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デンタルフロスと歯間ブラシの使い分け〜健康な歯でスマイルライフ第192回

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

デンタルフロスと歯間ブラシの使い分け

虫歯や歯周病の予防に、歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシなどを用いたプラークコントロールが重要であることは、このコラムでもたびたび触れてきました。虫歯や歯周病のリスクを下げるには、プラークの除去率を80%以上にすることが望ましいと言われます。

しかしながら、歯ブラシのみで除去できるプラークは個人差が大きく、統計にもよりますが平均で60%程度とされています。そのため、デンタルフロスと歯間ブラシに代表される補助的清掃用具を使用し、歯ブラシでは届きにくい部位もきれいにすることが望まれます。2005年発行の『日本歯科保存学誌』によると、歯ブラシとデンタルフロスの両方を使うとプラークの除去率が79%までアップし、加えて歯間ブラシも使うと85%近くにまで上昇するそうです。では、補助的清掃用具はそれぞれ、どのように使い分けをすべきでしょう? よくわかっていない方も少なくないと思いますので、今回はデンタルフロス、歯間ブラシを中心に、その違いを説明していきます。

デンタルフロスは幅広い人に使える!

デンタルフロスは、ブリッジ治療などのように歯と歯の間をくっつけている場合を除いて、幅広く使えるメリットがあります。一般的に、糸のみのタイプと、ハンドルが付いたいわゆる糸ようじタイプに分かれます。糸ようじはどちらかと言えば、歯の形状が比較的シンプルな方に向いており、使い方も簡単なので、子どもの乳歯に適しています。より複雑な大人の永久歯には糸のみのものを用い、歯の湾曲に合わせたクリーニングが実践できると良いですね。

歯間ブラシは年を重ねてから

一方、歯間ブラシは、歯肉が下がって歯と歯肉の隙間が大きくなった場合に使います。まだ若く、歯と歯肉の隙間が大きくないのであれば、歯間ブラシは必要ないでしょう。高齢の方では、たとえば奥歯のみに歯間ブラシを使うといったケースも出てくるかと思います。そのほか、歯と歯の間がくぼんでいる、デンタルフロスが入らないブリッジ部分がある、ワイヤーによる矯正治療をしている場合なども、デンタルフロスより歯間ブラシのほうが効果的にプラークを除去できるようです。その際、歯の隙間に合う、最適なサイズのものを選択するのが重要なポイントです。

まとめ

歯の状態に応じ、補助的清掃用具としてデンタルフロスと歯間ブラシを上手に使い分けましょう。歯と歯肉の隙間が大きい方は、デンタルフロスと歯間ブラシの両方を使うのが理想です。慣れると、両方を2分程度で終わらせることができます。

前述した通り、プラークコントロールは虫歯と歯周病の予防の基本。歯磨きの補助的清掃用具として、デンタルフロスや歯間ブラシを毎日の習慣に取り入れたいものですね。そのほか、ウォーターピックなど、水流を使った補助的清掃も効果的です。ぜひ、歯科医や歯科衛生士に相談してみてください。


参考
https://doi.org/10.1111/idh.12262

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748