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職場でのグローバルスタンダード

Aさんは40代前半の男性です。事業の立ち上げのために1年半前に渡米してきました。初めのうちは慣れない環境でも毎日を乗り切るべく、がむしゃらに頑張ってきたそうです。今は生活の面では大分慣れてきました。しかし仕事では、現地で採用したアメリカ人従業員の扱いや、コミュニケーションの行き違いなど、立ち上げ当初とは違った意味で大変だと感じているそうです。具体的な問題としては、伝えたはずの仕事内容がきちんと出来上がってこなかったり、ちゃんとチームで合意したはずだと思っていた事が後からまた蒸し返されたり、就業態度というか勤務時間内の私用の電話の多さだとか、時間にルーズなところなども気になるとのこと。
Aさん曰く『文化の違いもあるとは思うし、日本のようには行かない事は理解している。でも今のままでは、あまりにも効率が悪いというか、まとまりがないというか……。こちらの英語力の問題というだけではないと思うんですよね』とのこと。Aさんの仰るように、違う文化をもった人たちが一緒に仕事をするのはたやすいことではなく、多くの課題がでてきます。その中でも特に、言語の違いは大きなチャレンジになります。
英語に限らず、母国語ではない第2言語を使ってコミュニケーションを取ろうとする人の多くは、自分の語学力とコミュニケーション能力を一緒にして、不安に思っている場合が多いようです。日本語でのやり取りを考えると解りやすいと思うのですが、語学力とコミュニケーション能力は別の物です。的確な意思の疎通を図ることは、英語力に頼らずとも可能です。
文化の違いは、コミュニケーションの方法はもちろん、ものの考え方、判断の基準、行動や価値観など、あらゆる事に影響してきます。これらに対応するには、チーム内で日米の文化や言語の違いにとらわれることなく、チーム共通のコミュニケーションや価値観を確認する作業、つまりグローバルスタンダードを設定する必要があります。
これらのことに対応するには、チームビルディング研修が有効的でした。当初Aさんは、通常の仕事とは別に時間を取る事を躊躇されましたが、研修を通し色々な発見があり、チームの変化も感じているそうです。
今回で本欄の連載は終了になります。アメリカで暮らす日本人が自信をもって仕事で成功を収められるように、不慣れな環境であっても幸せな生活を送れるようにサポートができればと思い、5年前にスタートしました。在米日本人にありがちなシチュエーションを例に、その時の対応法が読者の方々の日常のヒントになればと記してきました。「為になった」などと感想を頂く機会もあり、ソイソースでのご縁を嬉しく感じています。連載はなくなりますが、今後もアメリカで暮らす日本人や日本企業の活躍のサポートができればと思っています。今後もコミュニティー向けのセミナーを開催することもあります。そのような場所で、また皆様とお会いできるのを楽しみにしています。
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