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アメリカの入国審査と査証免除で入国する場合の注意点〜知っておきたい身近な移民法

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

アメリカの入国審査と
査証免除で入国する場合の注意点

外国人がアメリカに入国するためには通常、ビザ(入国査証)が必要です。しかし、日本人を含む、査証免除(Visa Waiver)プログラム参加国の国籍保持者は、滞在が90日以内で商用または観光が目的の場合、ビザなしで入国できます。なお、参加国の国籍保持者であっても、同プログラムを使えない人もいます。2011年3月1日以降に、北朝鮮、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンに渡航したことがある外国人などがその一例です。
査証免除で入国するには、渡米前にESTA(電子渡航認証)を申請します。アメリカ到着後に入国審査が行われますが、その主な目的は、渡航者の身元確認、パスポートやその他の書類の検査、そして詐欺や安全保障上の脅威を防ぐことです。顔写真の撮影と指紋認証が実施されるほか、個々の状況によっては、渡米の目的や期間、滞在先、職業、同行者、帰りのチケットの有無、持ち物などを確認されます。さらに、過去の渡航歴についての詳細、ビザ申請が却下されたことがあるか、ESTA申請に不正がなかったか、犯罪歴を隠していないか、などを聞かれることも考えられます。入国審査の一般的な質問は以下の通りです。
1.入国目的:What is the purpose of your trip?
査証免除での入国は、あくまで商用または観光の目的でのみ90日以内の滞在が認められるもので、何をして も 良 い と い う こ と で は あ り ま せ ん。 商 用 目的でカンファレンスに参加予定の場合、招待状や参加登録の証明書、スケジュール表などを準備しておきましょう。
2.滞在先:Where are you staying while in the US?
ホテルであれば予約確認書を用意します。友人宅に滞在する場合は、友人の氏名や住所、電話番号、勤務先について質問を受ける可能性が高くなります。友人が引退していて無職、あるいはフルタイムの学生という場合でも、そのことを正直に伝えます。会社に所属せず働いている場合は、個人事業主(self-employed)と答えます。
3.同行者:Are you traveling with anyone?
配偶者や友人、会社の同僚など、一緒に旅行をしている人がいれば、氏名や関係性について質問を受ける可能性があります。
4.滞在中に会う人物:Do you plan to meet someone in the US?
滞在中に会う予定の人の氏名や住所、電話番号、勤務先、関係性について質問を受ける可能性があります。滞在目的と合致しているか、日本に戻る意思があるかを確認する意味合いを持ちます。
5.滞在期間:How long are you staying in the US?
滞在目的と合致しているか、日本に戻る意思があるかを確認する意味合いを持ちます。帰りの飛行機の予約確認書を準備しておくと良いでしょう。
6.渡米頻度:How often do you travel to the US?
同じく、滞在目的と合致しているか、日本に戻る意思があるかを確認する意味合いを持ちます。
7.渡航歴:When was the last time you visited the US?
同じく、滞在目的と合致しているか、日本に戻る意思があるかを確認する意味合いを持ちます。
8.仕事:What is your job? Who is your employer?
居住地での仕事や勤務先に関する質問です。商用の場合は、雇用証明書や名刺をすぐ見せられるようにしておきましょう。
不審な点があれば二次審査(Secondary inspection)へ送られ、別室で質問を受けたり、荷物を検査されたりします。場合によっては、SNSやメールを見られることもあります。入国審査の結果、入国の資格を満たしていないと判断されると、入国は認められず、将来的にも査証免除プログラムを利用することができなくなります。
渡航者が認識しておきたいのは、入国は保証されているものではないということ。入国審査を軽視してはいけません。合法的な入国だと立証するのは、外国人渡航者自身です。入国審査の際、法律で定められている許容範囲を超えると判断されれば、入国は認められません。「バケーション」と申告しているのに仕事道具を持ち込んだり、入国後の結婚とグリーンカード申請を予定していたり、「会議への参加」との申告で就労とみなされる活動をしたりするのが、その例と言えます。
近年、アメリカの入国審査はさらに厳しくなる傾向にあります。スムーズに入国手続きを進めるために、また、正しい目的に沿ってアメリカ滞在を有意義に過ごせるように、しっかりと渡航準備をしておくことが大切です。
神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118