シアトル発のギフトアイディア

ホリデーシーズンの到来！ うきうき楽しいけれど、悩みの種はギフト選び。 そこで今回は、ひとひねりしたシアトル、ノースウエストならではのプレゼントを探してみました。
取材・文：越宮照代、山﨑悠、山添史、石橋迪与、中野智絵
写真：越宮照代、藤原佑衣、石橋迪与、山本夕紀

• ビッグ・ディッパー・ワックス・ワークス（Big Dipper Wax Works）
• ハーモニーランタン（Harmony Lantern）
• アルケミーグッズ（Alchemy Goods）
• ダウニング・ポッタリー（Downing Pottery）
• JAL ショッピングアメリカ（JAL Shopping Americas）
• アグリーベイビー ・アンド・ラル（Ugly Baby And La Ru）

ビッグ・ディッパー・ワックス・ワークス（Big Dipper Wax Works）

ジョージタウンに工場を構える「ビッグ・ディッパー・ワックス・ワークス（Big Dipper Wax Works）」では、ミツロウ100 ％のキャンドルやボディーケア商品を製造している。
「ミツロウからできたキャンドルは環境にやさしいんです」と話してくれたのは、オーナーのブレント・ルースさん。昔からアウトドアが大好きで、エコな生活を送っていたブレントさんは、「20 数年前、ミツロウのろうそくはファーマーズマーケットでたまに見かけるぐらいで、普通の店では買えなかったんです。『それなら自分で作ろう！』とこのビジネスを始めました」。

ミツロウキャンドルは、パラフィンと呼ばれる副生成物から作られる通常のキャンドルと異なり、燃やしても煙やすすが出ない。その上、マイナスイオンが発生するので、空気清浄やアレルゲンの除去などの効果が期待できるそうだ。
同店では、ピラーキャンドルからアロマキャンドル、スカルプチャーキャンドル、ティーライトキャンドルまで、種類もサイズも様々な商品を製造・販売している。なかでもテーパーキャンドル（Beeswax Tapers 小$9.50、大 $17.50）は「最初に作ったキャンドルで、今でも一番の人気商品です」と誇らしげなブレントさん。溶かしたミツロウにロウソクの芯となる部分を浸しては乾かすという手作業が20 回以上繰り返されて完成する同商品は、同店の名前の由来にもなっている（dipper は「浸す人」という意味）。

10 種類の香りから選べるアロマキャンドル（Beeswax Aromatherapy Candles $3.75～$33）も売れ筋商品で、アロマセラピストでもある同店社員がオリジナルの香りを調合。加えて、これからの季節におすすめなのが、ホリデーアロマキャンドル（HolidayAromatherapy）。モミの木の香りがする「パイン（Pine）」、カバノキとペパーミントの
すっきりとした香りの「ミント（Mint）」、シナモンとオレンジの甘い香りがする「スパイス（Spice）」、3 種類の香りがブレンドされた「ホリデーブレンド（Holiday Blend $22）」の4 種類があり、ホリデーギフトにもピッタリの商品だ。
ミツロウはハチミツの1/75の量しか取れない貴重な資源で、同店ではカナダ、ニカラグア、中国、韓国、インドから輸入している。ブレントさんは、「外国から輸入する時は、現地で養蜂家に会い、養蜂している環境など自分の目できちんと確かめてから決めています」とミツロウに対する強いこだわりを語ってくれた。

同店では、マッサージクリーム（Muscle Massage Balm 小 $9.50、大 $30）やリップクリーム（Lip Balm $3）などのオーガニックボディーケア商品も取り扱っている。PCC、ホールフーズなどの各ハイエンドマーケットのほか、オンラインでも購入可能。

Big Dipper Wax Works
700 S. Orchard St., Seattle, WA 98108
☎ 206-767-7322
www.bigdipperwaxworks.com

 

ハーモニーランタン（Harmony Lantern）

中国を起源とする回り灯籠は走馬灯とも呼ばれ、日本では江戸時代から親しまれている。現代風にカラフルにアレンジした回り灯籠を制作販売するハーモニーランタンは、シアトル在住のフィリップ・ルイスさんと本間久江さん夫妻によって1989 年にスタートした。
当時、友人でもあったカナダの回り灯籠制作販売会社、マジックランプのオーナーから商品をプレゼントされ、静寂をかもし出すその美に魅せられたのがきっかけだった。フィリップさんがアーティストということもあり、マジックランプから手ほどきを受け、助けられながらスタート。

「珍しかったからでしょうね、売り始めると同時に大ヒットしました」。当初はどんどん売れてマーケティングの必要がほとんどなかったそうだ。現在上映中のジョニー・デップ主演映画『Black Mass』にも登場しているように、ハリウッド映画には子ども部屋の小道具としてたびたび使われている。
ランタンの作成は、カラーコピー紙に絵柄を切り抜き、絵に合わせて舞台照明用のカラーフィルターを貼った後それを筒にして、和紙を貼った行灯の中の軸にのせる。和紙は岐阜県から取り寄せた透明感のあるものを使用、木枠に使うアメリカ杉の木は家具職人の友人に切ってもらっている。絵柄をデザインして切り抜くのと行灯の組み立てはフィリップさんの仕事で、カラーフィルターを貼るのは久江さんと、創業時代からの助っ人である友人の仕事。
「当初使っていたセロハンは色あせするのが悩みだったので、途中でフィルターに変えました」。セロハンに比べ
フィルターは堅く、切る時の力の加減を誤ると紙まで切ってしまう。「経験がいります」。
すべてが手作業で1 つ作るのに２時間もかかるため、量産はできない。デザインもフィリップさんが切り抜く度にその時の気分で細部を変えたりするため、常に変容しているそうだ。
ランタンは子どもの誕生プレゼントやベビーシャワーなどに用いられることが多い。「子どもの頃愛用したランタンをウェブで見つけてすごくうれしかった」と注文する人や、親子2代に渡って使用しているお客さんが多くて、やりがいを感じるそうだ。「手作り商品で生計をたてるのは大変だけれど、好きなことができるのは幸せですね」と久江さんは言う。

Harmony Lantern
ハーモニーランタンではインターネットマーケティングに興味のある学生インターンを募っている。詳細はorder@harmonylantern.comにお問い合わせを。
harmonylantern.com

 

アルケミーグッズ（Alchemy Goods）

セーフコフィールドから歩いて10分ほどの「アルケミーグッズ（Alchemy Goods）」は、自転車のタイヤチューブを再利用したオリジナリティあふれるバッグや小物を取り扱っている店。黒いスタイリッシュな外観に木目調のシンプルな内装がおしゃれな店内には、シアトル市内はもちろんのこと全米の自転車店から寄付されたタイヤチューブをリサイクルして作られた商品が並ぶ。

オープンのきっかけは、同店オーナー、イーライ・ライクさんのメッセンジャーバッグが盗まれてしまったこと。そこでライクさんは、たまたま家にあったタイヤチューブを使い、バッグを作って使い始めた。するとそのバッグが友人の間で評判になり、思い切って商品化に踏み切ったところ事業が広がっていったのだそうだ。商品は、パイク・メッセンジャーバッグ（Pike Messenger Bag）、マディソン・バックパック（Madison Backpack）など、シアトル市内の地名や通りの名前がついていて、シアトル在住の人には親近感がもてるのもにくい演出。
同店の人気商品はバラード・ベルト（Ballard Belt $42）、エリオット・トイレトリーズ・バッグ（Elliot Toiletries Bag $38）、各種財布（$14～$44）で、どの商品も軽量で丈夫な上に伸縮性がある。リサイクル素材を使っているだけ
あってリーズナブルな価格帯なのも嬉しい。
店員のジェイソンさんが「実は私も愛用しているんですよ」と見せてくれたのは、ナイトアウトウォレット（Night Out Wallet $14）。使用前の薄さからは想像できないほどストレッチが効いていて、カード類やキャッシュが十分に収容できる仕様となっている。
基本となる素材はタイヤチューブだが、持ち手に車のシートベルトを使用したバッグやファスナーの引手にタイヤのバルブを再利用した小物入れなどもあり、形や組み合わせる素材から様々なスタイルを楽しむことができる。チューブの製造番号をあえて残してデザインとして取り込むなど、１つ１つの商品が個性を持っているのも面白い。
主な客層は男性だが、「最近では、女性によろこばれる商品にも力を入れています」とジェイソンさん。人気のレーニア・ジップトップ・トートバッグ（Rainier Zip Top Tote Bag $80）の裏地には、ブルーかレッドのどちらかの生地を選ぶことができる。表面の黒と明るいトーンの裏地とのコントラストがおしゃれでポップ。容量も大きく、通勤、通学、買い物や小旅行のお供にも重宝しそう。

ジェイソンさんのおすすめは、「ホリデーギフトには、新商品のファントリーロイ・クラッチ（Fauntleroy Clutch $75）ですね」。このクラッチバッグは大きめのスマートフォンがすっぽりと収まる仕様になっており、中の仕切りやカード入れも充実しているので、ちょっと出かけるときに便利だ。女性用にデザインされたものだが、シンプルなデザインなので性別を問わずスタイリッシュに使いこなせる。
アルケミーグッズの商品は、シアトルはもちろん、全米約300の小売店舗で購入可能。

Alchemy Goods
1723 1st Ave. S., Seattle, WA 98134
☎ 206-484-9469
www.alchemygoods.com
営業時間：月・火 10am ～5:30pm、水～金
10am～5pm

 

ダウニング・ポッタリー（Downing Pottery）

「昔からずっと陶芸が好きなんです」と語ってくれたのは、ハンドメイドのマグカップや食器を販売する「ダウニング・ポッタリー（Downing Pottery）」のオーナー、サラ・ウッドソンさん。大学時代には女性学を専攻していたが、陶芸への思いが捨てきれず、陶芸のクラスを取ったり、パイオニアスクエアにある陶芸スタジオで学んだりして、約15年間、陶芸に深く関わる人生を歩んでいる。

販売している商品は、形作りから絵柄のデザインまで、全ての行程をサラさんが一人で行っており、ジョージタウンにある彼女のアトリエには、陶芸への愛情が溢れる作品がたくさん並んでいる。なかでも目を引くのが、シアトル各地域をモチーフにしたマグカップ（$38）。手に取ると軽く、緩やかに曲線を描いたカップの側面が、添える手にしっくり馴染む。2012年、スペースニードル50周年記念の際に製作したシアトルマグカップが評判を呼び、今ではシアトルのみならず、全米各都市をモチーフにデザインしたマグカップを製作・販売している。

マグカップの作り始めから完成までには約3 週間かかるそうだが、「作業している時間は1 時間程度なんです」と、ほとんどの時間を乾燥や焼きの段階での待ち時間に費やすそうで、根気のいる職人の仕事に驚かされた。秋から冬にかけては、乾燥により時間がかかるため、「この時期は、毎日息つく暇もなくマグカップを作っています」と語る。
同店の商品がノードストロームで販売されていたこともあり、サラさん自身が訪れたことのない都市のデザインを頼まれることもあるとか。そんな時は、家族や友人などその地に住む人々の声を、SNS などを駆使して集め、デザインに生かすそうだ。
同店の一番の人気商品はウエストシアトル・マグカップ（West Seattle Mug）。丘の上にカラフルで可愛らしい家々が並んでおり、反対側にはシアトルの象徴、スペースニードルが描かれている。ビーコンヒル・マグカップ（Beacon Hill Mug）も人気商品のひとつだとかで、スペースニードルと家を結ぶオーロラ橋（Aurora Bridge）が絵付けされている。シアトル以外のデザインでは、サンフランシスコとニューヨークが人気だそうだ。
商品は、オンライン及びバラードに店を構えるブティック、ベニュー（Venue）で取り扱っている。12月5、6日にフィニーネイバーフッドセンター（Phinney Neighborhood Center 6532 Phinney Ave. N., Seattle）で催されるフィニーホリデーショー（Phinney Holiday Show）、同月12日の同店アトリエが入ったイクイノクス・スタジオ（Equinox
Studios 6555 5th Ave. S., Seattle）のオープンハウスでも購入可。

Downing Pottery
6555 5th Ave. S., Seattle, WA 98108
☎ 206-320-7707
downingpottery.etsy.com（オンラインショップ）
www.facebook.com/DowningPottery

 

JAL ショッピングアメリカ（JAL Shopping Americas）

米国発ギフトで35年の実績を持つJALショッピングアメリカでは、日本向け、アメリカ向けに、季節のフルーツ、シーフード、ワイン、スイーツなど、高品質なギフト商品を取り扱っている。
日本向け人気商品「活オマールロブスター（$88 ～$229）」は、北米の海でとれたアトランティック・ロブスターを、生きたまま新鮮な状態で届けてくれるうえ、配達前には必ず受取人に在宅確認の連絡を入れてくれるそうなので、安心して贈り物にできる。
また、値段の異なる4 つのコース「選べるグルメ（$85、$110、$145、$265）」から注文すれば、受取人が品物と配達日を指定できる。「確実によろこばれるものを贈りたい」という人におすすめ。

アメリカ向けのおすすめは、毎年大人気のクリスマス限定商品「ヨックモック・サンクデリス・ホリデーボックス$46、$58）」。フランス人著名画家、クリィヴ氏が描き下ろしたデザインのボックスに5 種類のクッキー詰め合わせが入っていて、子どもから大人まで楽しめる1 品になっている。

日本で話題のフレーバー日本茶もお見逃しなく。フレーバーティーセット「SOMMELIER BLEND（ソムリエ・ブレンド）（$30～$80）」は、フランス人ソムリエが夏みかんや巨峰などのフレーバーを加えた静岡産の高級煎茶。
ポット付きやバラエティーセットなど、種類も豊富でギフトにぴったり。
JALショッピングアメリカでは、11月中に注文すれば全商品5% オフとなる早割キャンペーンをはじめ、各種キャンペーン、JALマイレージ会員向けマイル精算などの特典を用意している。

JAL ショッピングアメリカ
www.jalshoppingam.com
☎ 1-800-252-5725
Fax 1-888-925-5725
jalshoppingamericas@jalux.com
営業時間：月～金（祭日を除く） 9am～ 5pm（西海岸標準時間）

 

アグリーベイビー ・アンド・ラル（Ugly Baby And La Ru）

パイクプレイスマーケットからウエスタン・アベニューを南に歩いていくと、ひときわユニークな店舗が目に入ってくる。窓に描かれたかわいい動物のイラストと個性的な赤ちゃんの写真が目印の 「アグリーベイビー ・アンド・ラル（Ugly Baby And La Ru）」は、地元アーティストによるアート作品やDIYクラフトキット商品などを販売している。
同店は、シャワーアート・アーティストのロザリー・ゲイルさんとイラストレーターのローレン・ルレックさんが共同で、2012年にオープンした。「パイクプレイスマーケットの近くに共同スタジオがあったらいいね」と2人で最初に見つけたスタジオスペースがそのまま店舗に移行し、今では子どもから大人まで、幅広い年齢層の人が足を運ぶ人気のスポットになっている。「店のシンボルの一つになっているこの赤ちゃん、実は私の主人なのよ。とってもかわいらしいでしょう」 とロザリーさんが笑いながら話してくれた。

同店では、DIYクラフトキット、ボタン、Tシャツ、ベビー服、カレンダー、塗り絵など、多種多様の商品を取り扱っている。どの商品も、オーナー2人を含む地元アーティストによる作品で、他店舗では目にすることのない個性的なものばかり。
ロザリーさんが作るシャワーアート（小 $1～、大 $10～）は、文字通りシャワーしながら楽しめるアートだ。裏に吸盤がついているので、お風呂の壁に貼り付けることができる。
「MARRIAGE IS DUMB DON’T DO IT（ 結婚なんてばかげてる。するんじゃない）」や「BUTTS BUTTS BUTTS（お尻、 お尻 、お尻）」といった、ひと癖ある言葉と色鮮やかなイラスト入りで、毎日のシャワータイムがより一層楽しくなりそう。また、愛らしい動物とロボットがテーマのローレンさんのイラストは、タコとロボットがハグしたり、ナマケモノがコーヒーを飲んでいたりと、眺めていると思わず顔がほころぶ 。

同店はDIYキットの種類が豊富で、オーナー2人が手掛けたイラストをパターンにしたクロスステッチキット（$18～）、サイズ約2センチ弱の毛糸の人形が出来上がる編み物セット（Mochimochi Land $12～）、カラフルな靴下を使ってサルやウサギなどのぬいぐるみを作るモンキー・ソック・モンキー（Monkey Sock Monkey $16～）など、クラフト好きの人はもちろん、家族みんなで作って楽しめる商品を購入できる。また、同店で販売されているアーティスト作品はオンライン（Esty.com）でも購入可 。

Ugly Baby And La Ru
1430 Western Ave., Seattle, WA 98011
☎ 206-696-0089
Uglybabyandlaru.com
営業時間：月～土 11am～6pm
日 11am～5pm