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留学生向け就活フェア「ボストンキャリアフォーラム」に参加してみた

© DISCO International Inc
「ボスキャリ」でおなじみ、最大規模の留学生向け就活フェアであるボストンキャリアフォーラムに、弊誌記者インターンが昨年初参加! 今年の参加者に向けて、実際に体験してみないとわからないボストン滞在の一部始終をお届けします。
取材・文:濱 杏林咲
写真提供:DISCO International, Inc.
2017年11月、はるばるシアトルからマサチューセッツ州ボストンに赴いたのは、ボストンキャリアフォーラム(以下BCF)に参加するためだ。BCFは毎年秋に3日間行われ、ターゲットは日英バイリンガル、日本での就職を目指す海外の大学生、そして留学生。参加企業は年々増え、この年はなんと213社にも上った。参加者もアメリカ国内に留まらず、イギリス、オーストラリア、日本など、世界各地から集まる。

3日間で内定を決めるなら、事前の準備がカギ

「開催中の3日間で内定獲得の可能性がある」ことがBCFの魅力。実際に、筆者も3日間で数社から内定をもらった。しかし、実情は1~2カ月前にエントリーシートを提出したあとスカイプで面接し、本面接をBCFで行うという会社も多い。就活生は「全てのプロセスが3日間で終わる」と誤解しがちなので、要注意だ。開催期間中にエントリーシートを提出する「ウォークイン」と呼ばれる制度もあるが、事前応募のほうが圧倒的に有利。3日間の面接枠は限られており、事前応募者なら優先して枠を確保できる。ウォークインは、倍率も高い。事前応募に落ちた一部企業にも再度エントリーできるため、ほぼ全参加者がこの制度を利用する。筆者の場合、エントリーシートが通過したのはたったの2社で、8社はウォークインだ。

初日にまさかの内定獲得

いざ、ボスキャリ初日。午前9時開場であったが、「多くの学生が大手広告代理店へウォークインするために、ブースを目がけて一目散に走る」という噂を耳にしていたため、1時間前の8時に到着予定だった。しかしホテル出発直前、履歴書の印刷ミスという大失態に気付き、会場に着いたのは結局9時半。まさかの30分遅れである。それでも人気企業も含め、ウォークインは全て提出できたため、「ボスキャリダッシュ」に参加する必要はないだろう。
初日1発目の面接は午前10時半から、事前応募でスカイプ面接まで済ませていたITベンチャー企業と。取締役の方を相手に、1時間たっぷりと話ができ、無事内定を獲得した。初日の午前中に内定が出るとは想像しておらず、うれしさ反面驚きも。内定までのこのスピード感は、ボスキャリ特有であろう。この日だけで面接が6件あり、合間の時間もウォークイン用の応募書類への記入、そして説明会へ参加するため、昼食を忘れるほど忙しい。

食事会という名の、面接

午後6時に、この日最後の面接を終え、その後は最終面接まで進んだ企業の「ディナー」に参加した。ディナーとは、選考に進んだ、もしくは内定を獲得した5~30人ほどの参加者が、企業の人事担当者と食事やお酒を共にする、ボスキャリ特有のイベントだ。私は全3日参加し、雰囲気はどの企業も和やかであったが、最終選考手前で行われた2社のディナーでは、面接の意味合いも含んでいた。
普段の生活やニュースに対する考え方を聞かれることもあり、ディナー中も頭もフル回転させなければならない。しかし、海沿いに位置するボストンならではの、おいしいシーフード料理を堪能できるのも、ボスキャリディナーの醍醐味。金欠学生の身分では絶対に味わえないロブスターを口に入れた瞬間が、ボスキャリ期間中で最も幸せだったと言っても過言ではない。

ボスキャリは体力勝負

2日目は、朝から疲労が取れなかった。午後11時ごろに帰宅後、お酒も残っている中で数時間、翌日の面接に向けて企業研究を行ったからだ。この日の面接は、6社。午前中は踏ん張れたが、昼以降はまるで抜け殻。1歩も動きたくない。行く予定だった説明会は全て断念し、昼寝をしてしまう体たらく……。今年参加する学生は、面接準備も大切だが、夜は休養を第一にするべきだろう。動けなければ意味がない。
そして最終日は、あってないようなものだった。人出は初日の10分の1程度で、すでにブースの撤去作業をしている企業もチラホラ。私は面接が1件残っていたため、それだけ済ませ、残りの時間は現地で知り合った友人たちとボストンを観光し、私のボスキャリは幕を閉じた。

迷ったら、参加してみよう

準備期間も含めると、約1カ月半という時間を費やしたボスキャリ。勉強で忙しいアメリカでの学業と両立させるのは、正直かなり骨が折れた。日本の大学に通いながら短期留学をする学生の中には、貴重な時間を割いて、わざわざボスキャリに参加するかどうか、と迷う人は少なくない。私もその1人だった。
しかし、ボスキャリ期間内に3社の内定を獲得し、帰国後の最終面接まで進めることができた。それ以上に、友人や企業の方々も含め、たくさんの出会いがあり、参加して良かったと強く思う。この記事が、今年挑戦する皆さんの支えに、そして参加を迷っている方々の後押しになれば幸いである。
ボストンキャリアフォーラム 2018
日程:11 月9 日(金)~ 11 日(日)
場所:John B. Hynes Veterans Memorial Convention Center
900 Boylston St., Boston, MA 02115
詳細:http://careerforum.net/ja/event/bos/
アメリカの留学生、留学経験者が主な対象。日英バイリンガルの就職・転職イベントとしては最大規模で、2018年はすでに230社以上の企業の参加が予定されている(10月1日現在)。インターンシップ先を探す目的での参加も可。

■YES
シアトルで1年間の留学中。今年のボスキャリに参加予定だ。ボスキャリにおいてはバイリンガルであることは当然なので、そのほかの点で自分をアピールしなければならない。私が力を入れて取り組んでいるのは企業分析。自分が選考を受ける予定の企業が何をしていて、どんな人材を求めているのか、SWOT分析をしている。開催前から選考は始まっており、スカイプを利用した事前オンライン面接も行われている。選考期間は、わずか数日。やはりボスキャリを制するには、準備が肝心だろう。(K・男性)
■YES
今年の夏、1年間のシアトル留学から帰国した私は、日本からボストンに挑む。ボスキャリの共通レジュメは細かく項目分けされ、数百字単位のエントリーシートとは異なり、学歴で3,000字、自己PRで6,000字。各企業へのエントリーでは追加質問が数問、もしくは共通レジュメのみになるため、いかにこれを充実させるかが成功のカギとなる。共通レジュメをどのような方向性で書くのかを決め、実際に完成させてから出願を開始。企業によって受付日が異なり、テストを受ける場合もある。全ての締め切りを理解し管理することはホームページだけでは難しいので、1度時間を取って、締切日と追加質問をメモで可視化し、計画的にこなすようにした。(Y・女性)
■NO
シアトルへの留学は約5年間。でも、私はボスキャリには行かない。理由はずばり、自分が勝てる土俵ではないと判断したから。ロサンゼルスや東京でも開催されるキャリアフォーラムの中で、いちばん人気と言えるであろうボスキャリには、アメリカ国内の超名門大学生はもちろん、日本から飛行機に乗って就職活動をしに来る優秀な学生がわんさかいる。外資系企業を狙うにしても、戦う相手は言語面で難なくクリアしている帰国子女や、アメリカ育ちの学生だ。それを考えると、私は周りの猛者たちに勝てる自信がないというのが正直な気持ちである。(U・女性)
© DISCO International, Inc.
昨年のボストンキャリアフォーラム会場の様子。面接ブースも説明会も、スーツ姿のシューカツ生であふれる