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社会構造の変化にどう対応するか

多くの人が悩む敬語の使い方について、『新・敬語論/なぜ「乱れる」のか』(井上史雄著、NHK出版新書)は、文化庁やNHKなどの行った敬語の調査データを分析している。敬語は「乱れている」「誤用」とよく言われるが、社会構造や人間関係の変化を反映し、上下関係を表すのではなくお互いを配慮しあう言葉として合理的に変化しているからではないかという視点を具体例をあげて示している。
2040年代後半、日本の人口は1億人を割るだろうと言われている。1966年、1億人を超えた時に7%弱だった65歳以上の高齢者の比重は、2040年には4割に迫ると予測されている。『シルバー・デモクラシー/戦後世代の覚悟と責任』(寺島実郎著、岩波新書)の著者は、有権者人口の5割を高齢者が占め、「老人の、老人による、老人のための政治」時代の到来を目前にした今、高齢化が後の世代へのコストと重圧にならないように、高齢者が参加し、少しでも貢献するような仕組みを模索する必要がある、とうったえる。
『超ソロ社会/「独身大国・日本」の衝撃』(荒川和久著、PHP新書)(写真)の著者によれば、少子高齢化より深刻、というのが日本のソロ(ひとり)社会。人口減、未婚化、非婚化、離婚率の上昇、配偶者の死別による高齢単身者の増加で、多くの人がソロ(ひとり)で生きる、という選択肢を迫られる時代が来る。若者を中心にSNSなどで使われている「ソロ充」という言葉を、ソロ(ひとり)が充実している、ひとりを楽しむことができるポジティブな言葉として紹介している。
自ら「ソロ」と名乗るのは、友だちがいなくて孤独と思われる「ぼっち」や「おひとりさま」と見られたくない、という思いで生まれた言葉でもある。「ひとり」でも孤立するのではなく、職場や家族、恋人に依存せず、能動的に選択と自己決定ができるのが、これから必要な「ソロ」という生き方だとしている。

ハイテク関連企業の国際マーケティング職を経て2005年からシアトル在住。2016年にワシントン大学都市計画修士を取得し、2017年から2022年まで北米報知社ゼネラル・マネジャー兼北米報知編集長を務めた。シアトルの都市問題や日系・アジア系アメリカ人コミュニティーの話題を中心に執筆。