることができるのです。私たちが呼吸をし、酸素を取り込めるのも、このミトコンドリアがあるおかげです。

私たちの元気の素とも言えるミトコンドリア。では、どうやってそのエネルギーを生成しているのでしょうか? ミトコンドリアは、常にエネルギー源としてアデノシン三リン酸(ATP:Adenosine Triphosphate)という物質を生成しています。ATPが効率的に生成されることで、私たちの体内細胞の機能が保たれ、元気になれるのです。

ATPを作る原料としては、主に炭水化物に豊富なグルコース(糖分)が使われます。ミトコンドリアは、脂肪やタンパク質からもエネルギーを作ることができますが、効率性に欠けるため、グルコースを使ってのエネルギー生成を好みます。また、ミトコンドリアの炭水化物をエネルギーに変える力が強いほど、代謝も向上して理想体重を維持しやすくなるでしょう。

エネルギー生成に必須の栄養素

ミトコンドリアがエネルギーを効率良く生成するためには、以下の栄養素が不可欠です。

●グルコース 主に穀物、果物、野菜から摂取できる。また、蜂蜜やジュースにも含まれる。

●ビタミンB 群特にリボフラビンやニコチン酸は、エネルギー生成過程の効率アップに役立つ栄養素。肉、 魚、卵、乳製品など動物性食品に豊富。ベジタリアンは、シリアルや豆類、ニュートリショナルイースト(栄養酵母)から摂取を。

●マグネシウム 細胞内のエネルギー量を一定に保つ。ホウレンソウやケール、豆類など植物性食品に多い。骨内部に蓄えられ、骨を形成する成分のひとつでもある。骨細胞が減少しがちな更年期に、カルシウムと共にサプリで摂取するのがおすすめ。

●CoQ10 エネルギー生成過程の最後のステップに必須。抗酸化作用でミトコンドリアを守る働きも。体内でも生成できるが年齢と共に減少するため、肉や脂ののった魚などから積極的に取る必要あり。

●鉄分 赤血球内のヘモグロビンの一部となり、エネルギー生成過程で最後に必要な酸素を細胞に送る働きをする。貧血や腎臓病で赤血球が減少すると、酸素がうまく循環しなくなるので要注意。ただ、鉄分のサプリは体内で酸化しやすいため、医師に言われない限り避けたほうが無難。なるべく、脂の少ない赤肉、緑色の野菜、大豆などの豆類から摂取することを心がけて。

ミトコンドリアを活性化させる方法

私たちが毎日を元気に過ごせるように気を付けていきたいことがいくつかあります。まず食事面では、十分なカロリーと炭水化物を取ることが必要。エネルギーを作るには、カロリーをしっかり補い、食物繊維の多い炭水化物を摂取することが大事です。全粒穀物、野菜、果物から不足なく炭水化物を取り入れましょう。総摂取カロリーの45~65%を炭水化物から補うことが理想です。

ビタミンB群も前述の通り、特にリボフラビンとニコチン酸はミトコンドリアのエネルギー生成過程で欠かせません。水溶性の栄養素なので、ストレスが多いほど消耗しやすくなります。食事で取れないときはサプリも考慮しましょう。

運動面では、有酸素運動をぜひ取り入れたいところ。ATPを効率良く生成するために、酸素を必要とする運動を日々心がけましょう。ウォーキング、軽いジョギング、スイミング、サイクリングなどが良い例です。脳の活性化を促進する効果もあり、心身共にスッキリします。

休息とリラックスする時間も大切。疲労感が続くなら、体にストレスがかかっているサインかもしれません。7、8時間の睡眠はもちろん、こまめに休息を取り入れて、深呼吸も忘れずに。家族や友だちとの有意義な時間も、心身のリセットになります。

食事や生活習慣を改善しても疲労感が消えない場合、糖尿病などの病気が原因であることも考えられます。医師に相談して疲労の原因をはっきりさせましょう。


参考資料

  1. Ubiquinol https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8241707/
  2. 9 Benefits of Coenzyme Q10 https://www.healthline.com/nutrition/coenzyme-q10#TOC_TITLE_HDR_2
  3. Oxygen Transport https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK54103/
  4. The Mitochondorion https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK26894/
バリット 左由利
佐賀県出身。19歳の時に留学のため渡米。2015年に自然医療で知られるワシントン州のバスティア大学で栄養学を学んだ後、アイオワ州立大学での管理栄養士研修を経て米国管理栄養士の資格を取得。現在、フォーティー・ラブ・ニュートリションを個人で設立し、栄養カウンセリング、ワークショップ、ホルモン検査を通して30代以降の女性の美容、栄養管理、スローエイジング、ホルモンバランスの調整、デトックスをサポートする。 フォーティー・ラブ・ニュートリション ☎️206-234-4246、info@fortylovenutrition.com www.fortylovenutrition.com