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全米展開の歯科が増えてきた?

最近、全米展開の歯科チェーンについて、どういうものか患者さんから質問を受けました。全米規模で展開する歯科医院のほとんどが、歯科医でない人が雇用主であり、歯科診療のプロではない経営のプロによってマネジメントされていて、DSO(Dental Service Organization)と呼ばれています。アメリカでは、かつて地方で全米展開のウォルマートなどが増えて個人の小売業が衰退していったように、歯科においても DSOによって全米展開の歯科医院が確実に増えているようです。今回はアメリカでの歯科経営形態と共に、全米展開の歯科医院が増えている背景などについて書いていきたいと思います。

アメリカの歯科経営形態あれこれ

  1. 個人(Solo Practice) 個人経営。勤務歯科医を雇う場合もある。以前は90%以上を占めていたが、縮小傾向。とはいえ、依然として最も多い経営形態。
  2. パートナーシップ(Partnership) 数人の歯科医が共同で経営する。
  3. 小規模グループ(Small Group) 地域の歯科医がグループでいくつかの歯科医院を経営。
  4. 大規模グループ(Large Group) 一般的に数州にわたる。経営の母体は歯科医でなく大きな会社。DSOはここに該当することがほとんど。

以下、大規模グループ歯科の増加の経緯を見て みましょう。

  • 1992年 157歯科医院が該当。他のほとんどは、個人開業医だった。
  • 2007年 3,009の歯科医院が該当。
  • 2012年 約20%の歯科医院が該当。

アメリカ歯科医師会(ADA)は、2025年までに約50%が大規模歯科経営会社が経営する歯科医院になるのではないかと試算しています。

アメリカの最近の歯科医の傾向

44歳以下の歯科医のうち、60%が女性。女性の歯科医は、男性歯科医に比べ、パートタイムで働く確率が2倍になります。また女性の歯科医は、歯科医院の院長になるよりも、勤務医として働く傾向がやはり2倍。女性はリスクを嫌い、安定を望む傾向を持ちます。最近の新卒歯科医の80%が、個人で開業したいとは思っていません。2011年の新卒歯科医の学生ローンによる平均負債額は、私立で $213,000、公立で$161,000と莫大です。

患者側から見たDSOの価値

  • DSOの考えられるメリット →さまざまな歯科保険、格安な歯科プランを受 け入れていることが多い。ほとんどの場合、専門医も同じ医院で診てくれる。
  • DSOの考えられるデメリット →行く度に歯科医が変わる可能性がある。経営優先の治療にならないか(経営側からのプレッシャーは?)、歯科医療の質はどうかという懸念。

まとめ

新卒歯科医の学生ローンの増加、女性歯科医の比率の上昇などから個人開業のリスクを回避して大きな全米展開の歯科グループで働く歯科医が年々増加傾向にあると考えられています。いずれにせよ、自分にあった歯科医院 を選びたいものですね。

[健康な歯でスマイルライフ]

福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748