これは、永住者の方々から多く寄せられるご相談の一つです。日本には高齢の両親の面倒を見られる人がいないので、自分が両親をアメリカに呼び寄せて世話をしたいという方もいらっしゃれば、永住までは考えていなくても、両親の体が動くうちにアメリカでしばらく一緒に暮らしたい、あるいは、両親がリタイアしたので、一年の半分をアメリカで過ごしてもらいたいなど、理由は様々です。そこで今回は、高齢の両親に長期間アメリカに滞在してもらいたいと考えている方々から寄せられるご相談を、Q&A形式でご紹介します。
Q1: アメリカに「リタイアメント・ビザ」はありますか?
A1: 残念ながら、近年頻繁に耳にするようになったアジア各国に多く見られる「リタイアメント・ビザ」(退職者を対象に移住や長期滞在を優遇するビザ)制度は、アメリカには存在しません。なぜか、ハワイならリタイアメント・ビザが発給されると勘違いされている方が多いのですが、ハワイもアメリカ合衆国の1州であり、米国移民法が適応されますから、リタイアメント・ビザはありません。
Q2: B-2観光ビザで長期間滞在できませんか?
A2: 日本国籍者は、ビザ免除プログラムのもと、90日以内であれば、ビザなしでアメリカに滞在することができる特権があります。ですから、日本人がB-2観光ビザを取得するには、90日以上滞在する必要があることを証明しなければなりません。そこで、共働きなので孫の世話が理由にならないかという質問が多く寄せられますが、残念ながら孫の世話が理由ではB-2観光ビザ申請は却下される可能性が高いといえます。ベビーシッターが必要ならアメリカで雇えば解決する、観光で入国した両親がベビーシッターとして働くことは不法だなど、却下理由も様々です。
Q3: 本当に学校に通わせるので、F-1学生ビザを取ることはできませんか?
A3: F-1学生ビザは、語学留学を含む、学究的な勉学が目的で取得できるので、アメリカにいる家族と一緒に過ごすことが第一の目的で、学校に行くことが二の次では、F-1学生ビザの申請条件を満たすことはできません。この場合も、申請が却下される可能性が高いです。
Q4: ビザ免除で出入国を繰り返すことはできませんか?
A4: ビザ免除で90日滞在し、数週間日本へ戻るか近隣の国へ行き、またアメリカに戻って90日滞在することを繰り返していると、本当に生活基盤が日本なのか、アメリカに永住する意思があるのではないかなどと疑われ、入国を拒否される可能性が非常に高くなります。そして、ビザ免除での入国が拒否されると、生涯ビザ免除を利用することができなくなるため、その代償はとても大きいと言えます。
Q5: アメリカ国籍の配偶者が義理の両親のグリーンカードをスポンサーすることはできませんか?
A5: 義理の両親のグリーンカードをスポンサーすることはできません。この場合、グリーンカード保持者である自身が帰化し、アメリカ国籍を取得してから両親のグリーンカードをスポンサーすることになります。
[知っておきたい移民法]