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がん患者と新型コロナウイルスワクチン接種~女性の命を守るヘルスケア Vol.7

女性の命を守るヘルスケア Vol.7

アメリカ生活中に乳がん、卵巣がん、子宮がんを経験する患者の心に寄り添い、悩める女性たちをサポートするSHARE 日本語プログラムによる寄稿シリーズ。現在のアメリカの医療制度で今、日本人の私たちができることを探ります。

第7回 がん患者と新型コロナウイルスワクチン接種

FDA(米食品医薬品局)からファイザー社、モデルナ社、そしてジョンソン・エンド・ジョンソン社(4月13日より投与を一時停止中)の新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの緊急使用許可が下り、アメリカ政府は接種を推進し始めました。皆さんの中にもすでに接種を済ませた方がおられることでしょう。がん分野の学会であるASCO(アメリカン・ソサエティー・オブ・クリニカル・オンコロジー)からの情報を少しまとめてみました。

この3社のワクチンの副反応は、注射部位の痛み、疲労感、筋肉痛、頭痛、悪寒、関節痛、発熱、および吐き気など、ほとんどは軽度から中等度で、3日以内に消えるとされています。これらの副反応は一般的に、免疫システムが本来の機能を果たし、病気に対する防御力を高めていることを示し、55歳未満の人によく見られるそうです。ファイザー社、モデルナ社の2回接種が必要なワクチンは、1度目よりも2度目の投与の際に副反応が多く見られるようですが、長くとも1週間以内、通常は数日で消えるとされ、ワクチンの効果を確実にするためにも、2回の接種を推奨しています。

また、1回目と2回目のワクチンは同じ種類にする必要があり、ファイザー社とモデルナ社のワクチンを混合して使用することは推奨されていません。最初の接種は免疫システムを刺激して身体にウイルスを認識させ、2回目の接種で免疫システムからの反応を強化する効果が期待されています。これらのワクチンは、最近発見されている伝染性の高い変異性ウイルスに対しても有効であると考えられており、引き続き研究が行われている最中です。

新型コロナウイルスのワクチン接種では、まれな副反応のひとつとして、脇の下のリンパ節の腫れがあります。これは、乳がんの兆候と誤解される可能性があり、マンモグラム検診はワクチンを接種してから少なくとも1カ月の間隔を空けるようにと報告されています。これらワクチンの研究には、慢性肺疾患、糖尿病、肥満などのある人が含まれていましたが、がんを経験した人やがん治療を受けている人は含まれていなかったため、こうした方々におけるワクチンの安全性と有効性は現時点では不明のようです。

がん患者におけるワクチンの安全性に関する情報が不足しているにもかかわらず、肺炎球菌肺炎ワクチンやインフルエンザワクチンなど、多くのワクチン接種ががん患者に推奨されています。一部のワクチンは免疫系が弱くなるがん治療中に接種しても問題のない一方で、生ウイルスワクチンなど、がん治療中に投与すべきではないワクチンもあります。新型コロナウイルスのワクチンは生ウイルスワクチンではなく、医師らも、がん経験者はもちろん、化学療法や免疫療法を含む治療を現在受けているがん患者への推奨に同意しているようです。ワクチンを提供されるべきではないのは、特定のワクチン成分に対してアナフィラキシーなどの有害な反応を起こす可能性がある人で、がん経験者やがん治療中の方は、担当医に相談するように言われています。

化学療法、免疫療法、放射線療法などを受けているがん患者は、免疫力が下がっている傾向があり、新型コロナウイルスに感染しやすい状態と言えます。がん患者はワクチン接種のために治療を中断しないように勧められていますが、治療によってはワクチンの効果が低下する可能性も指摘されています。現在治療中の方は担当医師とご相談ください。

ワクチン接種が、がんの治療に影響を与えることはなく、骨髄/幹細胞移植を受けた場合、またはキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法などの細胞療法を受けた場合は、ワクチン接種を延期する必要があるかもしれないと報告されています。CDC(米疫病対策センター)は、ワクチン接種を管轄する郡または州の保健局で詳細情報を確認するように呼びかけています。

4月15日より、ワシントン州居住者は、誰でも新型コロナウイルスのワクチン接種を受けられるようになりました。ワクチン接種の対象年齢であれば、ビザ・ステータスや市民権、保険の有無に関わらず、無料で接種することができます。

ワシントン州保健局からのCOVID-19およびワクチン日本語情報
www.doh.wa.gov/Emergencies/COVID19/Japanese

ワクチン接種予約が可能な医療機関の検索はこちらから
https://vaccinelocator.doh.wa.gov

問い合わせ:
COVID-19情報ホットライン
☎1-800-525-0127

SHARE 日本語プログラム

ヘルプライン:☎347-220-1110(月~金6am~2pm)
問い合わせ・患者サポートミーティング申し込み:​admin@sharejp.org
詳細:https://sharejp.org

1976年にニューヨークでスタートした非営利団体のSHAREキャンサー・サポートが母体。同団体の正式日本語プログラムとして、アメリカで暮らす日本人、日系人の乳がん、卵巣がん、子宮がん患者およびその家族の精神的不安を取り除くためのピアサポートと、アメリカの最新医療事情を日本語で提供する。

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