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自宅待機命令解除後、移民法関連の動きは?

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

*同記事は、ワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得し、カンザス州及びワシントン州において弁護士資格を持ち、K&I Lawyersを琴河利恵弁護士と共に創業した五十畑諭弁護士が、在シアトル日本人の読者に向けて解説しているものです。詳細については、K&I Lawyersなど移民法の専門家へお問い合わせください。

自宅待機命令解除後、移民法関連の動きは?

ワシントン州では、3月23日に出された自宅待機命令が5月31日に終了することが決まり、4段階の経済活動再開計画の実施へと移行しています。今回のコラムでは、過去1カ月ほどの移民法関連の動きと今後のプロセスについてお話しします。

6月4日からの通常業務再開と感染防止策

移民局は、6月4日から面会が必要となる手続きを含め、通常業務を再開することを発表しました。これに伴い、移民局は、体調のすぐれない人、咳や発熱など新型コロナウイルス感染と見られる症状がある人、過去14日間に新型コロナウイルス感染者または感染疑いがある人と接触した人、あるいは医療機関にて14日間は自己隔離するように指示された人は、移民局への入館を避けるように要請しています。

また、予約時間の15分以上前の入館不可、マスク着用の義務付けといった入館規制、入り口での消毒液設置、メディカル・スクリーニング、社会的距離を維持するための床の目印やテープなどの対策が実施されます。詳細は、新たに発行される予約通知に記載がありますので、移民局へ行く前に目を通しておきましょう。

プレミアムプロセスの再開

3月20日から停止されていたプレミアムプロセスが、6月1日から、以下の通り随時再開されます。

6月1日から

  • プレミアムプロセスが利用可能なI-140雇用ベース移民ビザ申請

6月8日から

  • 6月8日以前にファイルされ、現在審査過程にある年間発給数の上限制限に該当しない(Cap Exempt)H-1Bビザ申請
  • 6月8日以前にファイルされ、現在審査過程にあるH-1Bビザ申請以外でプレミアムプロセスが利用可能なI-129非移民労働者ビザ申請

6月15日から

プレミアムプロセスと同時にファイルする、もしくは6月8日以降にファイルする、以下いずれかの理由で年間発給数のカウントから免除されるH-1Bビザ申請

  • スポンサーが、大学以上の教育機関、またはその関連・提携関係にある非営利団体、非営利研究組織、あるいは政府研究組織に該当する場合、あるいは
  • 外国人労働者がConrad/IGA免除の対象となる外国人医師の場合

6月22日から

  • F-1ビザからのステータス変更を含む年間発給数の上限制限に該当するH-1Bビザ申請で、すでに申請提出済みでプレミアムプロセスにアップグレードする場合、あるいはプレミアムプロセスと同時に申請する場合
  • プレミアムプロセスに該当するその他全てのI-129非移民ビザ労働者ビザ申請で、プレミアムプロセスと同時に申請する場合

5月の移民法関連の動き

次に、過去1カ月の移民法関連の動きについてお伝えします。前々回のコラムで書いた通り、移民局は閉鎖期間中にスケジュールされていたインタビューや宣誓式、指紋採取の予約をキャンセルし、再予約通知を発送するとしていました。しかし、すでに過去のケースで指紋採取を済ませている場合、その指紋を再利用するため、指紋採取のアポイントメントは必要なくなったと通知を受けているケースが見受けられます。たとえば、結婚ベースでのアジャストメント申請で過去に指紋採取を済ませていて、今回条件削除申請をしている人がこのケースに該当します。ただし、指紋採取が免除された場合でも、85ドルは返金されません。

また、長い間「審査中」となっていたグリーンカードの更新申請や就労許可申請が、次々に動き始め、認可されています。

インタビューが予定されていた雇用ベースでのアジャストメント申請や結婚ベースの条件削除申請に関しては、予定されていたインタビューがキャンセルされ、通常はインタビューで問われる内容を、書類の提出による審査に切り替えられたケースも見受けられます。

在日米国大使館・領事館では、引き続き、外交・公用ビザを除く面接が必要なビザ申請の面接を一時的に停止しています。現段階で面接再開のめどは立っておらず、具体的な期間は発表されていません。ただし、13歳以下の子どもや80歳以上の高齢者の非移民ビザ、または非移民ビザの更新など、面接の必要ないビザ申請は引き続き受理されています。また、面接が必要なケースであっても、アメリカに緊急で渡航する必要がある場合は、面接予約をリクエストし、領事がケースバイケースで緊急性を判断し、認められた場合のみ面接を行っています。たとえば、延期不可能な重要なビジネス、親近者の病気や訃報、医療関係者、人道的な理由、年齢によるビザの発給期限が迫っている子どもがいるなどが、緊急面接に該当するケースとなります。

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118