米国市民や永住権保持者が、家族関係に基づく永住権申請のファイナンシャル・スポンサー(以下、スポンサー)になる際に署名する契約書のことを 「Affidavit of Support」、日本語では「扶養証明書」といいます。扶養証明書に署名することによって、米国市民または永住権保持者であるスポンサーは、家族が永住権を取得した後で経済的に困るような状況になった場合でも、米国政府から生活保護を受けることがないように経済的な一切の責任を負うことを保証します。契約書ですから、万一、移民した家族が米国政府から給付金を得るようなことがあれば、政府機関はもちろんのこと、移民した家族でさえ、スポンサーを相手に訴訟を起こすことができます。このようなことからも扶養証明書は、永住権申請書類の中でも最も重要な書類の一つと考えられます。
ファイナンシャル・スポンサーになるためには、18歳以上の米国市民または永住権保持者であり、アメリカに居住所 (Domicile)を保有していなくてはなりません。また、 年収は、連邦貧困ガイドラインの125%(軍人の場合は100%)以上でなければなりません(年収が規定に満たない場合には、さまざまな対処方法があります)。今回は2番目の条件である「Domicile」にフォーカスを当ててお話しします。
Domicileとは永久的な住まいのことで、家族関係に基づく永住権申請のスポンサーは、アメリカに永久的な住まいがなくてはなりません。スポンサーがアメリカに住んでいれば問題ありませんが、実際にアメリカに住んでいない場合、スポンサーのDomicileが争点となります。
以下3つのうち1つに該当すれば、実際にアメリカに住んでいなくても、スポンサーはDomicileの条件を満たすことができます。
・米国政府、宗教団体、国土安全保障省によって認定を受けている研究所などを含む特定の企業、団体、組織による雇用を通して、国外に派遣されている場合
・一時的に国外に住んでいるものの、アメリカに永久的な住まいを維持している場合
例えば、一時的に国外の大学に留学、あるいは企業に就職している場合などが、このケースに該当します。一時的に国外に住んでいるもののアメリカ国内に永久的な住まいを維持していることを証明するには、選挙人登録、銀行口座、運転免許証、外国政府から発行された一時滞在許可やビザなどが必要となります。
・現在アメリカに永久的な住まいはないものの、スポンサーした外国人の家族がアメリカに永住者として入国する前、あるいは同時にアメリカに永久的な住まいを築く意思がある場合
例えば、両親がアメリカ在住中にアメリカで生まれた子供が、両親の帰国とともに日本に戻って何年も生活をした後、妻子を連れてアメリカに戻る場合などがこのケースに該当します。この場合、アメリカでの雇用や住まいの確保など、アメリカに永久的な住まいを築くために、具体的なステップを踏んでいるという証明が必要となります。
[知っておきたい移民法]