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アメリカへの野球留学

アメリカの大学を知ろう

日本とは全く異なるアメリカの大学事情を専門家がわかりやすく解説!
現地校生にもアメリカ留学希望者にも役立つ情報がたくさん。

アメリカへの野球留学

奨学金付きで4年制大学編入も可

アメリカへの野球留学は学業との両立で大変ですが、多くのチャレンジ精神のある若者が日本からやって来ます。2年制大学から留学を始めると、4年制大学へ編入する際にアスリート奨学金が付くこともあります。

エドモンズ・カレッジに野球留学をしていた濱川裕吾くんは、地区大会優勝へ導いた貢献者としてチームの3番打者を任され、ノースウエスト大会では内野手優秀賞も受賞。実績が認められ、全額奨学金付きで4年制大学に編入できました。気になる野球留学の実情を聞かせてくれました。

●野球留学をしようと思ったきっかけは?

小さい頃からアメリカの野球に興味があり、とにかく野球の本場でプレーしてみたいと思っていました。高校3年の時、「人とは違う道を歩みたい」という思いもあり、よりレベルの高いところで自分を磨こうと野球留学を決意しました。

エドモンズカレッジ時代の様子

●実際に野球留学をしてみて感じたこと

アメリカに来て正解だったと思います。日本では絶対に経験できない「外国人」になってみて、言語の違う地で生活する難しさ、それを見て支えてくれようとする人の温かみを実感しました。僕は英語力ほぼゼロのままアメリカに飛び込んだので、最初は全く英語が聞き取れず、話せずの状態でした。そのため、自分の思うように生活できないもどかしさもありました。

●アメリカの野球と日本の野球の違いは?

違いは山ほどありますが、まず選手の意識が違います。アメリカの大学生は勉強との両立も果たさなければならず、タイム・マネジメントが必須。全体練習のほか、自主練習、勉強と、常に時間をやりくりしています。野球自体は想像通りのパワフルさに加えて、レベルが高くなればなるほど器用な選手が多い印象です。

●野球シーズン中のスケジュールは?

2年制大学では、基本的にホーム、アウェーで土曜日2試合、日曜日2試合の計4試合。ただし、悪天候などで試合が延期になると平日に組み込まれることもあります。その場合、もし授業があったとしても、アスレチック・ディレクター承認の下で公欠扱いにでき、試合に出られます。練習日は通常、午前中が授業、午後が練習です。

●泊まりの遠征などもある週末の過ごし方は?

遠征先での宿泊は基本的に週末のみで、受講自体に支障は出ません。しかし、アメリカの大学は週末も課題の量が多いので大変。遠征中のバスの中でも、宿泊先のロビーでも課題をこなし、チーム全員で勉強する時間もありました。単位を落としたらプレーできなくなるので、勉強はおろそかにできない。でも、野球で結果を残したいから練習もする、というような感じ。シーズン中はいろいろとしんどいです(笑)。

●選手たちにとって大切な「スカウト・デー」とは?

アメリカの4年制大学やMLB球団の各スカウトたちが一斉に観に来る日のことをスカウト・デーと言います。エドモンズ・カレッジではドラフト候補の選手もいたため、70人ほどのスカウトたちが試合を観に来ました。次のステージを見据えてプレーしている2年制大学の選手にとっては、大きなアピールの場となります!

エドモンズカレッジ時代の様子

●編入先が決まるまでの経緯

全額奨学金を出してくれる大学が良かったので、その中から選びました。学業の成績も重要で、単位数が足りなくて行けない大学があったのも事実……。シーズン中のプレーを4年制大学のスカウトが観に来てくれて、電話番号を交換後にテキストでお互いを知り合うというパターンが多いように思います。いろいろな条件を教えてもらい、合意に至ればオフィシャル・レターが届く流れです。

日本人選手の活躍に期待

ノースウエスタン・オクラホマ州立大学へと編入した裕吾くんは、4年制大学のパワーに圧倒されるものの、2年制大学で鍛えた分、ギャップは他の選手より少ないと感じているそう。バットの種類も、エドモンズ・カレッジでの木製バットから、金属バットに変わりましたが、木製バットでの野球ならではの難しさに気付いたとの話です。

コロナ禍で練習や試合に大きな影響が出ているスポーツ界ですが、文武両道を目指して、これからも多くの選手に活躍していって欲しいですね。

クローチ 貴子
2011年よりアソシエイト・ディレクターとしてエドモンズ・カレッジにて勤務。1999年に夫、1歳半の息子とアメリカ移住。子育てに専念した後、息子の中学入学を機に以前から興味のあった教育分野へ。現在は入学から進路、イミグレーションのアドバイザーを務める傍ら、日本文化クラブのアドバイザーとして日本文化を学内や地域に広めようと学生たちと共に活動中。