東京の女子高生がシアトルでキャリア研修
中高一貫の女子教育を行う大妻学院から、高校生18名が7月下旬にシアトルを訪問。マイクロソフトやアマゾンなどのIT関連企業やワシントン大学の視察など、キャリア教育のための特別研修を受けました。
(取材・文:室橋美佐)
特別研修は3日間。11日間のホームステイ滞在と英語講習の最終プログラムとして組まれ、シアトルでグローバル・スキルのトレーニングを行うウェブレイン・シンクタンク社がコーディネートした。同社は通常、社会人向けのプログラムを提供しており、今回はその内容を高校生向けにアレンジした。女子高校生たちは、各社で活躍する日本人の女性幹部や女性エンジニアから仕事内容やそれぞれのキャリア形成について話を聞いた。
ウェブレイン・シンクタンクの岩崎マサ氏は、「生徒たちに、シアトルのグローバル企業で活躍する女性たちとの交流を通して、将来のロールモデルを見つけて欲しかった。日本人女性のIT業界へのキャリア輩出につながれば」と、プログラムの意義を語る。「グローバル企業が急成長するシアトルで、最先端の現場を肌で感じてもらいたかった」と話すのは、生徒に同行した大妻中学高等学校の成島由美校長。
民間企業に勤務して管理職まで務めた経歴を持ち、自身もかつてウェブレイン・シンクタンク社によるシアトル研修を受けた。「(同社研修で)世界のさまざまなカルチャーとの関わり方を学ぶことができましたが、社会人になってから学ぶのでは遅いように感じていました。大学での専攻を決める高校生の段階で、世界的なスケールまで視野を広げ、将来の可能性を考えて欲しい」と、参加した生徒たちへの思いを伝えた。
研修最終日には、生徒による英語プレゼンテーションが行われ、ウェブレイン・シンクタンク社の米国人アドバイザリー・ボードメンバーが審査員を務めた。特別賞を受けたひとり、高校1年生の蜷川和夏(にながわのどか)さんは、「シアトルの有名企業で活躍する方の生の声を聞いて、自分の道を決めたいと思った」と、研修に参加した動機を話す。各企業で働く女性の話や、滞在先のホスト・ペアレンツの働き方に触れて、自宅勤務や時差通勤などフレキシブルな働き方に驚いたと言う。
「日本でも働き方改革と言われているけれど、こんなにフレキシブルな働き方はできていないと思う。いつか、女性を含めて皆が働きやすい環境作りに挑戦してみたい」と、シアトルでの経験を通して生まれた夢のひとつを語った。同じく特別賞を受けた高校1年生の根岸里帆(ねぎしりほ)さんは、マイクロソフトで働く女性の言葉が印象的だったそう。「いろいろな言語や環境で生きてきた人々が同じ職場で働いているのがアメリカだと。また、失敗を恐れずにリスクを取ることの大切さも学びました」。国際法に興味があり、いつかアメリカの大学院で学びたいと、将来の夢も教えてくれた。
大妻中学高等学校の同研修は、来年以降も継続して行われる予定だ。