健康な歯でスマイルライフ
日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出 修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。
ワシントン州でも歯科診療再開の動き
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ワシントン州においては3月23日に自宅待機命令が出され、歯科診療も緊急の治療を除き、約2カ月間の営業自粛が続いていました。そして5月18日、通常の歯科治療が再開となりました。再開に当たっては、これまでの歯科医院における対応とは異なる点が、いくつか出てくるかと思います。今回は、再開後の歯科での新しい取り組みについて書いていきます。
待合室での対応
患者さん同士の接触を可能な限り避ける対策が取られます。待合室に入る人数を可能な限り少なくする必要があり、本人のみか、多くても同伴者ひとりまでの入室となるでしょう。他の同伴者は車で待機、または別の場所で待ってもらうことになります。次の患者さんにしても、待合室にいることは原則なくなり、車内か別の場所での待機をお願いします。前の患者さんが完全に退出してから、お呼びする形になると思います。
予約や受付の方法
待合室が混み合わないように、患者さんひとりひとりにゆとりを持たせる予約の取り方に変更されます。受付では体温測定を実施し、37℃(98.6℉)以上ある方、および風邪症状のある方には、受診を控えてもらいます。また、診療室に入る前に、手指の消毒もお願いすることになります。
歯科治療での新型コロナ感染リスクは?
院内では待合室、診療室のドアノブ、テーブル、椅子などのアルコール消毒を徹底します。待合室での密集を防ぐこと、また院内の消毒を徹底することで、患者さんの感染リスクは低く抑えられると考えます。歯科医療従事者は手袋、マスク、ファイスシールドなどで万全を期すため、患者さんが歯科医療従事者から新型コロナに感染するリスクはほとんどないはずです。 歯科診療によるエアロゾル発生が懸念されています。しかし、この感染リスクは、むしろ歯科医療従事者側に対するものです。エアロゾルに関しても、診療後のアルコール噴射や診療室の消毒を徹底すること、そして次の患者さんに別室を使ってもらうことで、感染を防ぐことができると考えています。
われわれ歯科医療従事者は、インフルエンザや血液を介した感染症などのリスクに常々さらされており、いかなる感染症にも対応すべく滅菌消毒には十分注意してきました。このコロナ禍の状況では、マスクの質を高めたりフェイスシールドを装着したりと、感染防御レベルをさらに上げて対応します。患者さんはもちろん、歯科医療従事者自身においても、安全を守ることを最優先に診療を行いますので、安心して歯科医院に来てもらえればと思います。
まとめ
口腔環境の悪化は、全身免疫の低下につながります。つまり、歯科治療には新型コロナ感染予防の側面もあるのです。私自身、2カ月もの間、通常の歯科診療、定期検診などはできずにいました。当院で皆さまと再会できる日を楽しみにしています。