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睡眠不足が体に与える深刻な影響とは〜美ボディーをつくるトレーニング

シアトル地域レドモンドを拠点に活躍するプライベート・トレーナーの島田耕太さんが、自宅でできるトレーニング法を解説します。

🏋️睡眠不足が体に与える深刻な影響とは🏃

睡眠に関するさまざまな説がSNSで飛び交っています。睡眠は3時間でもいい? 8時間がベスト? 睡眠が体にどう影響を与えるのかを改めて考えてみましょう。

男性は5、6時間の睡眠で男性ホルモンのテストステロン値が低下し、実年齢より「10歳老化」に相当。女性も30%の確率で生理不順になるとされています。シカゴ大学の研究によれば、2週間ほど4時間睡眠を続けたところ、血糖が通常値(100mg/dL未満)から糖尿病の一歩手前(125mg/dL)まで上昇したとのこと。これはダイエッターにも大問題! 高血糖により細胞がインスリン抵抗性の状態に陥り、運動をしても疲労が回復せず逆に蓄積され、けがにつながりやすくなります。また、ホルモンバランスが崩れてむくみも取れず、ダイエットをしても結果が出にくいでしょう。7時間以下の睡眠では、運動をするモチベーションも低下すると言われます。疲労の蓄積が30%早まることがわかっており、たとえば60分のエクササイズを行う場合、40分くらいで動けなくなる計算です。

食事にしても、睡眠不足だと甘さや塩気、脂っこさを無意識で求めるため、カロリー高めの食べ物を選びがち。これは、睡眠不足がストレスホルモンであるコルチゾールを増大させ、エネルギーを蓄えやすい食べ物を欲するようになるからです。さらに満腹中枢を刺激するホルモンのレプチンの分泌が減少し、食欲を促すホルモンのグレリンの分泌が増えるため、食べても食べても満足できず、空腹を感じるばかりという悪循環 。これでは、減量も筋肉を付けることも難しくなりますね。

体がきちんと機能するためには、最低7時間の睡眠が必須。睡眠時間の短い、いわゆる「ショートスリーパー」に成功者が多いと注目されていますが、短い睡眠で知られるロナルド・レーガン元米大統領やマーガレット・サッチャー元英首相は、アルツハイマー型認知症を発症しています。睡眠不足はアルツハイマー発症との関連性が指摘されており、全身の健康においては睡眠時間の短さがメリットになるとは限りません。まずは以下を試し、睡眠習慣を修正してみましょう。3日程度で睡眠サイクルが正常に戻るはずです。

•決まった時間に就寝、起床する
•LEDなどのブルーライトを寝る2時間前に消す
•寝る2時間前までに食事を済ませる
•室温を65°F(18°C)に設定
寝る前に以下に紹介するエクササイズも取り入れ、股関節、肩甲骨、首を動かし、1日のストレスで凝り固まっている体を和らげてください。リラックスできるよう、ゆっくり呼吸しながら行いましょう。

今月のトレーニング

STEP 1
ヒップ・サークル 外回り、内回りを左右15回

座る時間が長いと股関節が硬くなり、腰痛や寝つきにも影響します。股関節をほぐすエクササイズを実践しましょう。まず四つんばいになり、手は肩の真下、膝は腰の真下に置きます。この姿勢から、左膝で大きく外回りに15回、内回りに15回、ゆっくりと円を描いていきます。右膝も同じように行います。難しければ回数を減らしたり、円を小さくしたりすることで負担を軽減できます。膝の下にクッションを敷いてもOK!

STEP 2
キャット・カウ 15回

背骨と肩甲骨を動かすエクササイズで す。1と同様に四つんばいになった状態から、背中を丸めるようにして上に突き出します。この際、肩甲骨はできるだけ背骨から離すようにします。次に背骨を反らせながら、肩甲骨は背骨に近づけるように引き締めます。この動作を15回繰り返しましょう。最初は思うように動けないかもしれませんが、続けていくうちに可動範囲が広がってきます。

STEP 3
ネック・ストレッチ 左右30秒を2セット

首周りの筋肉が硬いと、寝違えたり寝返りしづらかったりと眠りの妨げになることがあります。ゆっくりと呼吸しながら首をストレッチしていきましょう。まず背筋を伸ばして椅子に座ります。右手で椅子の座面をつかみ、肩が動かないようにして、左手で頭を左肩に引く感じで軽く引っ張ります。そっと押さえる程度でも構いません。この状態で30秒キープしましょう。逆側も同じように行い、2セット繰り返してください。

※健康上の不安がある場合は、必ず医師に相談のうえ行うようにしてください。

写真クレジット:Kota Shimada

※同記事は、インディアナ州立大学でエクササイズ・サイエンス修士を取得し、フィットネスおよび栄養コーチングの指導を行う島田耕太さんが、資料や経験を元に執筆したものです。

Mastering Body Institute

9123 151st Ave. NE., Redmond, WA 98052
☎571-235-8580、 lifecultivation@gmail.com
www.masteringbodyinstitute.com


参考

  1. Leproult, R., & Van Cauter, E. (2011, June 1). Effect of 1 week of sleep restriction on testosterone levels in young healthy men. JAMA. Retrieved March 6, 2023, from https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4445839/

  2. E;, S. K. L. R. V. C. (n.d.). Impact of sleep debt on metabolic and endocrine function. Lancet (London, England). Retrieved March 6, 2023, from https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10543671/

  3. BJ;, M. (n.d.). Effect of sleep deprivation on tolerance of prolonged exercise. European journal of applied physiology and occupational physiology. Retrieved March 6, 2023, from https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7199438/

  4. Van Cauter E;Holmback U;Knutson K;Leproult R;Miller A;Nedeltcheva A;Pannain S;Penev P;Tasali E;Spiegel K; (n.d.). Impact of sleep and sleep loss on neuroendocrine and metabolic function. Hormone research. Retrieved March 6, 2023, from https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17308390/

  5. Ooms S;Overeem S;Besse K;Rikkert MO;Verbeek M;Claassen JA; (n.d.). Effect of 1 night of total sleep deprivation on cerebrospinal fluid β-amyloid 42 in healthy middle-aged men: A randomized clinical trial. JAMA neurology. Retrieved March 7, 2023, from https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24887018/
シアトル地域レドモンドを拠点とするプライベート・トレーナー。インディアナ州立大学でエクササイズ・サイエンス修士を取得し、1998年より個人、グループ、企業に向けてフィットネスおよび栄養コーチングの指導を行う。