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オンリー・イン・ジャパン〜シニアがなんだ! カナダで再出発

在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務した後に、2013年定年退職した武田 彰さんが綴るハッピー・シニアライフ。国境を超えるものの、シアトルに隣接する都市であるカナダのバンクーバーB.C.で過ごす海外リタイアメント生活を、お伝えしていきます。

オンリー・イン・ジャパン

4年ぶりの日本。2週間の滞在での新たな発見。いろんなことが北米生活と違う。

宿の近く、美川憲一「釧路の夜」が流れる釧路・幣舞橋ぬさまいばし 近くの公園にて

気が利くビジネスホテル部屋着や浴室の手ぬぐい、歯磨きセット、スリッパ、かみそり、綿棒などがそろい、これなら急な外泊でも、コンビニで下着さえ買えば翌朝はスッキリして職場に戻れる。北海道で利用したホテルグローバルビュー釧路は、天然湯を用いた大浴場まであった。朝食バイキングも、白飯に半熟温泉卵、焼き魚にコーンスープの組み合わせは日本ならでは。

◀︎路上駐車ができないため、ショッピング・モールなどを除き、車は必ず駐車場を探さなければならない。しかも都市部では、立体駐車場が普通。北米から来るとレンタカーの駐車がしづらくて困

自動販売機のコーヒー日本の自動販売機は見事。カップを置くと1杯分ずつ豆が挽かれ、30秒もすれば「クレマ」が浮かぶ香り高いコーヒーが出来上がる。しかも味は専門店並みだ。ただ、日本はカフェインレスが浸透していないのが残念。ゴミがない:通りを歩いてハッと驚く。バンクーバーの路上では見慣れたゴミがどこにも落ちていない。しかし、リサイクル用はあっても、一般のゴミ箱は見当たらない。どこかに「ゴミは各自でお持ち帰りください」と書かれていた。シンガポールと違って罰金刑もない日本では、道徳を重んじてゴミを捨てないのか、それとも皆が「右にならえ」の民族だから?釧路の街頭放送:毎日午後5時になると、なぜか「恋はみずいろ」の曲が町中に鳴り響く。故郷の滋賀でも昔、各家の備え付けスピーカーから有線町内放送が聞こえたものだが、前時代的? 夏だけ釧路で暮らす友人は、ここは時間が昭和で止まっていてうれしいと話す。

京都では駅前の新阪急ホテルに宿泊。鮮やかな京都タワーのイルミネーションが観光客を魅了する ▶︎

おもてなし:接客業全体に消費者が安心・信頼できる体制があるように思う。皆、マスクをしながら健気に働く。成田空港のゲートで帰りのJAL便を待っていると、乗務員とパイロットがやって来て整列、深々とお辞儀をする。来たる飛行が良いものになると乗客に予感させるだけでなく、スタッフが接客マナーの大切さを再認識できるという意味もあるのだろう。

公衆トイレ:ここなら、と思う場所にはちゃんとトイレがあるのはさすが。北米や欧州では探してもない。しかも全てビデ付き、かつ清潔。カンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した、役所広司扮するトイレ清掃員の物語も説得力を持つ。

日本人社会には、歴史的「完璧主義」が存在するのではないか。「とことんやる」ことが期待される社会構造、それが一種の義務として日常生活で各人の頭に代々植え付けられているのだろう。元職場でも感じたが、仕事の過程でひとつでも欠けることが許されない。とことんやった結果なら失敗しても許される、と言うが、どちらが良いのか。北米ではレイオフはあっても、多少の失敗は容認されるという違いを見た気がする。

(左)ゴミ箱が道に置かれていない日本。京都のホテルは、洗面所にわずか10センチ幅の小さいゴミ箱があるだけ。リサイクル用のカゴはあるのに……。外国人観光客はゴミをどう処理するのだろう(右)楽しみのひとつだった日本のホテルの朝食バイキング。和朝食オプションにも感激。回転寿司付きというのもあったが、朝から贅沢過ぎ?

▲ホテルの朝食バイキングのテーブルには、どこも似たカードが用意されている。席を離れても片付けられてしまう心配がなく、サーバーにもわかりやすい優れたシステム

▲苦労して入手した「ジャパン・レール・パス」。思い切ってグリーン車にしたら快適!10月からうんと値上がりしたので、これが最後か

▲日本の公衆トイレは傘かけまであって、しかもピカピカに掃除されている。まさに世界に誇れる文化

 

◀︎東京でも路上にゴミは皆無。特に商店街は、開店前に店の前を掃き清める慣習が今も続く

 

 

 

 

 

 

滋賀県生まれの団塊世代。京都産業大学卒業後日本を脱出。ヨーロッパで半年間過ごした後シアトルに。在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務。政治経済や広報文化などの分野で活躍。ワシントン大学で英語文学士号、シアトル大学でESL教師の資格を取得。2013年10月定年退職。趣味はピックルボールと社交ダンス。