ウェブサイトのアクセス数を上げるテクニックとして欠かせないのが、SEO(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)。本誌ウェブサイト「SoySource.net」 が受けている UJ シンクタンクによるSEOコンサルティングの一部を、誌上公開!
導入編:そのウェブサイト、集客のために機能してる?
SEOが必要な理由とは
ソイソース編集部(以下ソ):第1回は導入編として、デジタル・マーケティング支援企業であるUJ シンクタンクの関良太郎さんから、SEOの基本的な考え方について説明してもらいます。SEOとは、どんなものなのでしょうか?
UJ シンクタンクの関さん(以下UJ):ビジネスを始める際、ウェブサイトを作って商品やサービスの情報を発信する方は多いと思います。大きな予算を使って業者へ委託しなくても、ワードプレスなどのオープンソースのソフトウェアを使って簡単にウェブサイトを作ることもできます。しかし、そのウェブサイトをただの「玄関」として置いておくだけで、積極的な集客ツールとして活用できていない残念なケースが多いのも現状です。コンテンツやデザイン性に気を配っていても、正しいSEO対策がなければ集客にはつながりません。つまり、収入を増やすこともかないません。
SEOとは、ウェブサイトが発信する情報の関連キーワードを検索した際に、検索結果の上位に表示されるようにウェブサイトを最適化すること。たとえば、シアトルにある豚骨ラーメン屋さんのウェブサイトであれば、「シアトル」「ラーメン」「豚骨」というキーワードでの検索結果リストの上位に上がるように施策していくわけです。「シアトルで豚骨ラーメンを食べたい」と考えて検索している人の画面に店のウェブサイトを表示させることで、オンライン販売につなげるプル型広告とも言えます。
これを手っ取り早く行うには、Googleなどの検索エンジンへ広告料を払って上部に表示させる方法もあります。しかし、広告料金を支払っている期間のみの一時的なものなので、予算を使い果たしてしまえばそれまで。一方で、SEO対策をしていくことは、効果を出すまでに時間はかかりますが、長期的なオンライン集客につながります。
ソ:SEOについての情報はネットにもあふれていますが、何が正しいかがわかりづらく、アクセス数が伸びたと思ったら急に落ち込んだりと、手探りでの対策では限界も感じます。
UJ:Googleを始めとする検索エンジンは米国発で、各社からの情報はまず英語で発信されています。時間を経て和訳されることもありますが、全てではないため、日本語のSEO情報は少し遅れて発信されている場合が多いです。当社のオフィスのあるロサンゼルス地域を見ても、米系企業のウェブサイトがしっかりとSEO対策が施されているのに対し、日系企業のウェブサイトではそうでもないのは、やはり言語の問題があるのかもしれません。
検索エンジンのアルゴリズム(検索結果の順位付けの基準)は頻繁に変わりますし、検索エンジンごとにも異なります。米系企業の多くは、中小規模の会社やレストラン・店舗などでもデジタル・マーケティングの専門家を雇うか外注するなどしてウェブサイトの集客に投資していますが、日系ビジネスでは残念ながら対策を取っているところは少ないですね。専門家のコンサルティングを定期的に受けることで、抜本的な解決策や、急激にアクセスが減った原因を見つけて対処していくことができます。
検索エンジンが求めていることを知る
ソ:専門家にお願いする以外に、日々の運営で対処できることはありますか?
UJ:まずは、検索エンジンが求めていることを理解する必要があ ります。検索エンジンの目標は、ユーザーが調べていることについて正しい情報を伝えることにあります。そのため、各ウェブサイトの専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)を独自のアルゴリズムで評価し、評価の高いものからリスト化しています。特に、新型コロナウイルス 感染症や大統領選に揺れた昨年に行われたGoogleのアルゴリズム改正では、「情報の正しさ」を高く評価するようになったとされています。各ウェブサイトに何についての情報が載っているのかを正しく検索エンジンへ伝え、そしてその情報が正しいものであることも伝えていくことが大事になります。
ソ:具体的には何をすれば良いのでしょうか?
UJ:日々のウェブサイト運営で正しいSEO対策を重ねていくことが必要になります。ウェブページの情報を要約したタイトルとメタディスクリプションの設定などをしてコンテンツ内容をサーチエンジンへ正しく伝えていくことです。また、適切な内部リンクや分かりやすいサイト構造を心がけて、ウェブサイトを訪れた人に長くとどまってサイト内の記事を色々と読んでもらうようにする工夫も重要です。また、外部ウェブサイトから自分のウェブサイトへ張られている被リンクも重要で、これにも目を光らせておく必要があります。(実践編で詳しく解説します。)
SEO対策は、ウェブ担当者以外に、経営者やマネジメントを担う方々が基本を理解しておくことも重要だと思っています。経営的、営業的な目標からウェブサイトの方向性を判断していくことがカギとなります。次回は、現状を分析するために必要なGoogleアナリティクスとGoogleサーチコンソールについて説明していきます。
取材協力:UJ シンクタンク 関 良太郎さん
UJ シンクタンク 関 良太郎さん
UJ シンクタンク(https://ujthinktank.com)のデジタル・マーケティング・コンサルタント。日本の大手システムインテグレーション企業で営業を務めた後、MBA取得のために2008年に渡米。食品メーカーや飲食店のマーケティングなどの勤務を経て、ロサンゼルス地域で日系ビジネス向けに印刷サービスを行うGoshiki LLCと共に2020年、UJ シンクタンクの立ち上げに参加。ウェブサイト構築・運営ほか、SEOコンサルティング、オンライン・ビジネス支援、オンライン広告、SNS運営サポートなど幅広いサービスを提供。レストラン向けPOSレジシステム「Clover」の販売代理店でもあり、米国のレストラン向けに様々なソリューション提供を行っている。