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冬季五輪金メダリストを勝利に導いた決め手とは 〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

Olympic skater Nathan Chen’s 7-word mental hack to capture gold: I stopped thinking ‘I’m here to win’

Chen, 22 … was the favorite to win. But the last time he was favored to win Olympic gold, at the 2018 Winter Olympics in PyeongChang, a stunning fall kept him off the podium entirely. It was the kind of failure that could have easily haunted him for the rest of his life.

Instead, Chen spent the next four years working to redefine what success meant to him. That included a major mindset shift: He stopped going into competitions thinking, “I’m here to win,” he tells CNBC Make It. “Whether I won, whether I lost, I [wanted] to gain as much as I could [from the experience] that didn’t revolve around what sort of placement I got.”

(出典:CNBCホームページ)

【機械翻訳】

オリンピックスケーター、ネイサン・チェン選手が金メダルを獲得するために行った7単語のメンタルハック。勝つために来たんだ」と考えるのをやめた

22歳のチェンは…優勝候補の一人だった。しかし、前回、オリンピック金メダルの有力候補だった2018年の平昌冬季オリンピックでは、見事な転倒で表彰台から完全に遠ざかってしまった。それは、彼の残りの人生に容易につきまとうような失敗だった。

その代わり、チェンはその後の4年間、自分にとって成功とは何かを再定義することに努めた。勝つためにここにいるんだ」と考えて大会に臨むのをやめたのです、と彼はCNBC Make Itに語っています。「勝とうが負けようが、成績にこだわらずに、できる限り多くのものを得たいと思ったのです」。

(DeepL翻訳)

【修正後】

勝利へのこだわりを捨て、五輪金メダルを手にしたネイサン・チェン選手

22歳のチェン選手は北京冬季五輪で優勝候補の筆頭だった。前回の2018年平昌冬季五輪でも金メダルを有力視されていたが、冒頭でまさかの転倒。表彰台に立つことはなかった。それは、普通であれば、一生悔やみ続けてもおかしくないような失敗だった。

ところがチェン選手は、その後4年をかけ、自分にとって成功とは何かを根本から見直した。「勝つために競技に参加すること」をやめたのだ。これは大きな気持ちの変化だった。「勝とうと負けようと、成績にこだわらずに、できるだけ多くのことを得ようと思ったのです」。チェン選手はCNBC Make Itにこう語っている。


白熱した冬季五輪。前回大会での悲運を乗り越え、フィギュアスケートで見事に金メダルを獲得したネイサン・チェン選手についての報道を取り上げました。

今回のポイント

タイトルはわかりやすく、簡潔に

最初の文は、記事の見出しです。直訳すると、「I stopped thinking ‘I’m here to win’」という7語が金メダル獲得の決め手に、となりますが、修正訳では大幅に削り、意訳しました。

favorite to/favored toの便利な使い方

favorite to win、favored to win のように、「有力視されている」、「本命」という意味で使えます。便利なのでぜひ覚えておきましょう。

副詞の訳出には工夫が必要

failure that could have easily haunted himのeasilyは、あえて訳出しなくてもいいでしょう。修正訳では、「〜してもおかしくない」として、ニュアンスを出しています。

まとめ

「勝敗にこだわらない」。これは、並々ならぬトレーニングを積んでこそ出る言葉です。自信の裏返しであり、無の境地とも言えるかもしれません。英語の学習も、自分との戦いのつもりで、コツコツと励むことが重要ですね。

フリーランス翻訳家・通訳。外務省派遣員として、92年から95年まで在シアトル日本国総領事館に勤務。日本へ帰国後は、政党本部や米国大使館で外交政策の調査やスピーチ原稿の執筆を担当。キヤノン元社長の個人秘書、国連大学のプログラム・アシスタントなどを経て、フリーに転身。2014年からシアトルへ戻り、一人娘を育てながら、 ITや文芸、エンタメ系を始めとする幅広い分野の翻訳を手がける。主な共訳書は、金持ち父さんのアドバイザーシリーズ『資産はタックスフリーで作る』など。ワシントン州のほか、マサチューセッツ、ジョージア、ニューヨーク、インディアナ、フロリダにも居住経験があり、米国社会に精通。趣味はテニス、スキー、映画鑑賞、読書、料理。