音楽と魔法が織りなす
ブロードウェイ・ミュージカル
「メリー・ポピンズ」
傘をさしながら舞い降りるアイコニックな登場シーンで知られる「メリー・ポピンズ」。世代を超えて愛され続ける名作のミュージカルが12月29日(日)までフィフス・アベニュー・シアター上演中です。
取材・文:フォーリー由香
オープニングナイトとなった12月1日の劇場は、ホリデーシーズン真っ只中で華やかな雰囲気に包まれていた。ロビーには大きなクリスマスツリーが飾られ、ツリーの隣にはサンタクロースとクロース夫人の姿もあり、ともに記念撮影をしようとする来場客が列を作っていた。
ミュージカル版「メリーポピンズ」は、1934年から1988年にかけて執筆された児童文学集と1964年公開のディズニー映画がもとに制作されている。会場には作品を熟知すると思われる往年のファンの姿が多く見受けられた。司会者によるオープニング挨拶が終わるといよいよ開演。まずはバンクス一家のシーンから始まり、その直後に、傘を広げて空からゆっくりと舞い降りるメリー・ポピンズの登場シーンに観客席からは歓声が湧き上がった。この有名なシーンが早くも序盤で繰り広げられたことに筆者は驚きを隠せなかった。
メリー・ポピンズは、バンクス家の2人の子どもたちの新しいベビーシッター兼家庭教師。彼女の存在を語る上で欠かせないのが、いつも持ち運んでいる大きなカバンと傘。そして魔法が使えるという驚きの設定。子どもたちの部屋に移ると「プラクティカリー・パーフェクト」を歌いながら、大小さまざまな所持品を次々とカバンから取り出すシーンはまるで本物のマジックのようだった。
現代でも親しまれている名曲「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」を歌うシーンでは、17人のキャストがそれぞれ、左右の手にアルファベットのパネルを1枚ずつ掲げ、舞台幅いっぱいに横一列に並び、軽快なステップで位置を入れ替えながら色々な単語を作り観客を楽しませた。「お砂糖ひとさじで」や「チム・チム・チェリー」など、誰もが一度は耳にしたことがある名曲が盛り込まれて、思わず一緒に口ずさみながら夢中で観劇した。
劇中で何度か繰り返される「自分次第で何でもできる(Anything can happen if you let it)」という言葉は、日常で「新しい一歩」を踏み出す勇気を与えてくれるメッセージに感じた。
場所:The 5th Avenue Theatre
1308 5th Ave. Seattle, WA 98101
料金:$40~ ※5歳以上
問い合わせ:☎206-625-1900、guestservices@5thavenue.org
詳細: www.5thavenue.org