寿司かしば/Sushi Kashiba
寿司の「おまかせエクスペリエンス」と聞いて、どんな情景を思い浮かべるだろうか。ここ、寿司かしばのおまかせメニューは客の期待を大きく超えてくる。
昨年、日本政府より旭日双光章が贈られたオーナーの加柴司郎さん
オーナーシェフの加柴司郎さんは、シアトルに江戸前寿司文化を根付かせたパイオニア。書道家の妻・律子さんの作品と桃色の胡蝶蘭が飾られた店内は、夕日で静かに赤らみ、とても居心地の良い空間だ。席に座り、おまかせエクスペリエンスを注文する。しばしの待ち時間、板前たちの交わす声に耳を澄ませてみた。板場では「赤身」「白身」と日本語が軽やかに飛び交う。シアトルにいながら日本の寿司店にいるような感覚に浸れるのがうれしい。江戸前寿司をここシアトルで継承していきたいという加柴シェフの思いは、板前たちの立ち振る舞い、挨拶一つとっても色濃く受け継がれていることを感じる。
とろける旨さ、かしばのサーモン握り
端正な姿が印象的な、厚焼きたまご
おまかせの最初の品はトロ手巻き。海苔が湿気る前に二口でどうぞ、とそっと一言が添えられる。最高の瞬間を味わってもらいたい──そんなシェフの温かな気配りが伝わってくる。期待が高まったところで、いよいよ握りのコースが幕を開ける。
最初に登場するのは、人気不動のサーモン。寿司になじみのない人にも安心して楽しんでもらいたいというシェフの心遣いが光る。続いてマグロ、白身魚、貝類と続く。
地元の海で獲れるグイダックやボタンエビなど、旬の食材を巧みに取り入れるのも加柴シェフの流儀だ。特にグイダックを、約50年前に寿司の食材として最初に提供したのが加柴シェフだという逸話が残る。そんな背景を思いながらいただくと、またひときわ特別な体験となるだろう。旬の松茸の土瓶蒸しは、豊かに立ちのぼる香りが季節の深まりを感じさせ、冴えた空気に優しく染みる一品だ。
「おまかせエクスペリエンス、握り寿司」コース
江戸前の基本は地元の旬を味わい、いただくこと。四季の移ろいをシアトルの食材で映し出した寿司には、江戸前の精神が息づいている。テーブルでのおまかせコースには16貫の寿司(グイダック、ボタンエビ、ニシン、カンパチ、マグロ、サーモン、トロなど)とみそ汁、厚焼きたまごが含まれる。4時間かけて仕込むという厚焼きたまごは、食べた瞬間、卵とエビの深いコクが口いっぱいに広がり、コースの余韻を静かに締めくくる。
パイク・プレイス・マーケットを一望できる特別席
寿司かしばの「おまかせエクスペリエンス」は最初から最後まで発見の連続だ。全ての食材と調理法に、加柴シェフの江戸前寿司職人としての物語が詰まっている。こだわり抜かれた一品一品を、心ゆくまで堪能してほしい。
Sushi Kashiba86 Pine St. #1, Seattle, WA 98101
営業時間:5pm~10:45pm 定休:火
ホリデーシーズン休業日:感謝祭、クリスマス、元旦
おまかせ価格帯:$160~(サーチャージ別途)
問い合わせ:☎️206-441-8844 ※5名以上の予約は電話でのみ受付
詳細:https://sushikashiba.com
instagram:@sushikashiba


















