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フロスの習慣や歯科健診と口腔細菌の関係

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

フロスの習慣や歯科健診と口腔細菌の関係

歯ブラシ、フロスで口の中をきれいに保ち、定期的に歯科健診を受けることが全身の健康につながると、このコラムでも繰り返しお伝えしてきました。最近、コロラド州立大学で、こうした口腔衛生の習慣と口腔内の細菌に関する興味深い研究が行われましたので、新型コロナウイルス感染症の続報も含め、書いていきたいと思います。

コロラド州立大学の研究の概要

コロラド州立大学の研究(Scientific Report 10:2133, 2020)で、デンバーの博物館において366人(181人の成人と185人の未成年)の頬粘膜をぬぐって検体採取を行い、口腔内の細菌について調べた結果は以下の通りです。

① フロスを使用するグループは、フロスをしないグループに比べ、細菌の多様性が低かった。
② 成人において、過去3カ月以内に歯科を受診したグループは、受診しなかったグループに比べて細菌の多様性が低く、12カ月以上歯科を受診しなかったグループとの比較では、トレポネーマ(歯周病を引き起こす有力な細菌のひとつ)の出現率が低かった。
③ 未成年のグループにおいては、肥満があるとトレポネーマの保有率が高かった。
④ 同居する家族間で、保有する細菌の構成が類似していた。

この研究結果は、フロスなどの口腔衛生の習慣および定期的な歯科健診が健康維持にとって重要であることを示唆しています。また、未成年においては、肥満が歯周病のリスク要因となり、肥満の防止は口腔内の健康にも良い影響をもたらすことがわかります。

BCGは新型コロナウイルス感染予防になる?

BCGは結核の予防接種ですが、新型コロナウイルス感染を防ぐ効果が噂されています。BCG予防接種を行う国のほうが、行わない国に比べて新型コロナウイルスによる死亡者数が少ない傾向が見られるからです。しかし、まだ科学的結論には至っていません。臨床試験の結果を待たないと、はっきりしたことは言えないようです。

新型コロナウイルスと嗅覚・味覚の異常

嗅覚異常や味覚異常が起こったことがヒントになり、新型コロナウイルス感染を発見できたという報告が相次いでいます。この嗅覚や味覚の異常は必ずしも新型コロナウイルスで特徴的というわけではなく、インフルエンザにも見られる症状のひとつです。ただ、新型コロナウイルスが蔓延しているこの時期に起こった場合は、新型コロナウイルス感染を疑っていいのかもしれません。

ワシントン州における歯科の現状

州政府の命令により、歯科の診療に関しては5月18日まで、緊急の症例を除いて歯科の診療は停止されています。今後、感染状況次第で歯科治療も日常を取り戻すと思われますが、州政府の緩和措置があっても、ビジネス再開の時期については各診療所で判断が異なるでしょう。診療所によっては感染防御用の装備が不足していたり、スタッフの確保に問題が生じたりする可能性も考えられるからです。