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おひさま学習幼稚園に聞く:子どもが嫌がらず日本語スクールに楽しく通えるには?

シアトル近郊の専門家たちが、悩み多きバイリンガル子育てについて回答。子どもと楽しむ、子育てのヒント。

 

今回のテーマ

Q. 子どもが嫌がらず日本語スクールに楽しく通えるようにするには、どうすれば良いでしょうか。

A. バイリンガル教育は、幼児期に始まり、高校、大学まで続きます。長く続けるためには、環境作りと、親子共にモチベーションを保っていくことが、とても大切な要素になります。

 

幼児期、園に楽しく通うには、保育士や教員、クラスメートと良好な関係を築き、園で安心して過ごせることが大前提です。まだ年齢が小さいうちは特に、できるだけ決まった時間に同じことをする流れができると、毎日の登園もスムーズになります。もし、子どもが体調を崩しているわけでもないのに「行きたくない」と言い出す日が続くようなら、対策を考えてみましょう。「お友だちとうまくいっていないのかも?」と思われる場合、担任の先生などに相談してみてください。クラスで席や流れを変えるだけで、友だちの輪に入りやすくなることがあります。当園でも、子どもたちが楽しく登園できるように、先生方と保護者の方がコミュニケーションを取りながらタイムリーに話をしやすい環境作りを心がけています。

子どもたちは、学びに貪欲。新しいことを学びたくて、目をキラキラさせています。友だちとのかかわりや、新しい発見を分かち合う喜び、「できた!」を実感する成功体験などを通して、成長している自分に気付ける子どもは、自然とモチベーションが上がるものです。現地校に通うようになると、宿題やスポーツ、習い事、現地校の友人との約束、イベントなどで時間や課題に追われ、日本語のアフタースクールや土曜日の学校でモチベーションを保つことが難しくなる場合もあるでしょう。高学年になれば、日本語学習の必要性を自ら感じ、「学校に通いたい」と考える子どもも出てきますが、低学年のうちは特に、友だちと一緒に遊びたくて通うという子どもが大半かもしれません。友人関係は、どの学年でもとても大切です。

モチベーションを高めるために、日本語の学校に通う日をいい意味で「特別な日」にしてみるのはどうでしょうか。ご褒美として、高価な物をあげるのではなく、日常的な約束や楽しみをその日だけ特別に用意する、好物を弁当に入れる、できたことや楽しかったことを子どもと共有して一緒に喜ぶ、などが考えられます。また、子どもに自分で目標を作ってもらい、ひとつひとつクリアしていくようにすると、小さな積み重ねがやる気を持続させ、モチベーション向上につながります。

モチベーションが出ない要因の例としては、授業が難しい、学力不足、ということが挙げられます。普段は英語の環境ですから、日本語の授業についていくのは、もちろん大変なこと。家の中だけでも日本語を学びやすい環境にしてあげましょう。たとえば、宿題をする際はできるだけ子どもの近くにいて、わからないときにすぐ質問に答えられるようにします。ひと言質問できれば、子どもはすぐ次の問題に進めます。ひとりで考えている間にどんどん時間が過ぎてしまい、やる気が失せてしまうことはよくあります。子どもが宿題をする間、保護者の方も学習や読書をして時間を一緒に分かち合うと、子どものやる気も上がります。

日本語の授業が難しいと思い始めると、なかなか行く気も起きないもの。大変ですが、少しずつでも家庭での学習時間を増やしていきましょう。音読や読書を習慣付ける、漢字のあるマンガを読む、日本語のアニメを見るなど、日常的に日本語に触れる機会を作るようにします。また、言葉は、入れる(インプット)だけでなく、自分で言葉を発する、文章にする(アウトプット)練習も必要。学力向上を図り、自信が持てれば、授業にも前向きになるかもしれません。たとえば漢字テストをいつもより少し頑張って練習してみて良い結果が出れば、自信につながると思います。

いずれにしても、家庭での学習習慣、教育機関との連携がモチベーションを保つカギとなります。子どもの学ぶ意欲を膨らませられるように、環境を整えることから始めましょう。

教えてくれたのは

おひさま学習幼稚園
アレン聡子

 

おひさま学習幼稚園園長。大学では日本文化学科と、日本言語を専攻。子どもたちがワクワク学び成長できるように、毎日のクラスや行事の準備、また日本語の楽しさを伝えるために日々奮闘。最近、ワシントン大学に在籍する長女が日本の大学に留学し、バイリンガル教育の難しさや大切さを、身をもって感じている。

 

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