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セミナー「ゼロから1へ イノベーションを起こす 」

~イノベーションのある生き方と多様性のある社会について~

取材・文:長岡里沙

5月20日、ゲストスピーカーに毎日新聞論説委員の野沢和弘氏とアキュセラ社CEOの窪田良氏を招いて、セミナー「ゼロから1へ イノベーションを起こす ~イノベーションのある生き方と多様性のある社会について~」が、ダウンタウンシアトルのコロンビアタワーで開催された。
障害者差別解消のために活動する野澤氏は、社会的視野とデーターに基づく社会福祉の移り変わりの中で、イノベーションはどのようにして起こるのかについて話した。また、世界から失明を撲滅するための医薬品を開発するアキュセラ社の窪田氏は、イノベーションはいかにして起こるのか、日本とアメリカ、大企業とベンチャー企業ではどちらがイノベーションを起こしやすいかを語った。

▲︎講演中の窪田良氏
▲︎講演中の窪田良氏

「イノベーションを起こす」とは、今まで世界になかったものを生み出すこと。それだけで難しいことのようなイメージを抱いていたのだが、両氏の講演を聞いて、新しいことを作り出すきっかけはとても身近なところにあるのではないかと思い始めた。両氏に共通していたのは、価値観の違うものがぶつかりあい、分かりあおうとする時にイノベーションが起こるということだ。外国に暮らしていると価値観の違いに気づくことが多いが、それはイノベーションを起こすチャンスが転がっているということなのかもしれない。

▲︎講演中の野沢和弘氏
▲︎講演中の野沢和弘氏

翌日、野沢氏の追加講演が行われた。野沢氏は、重度の自閉症の息子を持つ父として、自身の家族、多くの障害者が経験した苦しい出来事、障害者が起こす事件とその原因、障害者差別解消のために自身が行っている活動について語った。
筆者の弟は生後まもなく大きな病気を患い、障害が一生残るかもしれないと医師に宣告された。当時1歳半だった私は、赤ちゃんだった弟が保育器の中で体中に大量の管や針でつながれていて、その傍らで母が泣き崩れていたのを覚えている。幸い弟は回復し、障害を持つことなく生活できているが、もしも回復しなかったらどうなっていただろう。
誰にでも起こり得ることなのだ、と考えずにはいられなかった。人は共感を感じて初めて問題を認識することが多い。だからこそ、何か問題を抱えている人、それを解決するために活動している人の話を聞くのは非常に大切なことだと感じた。
本セミナーは株式会社ENパシフィックサービス主催、Acucel a共催、在シアトル日本国総領事館の後援で行われた。